高1ピッチャーの彼は、中学時代にボーイズリーグの全国大会でベスト4進出。スポーツ推薦で他県の強豪校へ進学。実力ではメンバー入りもあったが、野球肘を発症し治療に専念することに。本人はすぐにでも投げたいが周囲に止められている。

野球をやっている成長期の子供たち、特にピッチャーに多い肘の痛み。

この【野球肘】は成長期に発症し、その後実業団やプロ野球に入った選手たちも悩まされ、選手生命を絶たれることもあります。野球を職業としてしている人にとっては命取りにもなります。

現在、甲子園に出場する投手は肘のメディカルチェックが義務づけられ、レントゲン検査など障害の程度によっては出場禁止にもなります。高校球児たちも、甲子園などの夢を諦めなくてはいけない事もあるのです。

そこで今回は

・野球肘にならない為にはどうしたら良いのか
・発症してしまったらどんな治療方法があるのか
・テーピングやサポーターの選び方

をご紹介していきます。

発症しない為に、ピッチスマートを覚えて過剰な負担を防ぐ

野球肘を一度発症してしまうと、完治するまでには時間がかかります。
使い過ぎにより傷んでしまった組織は外傷などで痛めた組織と違い、瘢痕化(はんこんか:組織が回復する過程で別の組織に変化し、柔軟性を欠いた状態)しているので、時間がかかるのは仕方のない事です。

そうならないために、まずは予防を心掛けます。
野球肘の予防と言っても何をすればいいか戸惑ってしまうと思いますので、ご家庭で出来る予防法を中心にご紹介いたします。

参考文献:NPO法人 奈良野球少年を守る会

アメリカのMLBが導入しているガイドラインです。

これには年齢ごとの投球数、その日の投球数によって必要な休息日が細かく定められています。ここまで細かく設定することで、年齢ごとによって異なる骨や筋肉を守っています。その他に

・マウンドからホームベースまでの距離
・12ヶ月間のイニング数の制限
・連続した休息日数の設定
・同日に2試合以上の登板の禁止
・同時に多数のチームプレーしない

など、イニング数やプレーするチーム数も制限しています。
これを知っていれば、本人でもご家族でも注意することができますので是非この表だけでも覚えていただき、守って下さい。

導入された背景はいかにもアメリカらしいものなのですが、野球をしている少年を守り、未来を明るいものにするという目標は日本でも通じるものがあると思います。

 

野球肘はなぜ内側が痛くなりやいのか?

まだ身体の出来上がっていない時期からの投げすぎによって、多くの球児たちが悩まされている障害です。

「野球肘」は、投げすぎによって肘へのストレスがかかりすぎてしまうことが原因とされています。

画像参照:社会福祉法人済生会

肘の内側ではでっぱり(内側上顆)に付着する腱、靭帯、軟骨が引っ張られて痛み、外側(外側上顆)では骨や軟骨が圧迫されて剥がれたり、痛んだりします。

肘の後方でも、骨がぶつかり合い削れたり、時には疲労骨折を起こします。

写真の患者様の場合は、投球時に肘の内側に痛み出て、よく見ると他の人に比べて肘が外側に開いていました。(生理的外反)このようになっていると、肘の内側の組織が引っ張られやすいという特徴があります。

ただでさえ引っ張られているような状態なのに、そのまま投球を続け、そのストレスがさらに強くなり、痛めてしまったという事が考えられます。

 

野球肘に最適なテーピングの貼り方

今回はこの点を考慮して

・内側の筋肉、靭帯が引っ張られ過ぎないように
・内側側副靱帯サポート、外反制限
・投球動作で使う筋肉をサポートするように
・パラレルポジションからの肩関節内旋、前腕回内、肘関節伸展

上記を目的としたテーピングです。

これで

①肘の内側へのストレスを軽減しつつ
②ボールをリリースするまでのサポートができ
③痛みを抑えて投げることができます。

彼が広島カープが好きということでカープカラーの赤白で貼ってあげるととても喜んでくれました。

これだけでも少し心が落ち着きますよね。

野球肘は病態もポジションも様々。全ての症例にこの貼り方をするわけではありません。

当院では病態やポジションごとに、ひとりひとりに合ったテーピングを貼っていますのでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

ストレッチは全身をじっくりと

野球肘に対してストレッチを行う部位は肘だけではありません。
ピッチング自体が全身運動ですので、体幹、下半身まで全身のストレッチが必要になります。

肩甲骨ストレッチ

①ストレッチポールやバスタオルを2,3枚使用しロール状に丸めた物を用意し、頭から骨盤まで当たるように縦に置いてその上に寝ます。

②胸を張り親指を下にして、肩甲骨を内側に寄せます。

③腕は床をするようにして、手の甲を合わせる

 

トレーニング

 

Max138㌔。決め球のフォークは一級品。将来のドラフト候補に目され、同年代ではNo1投手。

性格は穏やかでマイペースですが、自分に芯を持っている。自己主張は少なく上手く感情を表せない時もありますが、夢は地元ベイスターズのエースピッチャーとして日本一になること!本気で応援してます!!