ケガをした時に意外と困るのは歩き方。できればお世話になりたくない松葉杖。大げさに見えて、ちょっと抵抗があるのは私だけでしょうか?かさばって荷物になりますし。ですが、松葉杖を使った方が良いケースも多々あります。

大ケガになれば松葉杖が必要となります。でも大半の方は慣れていないのでどうやったらいいか分からないですよね?

今回は松葉杖を使った方が「意外と楽かもしれない」ケガをした時の歩き方をお話していきます。

足をつくと痛い!!骨折や靭帯損傷には杖の方が早く治る!

足首の関節がケガをして、荷重を受け止められないからこそ痛みが出ます。

ましてや歩くことで、さらなる荷重が靭帯部に掛かるので、より痛みが大きくなります。こうなったら松葉杖を使って歩いていただいた方が、安静を保てる&早く良くなります。

どんな時に必要?

捻挫や骨折、肉離れなど、ケガをした部分に負担がかからないようにしたい時に松葉杖を使います。

痛くて足をつけない&移動の時にケンケンしてしまうような場合は松葉杖が必要ですね。

いつまで?

ケガが良くなり、体重をかけても痛くなくなるまで使って欲しいです。

普通に歩くことが出来るまでは松葉杖を使って下さいね。

サポーターやテーピングで痛みが無いようであれば、松葉杖卒業でよろしいかと。ただし、サポーターまたはテーピング使用が条件ですが。

無くても歩けるけど??

体重をかけると痛みが出るようなら、松葉杖を使いましょう。

ケガをしているところに体重がかかると治りが遅くなることがありますので、痛いうちは体重がかかりすぎない様に、松葉杖にも体重を分散させましょう。

見た目で不便そうに感じる松葉杖

一見歩きにくそうに見えるかもしれませんが、松葉杖を使うと痛くない足と合わせて3点で身体を支えられますので安定性が向上します。

自分のサイズに合っていると、ケガをした足を使わない安定した歩き方ができるようになります。また、杖に慣れた時には、既に足の痛みが無くなり、杖がいらなくなります。実際に杖を使用する期間はそれほどありません。

大人と違い、学生は「見た目のカッコ悪さ」が気になるお年頃。恥ずかしかったり、見られたくない!という意見も時々聞こえてきますが、早く治す為にはしょうがないんです。
日本人は比較的ケガ人に対して寛大な人種ですので、不便は感じる場面は少ないというのも良いことですね。

メリット

  • しっかり体重を分散できるので、ケガした所の負担を減らすことが出来る
  • 重症そうに見えるので、電車、バス等の乗り物で席を譲ってもらえる(かも)
  • 腕が疲れた時は、脇で支えて休むことが出来る(短時間限定、長時間はしびれるかも)

デメリット

  • 大げさに見えて、すこしカッコ悪い
  • 杖がじゃまで荷物になる
  • 使い方を間違えると、手がしびれたりマヒが出て大変

 

松葉杖は自分の体形に合ったサイズを

松葉杖全体の長さが自分の脇の下にすっぽり入るものを選んで下さい。

1.脇の下から4㎝下に杖の頭が来る位置に合わせます。

高さ調整は下のボタンを押しながら、上の杖を引っ張ります。

2.グリップは「大転子」と言う腰と腿の間にあるゴリゴリとした出っ張りがあります。その位置と同じ高さに合わせます。

位置の調整は杖によって違いがあると思いますが、長さは石付きのある所のボタンで調整し、グリップはネジを外して調整します。

3.調整後は杖を真っすぐに下ろし、グリップを握って肘が曲がっている状態。

松葉杖をつま先から前に15cm、外側に15cmくらいのところについて、杖を調整します。グリップの高さは、軽く肘を曲げて握りやすい高さになります。もしくはふともものつけ根の高さになります。
※背中が曲がっている方は、太もものつけ根だと高さが合わないので、前述の軽く肘を曲げた状態で握りの位置を合わせると良いでしょう。

4.足のつま先15cmと足の小指の外側15cmを結んだ位置に杖を置いて、肘が伸びた状態であればジャストサイズになっています。

 

松葉杖の上手な使い方&歩き方

松葉杖をつく時は、しっかり手のひらに松葉杖のグリップをあてます。手相でいうところの「感情線」や「知能線」があるあたりにグリップがあたるようなイメージです。

手首は少し反らせると、支えやすくなります。

肘を伸ばして、つっかえ棒にするというイメージで体重をかけるとうまくいきます。そうすると、松葉杖の脇あての部分が脇の下にあたりません。脇あてが脇の下に当たるようでしたら、杖の長さ、握りの位置の調整をしてください。

☝こちらの動画をご参考下さい。

松葉杖での歩行の仕方は2種類あります。一つ目は

免荷歩行(めんかほこう)

免荷歩行は、受傷直後やケガをした足に全く体重をかけない歩き方です。一番重症なときの歩き方になります。
松葉杖を2本使います。
1歩目は左右両方の松葉杖です。
2歩目は良い方の足。
安静を保てるので初期の回復に役立ちます。

1.杖を突いた状態で、痛い足は楽な位置に上げておきます。
ケガした足は浮かせて地面につけません。
痛い足が地面につかないので、痛めたところには体重が全くかかりません。
浮かせているケガをしている足をどこかにぶつけないように注意して下さい。

2.始めのうちは軽く杖を前に出しグリップをしっかり握って、テコの原理で痛くない方の足を杖の位置まで持って行きます。

3.あまり杖を遠くに持って行きますと、腕や肘に負担がかかります。
脇を杖の頭に乗せて歩いてしまうと、神経に当たり腕にシビレが出てしまうので注意してください。

 

