当院では「シンスプリント障害」で治療を受けている学生さんが沢山ご来院されます。
ですがシンスプリントという言葉は既に医療現場では使われません。脛骨骨膜炎(けいこつこつまくえん)が正しいとされています。
※シンスプリントは後脛骨筋(こうけいこつきん)の炎症症状と言われていますが、そこは炎症は起きません。筋膜や脂肪組織が炎症を起こしています。
参考画像:横浜本牧パーソナルトレーナー宮原崇
原因としては痛めた脚の延長線上の大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)がずれたり、萎縮するのが原因とされています。
【ケース】バスケットボールをしている15歳男の子
・週に5日部活に励んでいる
・1週間前から走ると、膝に違和感が出始める
・日を追う事に痛みがどんどん酷くなってきた」
・痛みが強くなるにつれて、スネの内側の所が、局所的に辛くなってきた
バスケットボールは走ってジャンプして急な切り替えしを必要とするので、特に膝周りの負担がかかってきます。本人もこういった症状は初めてで、骨の所なので不安な気持ちがありました。
シンスプリント障害とは?
陸上競技・バスケットボール・サッカーなど走る競技に起こりやすく、スネの内側に痛みが出てくるケガです。
特徴としてスネの内側の半分より下に痛みが出てきます。
内側についている筋肉(ヒラメ筋・後脛骨筋・長趾屈筋)は足首を下に動かす役割があり、繰り返し使うことで、筋肉が疲れてきて固くなってきます。
参考画像:クレーマージャパン
ケアをしないまま放置していると
・筋肉がくっついている骨に負担がかかり
・筋肉によって何度も引っ張られる
・骨の表面を覆っている骨膜に炎症が起きる
これがシンスプリント障害(脛骨骨膜炎)の仕組みです。
シンスプリントは治療しないと、どんどん痛みが強くなり、さらに酷くなると疲労骨折にも繋がるので、早めの治療をおススメします。
どうしてスネの内側が痛くなるの?
走る量が増えてくると、運動量に耐えれず痛みが出やすくなります。
①急にランニング量・質を増やした
・競技を始めたばかりの初心者、まだ経験の浅い方。
・部活のシーズンが終わり、ランニングメニューが増えた
・夏、冬休みのまとまった休みで練習量が増えた
など急激な走り込みが1番の原因です。
②扁平足、外側に重心がかかりやすい方
扁平足は、足裏の土踏まずが平らになっている状態の事です。本来は土踏まずの所がクッションとなって衝撃を吸収します。しかし足裏が平らな状態なので、クッションを通り越し、衝撃が足首やスネ・膝に直接かかるんですね。
外側に重心がかかっている?
→普段使っている靴裏を見ると外側がすり減っている方はこれに該当します。このすり減ったりクッション性の悪いシューズを使い続けていくと、スネの内側に負担がかかり、痛みやすくなる。
③足首の柔軟性低下
足首の動きが狭いと、普段動かせる範囲が少ないんですね。ふとした時や、急な動きの時に筋肉や靭帯を痛めてしまう可能性が大きくなります。
関節が固い分、ふくらはぎが頑張りすぎて「骨膜が擦れたり傷つき」シンスプリントになり易くなるんですね。
④足の筋力低下
運動にブランクがある方や、ケガ明け、病み上がりの方に多いのも特徴です。
⑤固いグランドや路面での練習
芝や土と違って、コンクリートは下から突き上げる衝撃が大きく、疲れ易くなります。
学校の部活動やクラブチームの練習では、場所に限りがあるので仕方ないこともありますね。
自宅ケアが必須!シンスプリント治療
ご自身の指でスネの内側を押してみた時に、強い痛みがある場合(圧痛と言います)押して痛みがあるか無いかの判断を毎日しましょう。
①安静+足の負担が多いメニューは外す
まずは痛みが引くまでに安静第一です。
ある程度痛みが落ち着かないと、なかなか治らず治療期間が長くなる場合があります。
練習メニューは上半身に切り替えましょう。
②アイシング
1回に約10分程で大丈夫です。
「痛みがある=炎症で熱が出ている」ということなので、アイシングで冷やしましょう。
触ると熱い様な感覚・火照ってる時期を炎症期といいます。ケガをしてから2・3日がピークなので、湿布なども使って炎症を起こさないようにしましょう。
手の甲で触ると、左右比べて熱ければ、冷やした方がいいでしょう。
③ストレッチ&マッサージ
シンスプリントは「筋肉が骨を引っ張ること」で起こる為、筋肉を柔らかくしなければなりません。固まった筋肉を柔らかくするには、ストレッチで筋肉繊維を伸ばす必要があります。
スネの内側の筋肉も大事ですが、ふくらはぎの筋肉も大きく関わっているので、ここの筋肉を伸ばしていきましょう。動画をご参考下さい。
スポーツする方はアップの時に行いますが、その時に膝を曲げるとふくらはぎの筋肉がさらに伸びる為、効果倍増です。
マッサージは、ふくらはぎとスネの内側の筋肉をほぐしましょう。触っていくとスネの内側はかなり痛いです。
コツとしては、痛む箇所の2センチ隣を優しくほぐしてみましょう。痛む箇所をそのまま押してはいけません。
④リハビリ・再発防止
上記を5日~7日程度繰り返すと、段々と押しても痛みが無くなってきます。
しかし「押しても痛くないから練習復帰しよう!」と以前と同じメニューをすると、数日で再発します。それを防ぐには筋肉を鍛えていかないといけません。
・タオルギャザー
①裸足になり、床に長方形のフェイスタオルを引きます。

