脱臼は強い衝撃によって、元に戻らないといけない関節から骨が大きくずれてしまうケガです。以前にも私自身の肩関節脱臼の経験があります。今回は繰り返し起こってしまう脱臼、いわゆる”クセ”の注意点です。

スポーツでは
・ラグビー
・アメリカンフットボール
・柔道・格闘技など

激しく接触することが多いスポーツがあげられます。

私も1度左肩を脱臼したことがあり、骨折よりも痛く関節技をキメられて、限界を超えたイメージです。骨折と脱臼どちらが痛いかというなら脱臼の方が痛いです。

もう2度と同じ痛みを味わいたくないのが脱臼です。

反復性肩関節脱臼とは?

・1度脱臼の経験がある方
・もともと関節が緩く、外れやすくなっている状態の方

不意な動きですぐに外れてしまいます。

関節が正しい位置に戻ると動くようにはなりますが、周りの筋肉・靭帯が伸びきったままです。いつも骨を支えている筋肉や靭帯が伸びてしまい、すき間が空いた状態ですと、普通に生活しているだけで不意に外れてしまうこともあります。

私も1度外れかけが治ったのかな?と勘違いして、服を脱ごうとしてた時に完全に外れてしまいました。とんでもなく激痛です。その後、骨は嵌りましたが靭帯・筋肉を痛め、肩が挙がらなくなりました。

 

もしも肩が外れてしまったら?

※筋肉、靭帯を修復するために基本肩・腕を使わない様にしましょう。

手術しない場合

・三角巾で2~3週間固定していきます。
・固定を取った後は可動域訓練
・筋力トレーニング

再発しないように少しずつ動かす範囲を広げていきます。痛みがなくなってきたら関節を支えるための筋肉を鍛えていきます。手術しない場合は初めての時か損傷部分が少ない時に適応されます。

手術する場合

・術後3週間は固定
・肩の可動域を徐々に広げていきます。
・筋力トレーニング

反復性肩関節脱臼と診断された場合関節のお皿にあたる関節唇(かんせつしん)が1回目の時にいい位置ではくっつかず、また外れそうな感覚があると手術の対象になります。

画像参照:朝日新聞デジタル

国家資格の持った先生が状態を見ながら治療していきますが、反復性になった時点で手術することが多いです。

 

リハビリ(可動域訓練)

肩はどの方向にも動かせるため、脱臼が多い箇所になってきます。固定が外れますと、関節の動きが悪く、筋肉が落ちてます。始めは肩を広げるのが90°よりもいかないことがほとんどです。

痛みが強いと、肩が重だるくなるので、痛みが出ないところまで上げてみましょう。

①肘を伸ばしたまま、真横から肩を上げていきます。 10回×3セット

②肘は伸ばしたまま、身体の前から腕を上げていきます。 10回×3セット

横から上げるのとは、また違った筋肉を動かします。どの方向でも外れない様にしていくのが、目的です。

※リハビリ段階で、腕を外に捻る動作と肩を後ろに引く動作は、絶対にしてはいけません。この2つの動作は逆に再脱臼をしやすくなるので気を付けてください。

②チューブトレーニング

肩を外に捻る動作は再発しやすいため、安定性・予防するために内側の筋肉を鍛えないといけません。

・柱か何かに水平に結び、ある程度引っ張った所に位置する
・脇を締めて固定する
・腕を内側に力を加える

脇が開いてしまうと、肩ではなく腕の筋肉が鍛えられるので、脇を締めることを意識しましょう。タオルなどを挟むと開かない様に矯正できます。

・先ほどよりチューブを少し上で結びある程度引っ張った所で位置する
・肩を90°上げる
・肘を90°曲げる
・肘は動かさず前腕だけを前に力を入れていく

前に降ろす時に、まっすぐ降ろすより少し内側に捻りを加えると、肩の前方の筋肉が鍛えられるため、予防効果が上がります。

③プライオメトリックトレーニング

あまり聞かない言葉ですが、急な動作でも外れない様に瞬発力を鍛えていくトレーニングです。このトレーニングをする前に、初めの3つをきちんと行い、外れそうな感覚がないことを確認して行いましょう。

柔らかい大きなボールを持ち、壁向かって投げキャッチする運動

・投げる際に腕を引く動作が入るため、いきなりすると痛みが強くなる。
・キャッチする時はボールの勢いも吸収する際、肩後方の筋肉で関節を支えていきます。

近年ラグビー選手が、4回以上脱臼をした場合、骨が欠けて手術をしても完治が難しくなるという報告もあります。大好きなスポーツが出来なくなる前に、リハビリに時間を作ってもらえたらと思います。

 

まとめ

脱臼はリハビリなど上手くいけば1ヶ月くらいで治っていきます。ですが、反復性脱臼になると治るまで通常の3倍はかかります。

はまった!からと言って放置するのではなく、病院でレントゲンを撮り

・骨が折れてないか、欠けていないか
・元の位置に戻っているか、組織が介入していないか
・靭帯・筋肉が傷ついてないか

など検査を受けてください。

私も骨には異常なかったですが、筋肉を痛めた為3週間くらいは腕を上げる動作ができない状態が続きました。どのケガもそうですが、最初安静を徹底的に行うと治る速度は格段にあがります。仕事・部活の試合など、どうしても難しい場合もありますが、当院では最後まで患者様に寄り添って治療を行います。

1度目の脱臼時に『きちんと治療しておけばよかったー』とならないようにリハビリをしていきましょう。

同じ症状でお困りの方はいつでもお待ちしています。