②足指を”グー”にし、タオルを引き込みます

③足指をパーにし、何度も最後まで繰り返しましょう!
このトレーニングは地味に辛いです。
回数を重ねる事に、指の力が段々なくなってきます。普段足の指を使っているようで、しっかり使えてないんですね。
※トランポリンの日本代表体操選手も実践している様子を、TVで放映されてました。
使い古した靴の中を見ると、指の所よりその手前や踵の方がすり減っている方が多いと思います。この筋肉をきちんと使えるようになると、正しく衝撃を吸収でき、靴の中のすり減り箇所が変わってきます。
・チューブで行うトレーニング
①足先にチューブを巻き付けて
②足首を90°にセット
③1つ目は前に伸ばして90°に戻す
④これを1日10×3セット
⑤動かす時はゆっくりと
ゆっくる戻すことで、より負荷がかかり効果UP。このトレーニングでスネの外側にある筋肉を鍛えることができるんですね。
⑥2つ目は内側に傾ける
スネの内側にあるいくつもの筋肉を鍛えることで、再発防止に繋がります。
地味ですが頑張りましょう!
シンスプリントの治療
痛めた箇所よりも、そこに関連する筋や骨格を治療していきます。痛めた箇所側の股関節だったり膝のラインを診るのも大事なんです。
①アイシング
今回お話した通りまず炎症を抑えないといけないので、治療前に行います。
基本的に初めの2・3日ですが、学生の方で試合で強行出場で再度痛みが強くなった場合は熱感がある時はアイシングを行って下さい。
②電気治療
低周波治療で筋肉の表面を覆っている筋膜を刺激して柔らかくし、血液の流れを促進。
電気を当てる場所は、ふくらはぎに上下に当てていきます。第二の心臓と言われるほど血液の流れる量が多い所です。ふくらはぎを柔らかくすることが、完治するカギです。
③マッサージ
国家資格を持った先生がその人に合った治療を行います。
ふくらはぎとスネの内側を奥までしっかりほぐし、ストレス軽減します。
また、股関節や腹部の原因となっている箇所にもアプローチします。
④超音波治療
超音波は熱と振動を利用して痛めている繊維まで届くので修復する速度を早めてくれる。
⑤ハイボルト治療
当院の特別な治療です。高電圧の電気を使って固まっている筋肉を動かし、筋肉を奥まで柔らかくします。

血流の流れが良くなると、痛みや動きやすさが良くなります。
当院で治療される場合は是非おススメしたい治療方法です。
ご通院の目安
シンスプリントは競技種目によって個人差が出ます。学生の平均的な治癒速度を考慮すると
1、しっかり安静
2、週2.3回の治療
3、2週間くらいで痛みが少なくなる
そこからリハビリを行うと約3週間で完治に近づきます。
ただ部活もしながらだと治る期間がドンドン遅くなってしまうので、治療に集中することをおすすめします。
今回の男の子のその後
部活も痛みが引くまで安静にしていた為、予定通り3週間くらいで復帰することが出来ました。
リハビリも行い、今でも再発予防をしつつ、元気にバスケットをしています。
まとめ
シンスプリント障害は繰り返し走ったり、ジャンプをしたりしてスネの内側を痛めてしまうケガです。
特に中高学生が多く身体が硬かったり、部活の練習が急に増えたりすると起こりやすいです。
痛みが引くまでは安静するのが1番ですが、部活の試合が重なると練習を休む事が厳しい場合もありますね。そこでインソールでの足への負担軽減、マッサージ、電気治療などの治療で改善します。
当院では、患者様のスタイルに合った治療を提案し、完治に向けてサポートします。
放置していると、筋肉が骨を引っ張りすぎて疲労骨折を起こす可能性があります。もしもスネの痛みでお困りの方はお気軽にご相談ください。