松葉杖で安全に階段を昇降する方法

松葉杖の扱いに慣れないうちは、出来ればエレベーターやエスカレーターを使って、階段は使わないようにして欲しいです。

家など、エレベーターなどが無い場合は仕方ありませんね。階段をどうしても使わなければいけない場合、手すりがあれば、手すりが無い側に松葉杖をまとめて持ちます。空いた手で、手すりをしっかりつかんで階段の上り下りをしてください。

どうしても階段で使わなければならない場合、松葉杖は自分がいる段、または下の段につくようにするのがポイントです。これを守れないと、バランスを崩して階段から転げ落ちやすくなります。松葉杖は自分と同じか、自分より下の段でつくのが鉄則です。

上り方

①階段の手前に立ちます。
②松葉杖にしっかり体重をのせます。
③一歩目は良い方の足を一つ上の段にのせます。
④ピョンと飛び跳ねる感じになります。
⑤二歩目は、松葉杖になります。
⑥しっかりと良い方の足で立ってから、松葉杖とケガしている足を、良い方の足と同じ段にのせます。
⑦松葉杖が後から、良い方の足を追いかけていく感じになります。

※順番を逆に、杖を先に一つ上の段につくと、杖がつっかかって後ろにひっくり返りやすくなります。

下り方

①階段のすぐ手前に立ちます。
②一歩目は松葉杖になります。
③松葉杖をしっかり下の段につきます。
④松葉杖を下の段につく時に、良い方の側の足首と膝を柔らかく曲げて下さい。
⑤二歩目は、良い方の足をになります。
⑥松葉杖と同じ段におろします。

※まどろっこしいので杖よりも下の段に、良い方の足を降ろしたくなると思いますが、バランスを崩しやすいので、1段ずつ確実に下りて下さいね。良い方の膝を曲げるのを忘れずに。

1、階段を上るときは痛くない足を先に段に乗せます。

この時杖をしっかり支えバランスを崩さないようにしましょう。

2、次に杖を同じ段に乗せます。これを繰り返していきます。

3、下りは杖を先に一段下の段に乗せて痛くない方の足を同じ段に乗せます。

※自分の位置より杖が高い所で突くのは大変危険です。まずはこちらの動画を参考にして下さい。見てるのと見てないのでは、安全度合いがかなり変わる為、観て損は無いです。

また階段の下りは不安定になりがちなので、なるべくエレベーターやエスカレーターを利用してください。

半荷重歩行(はんかじゅうほこう)・部分負荷3点歩行

半荷重歩行は回復期にリハビリ目的に使われることが多く、杖なしで歩くと痛みが出るようなときや、筋力回復を主な目的とします。

治りかけで、体重を少しかけたほうた治りが良くなりそうなときに、この歩き方になります。

1.杖を軽く前方に出します。

2.杖をしっかりと支えながら痛い足を引きずるように杖と同じラインに出します。

3.掛かる荷重を分散しながら痛くない足を引きずるように杖より前へ出します。

4.これを繰り返します。

5.慣れてきたら、松葉杖とケガした方の足を同時についてもOKです。

 

片松葉杖歩行

大分よくなってくると松葉杖1本で歩くことがあります。

1,良い方の側で松葉杖を持ちます。

2,一歩目は松葉杖とケガをしている足

3,二歩目は良い方の足を出します。

4,松葉杖が1本なので楽に歩けますが、3点歩行よりバランスを崩しやすいので注意してください。

ついついやりがちなのが、ケガをしている側に松葉杖をついてしまう間違い。ケガをしている側に松葉杖をつくと、ケガをしている側に重みが余計にかかります。

↓こちらは片手杖ロフストランドクラッチに移行した患者様です。足が地面に着けるようになったら、杖を変えても大丈夫です。

松葉杖を使わない半荷重歩行

内反捻挫などで、程度の軽い症状では、かばい歩きとしてこのような歩き方もあります。

1.痛めた足のつま先を外側に向けます。

2.痛くない足を前に出します。

3.痛めた足を引きずるように、痛くない肢位と同じラインまで持ってきます。これを繰り返します。

4.内反捻挫は、外くるぶし周辺に痛みが伴います。つま先を外に向けると外くるぶしに荷重が掛かりにくい為、痛みが少ない歩き方になります。

5.階段は、痛くない足側を前に横あるいは斜めを向いて痛くない足の方から登り、同じ段に痛い足を乗せるか、ケンケンで上がります。

6.階段を降りるときも同様に行います。特に降りる時は正面を向かず斜めあるいは横向きの方が転落の危険が少なくなり

この様に自分のサイズに合わせ、テコの原理や荷重の掛かり方が理解できますと、自分の動きやすい範囲でコントロールすることで、比較的軽い力で進むことが出来ますし疲れにくくなります。

また、松葉杖を突かなければならない状態は症状が重いことでもありますので、安静と治療を積極的に行い、不要不急の外出や痛めた足の使用を止めていただいて、早期回復を図り半荷重歩行に持って行くことをおススメします。

 

松葉杖の状態でトイレってどうするの?!

洋式トイレを前提にお話しします。痛くて足がつけないレベルのケガの方は和式トイレを避けてくださいね。

男性も、できれば洋式トイレで座って用を足すことをオススメします。こんなところで転倒すると大惨事です。

座り方

①手すりがある場合は、松葉杖を壁に立てかけておきます。
手すりが無い場合は、松葉杖をまとめて持つか一本壁に立てかけます。

②お尻を便器に向けて、おじぎをします。

③片手で手すりをつかみ、もう一方の手で便座を支えるようにして、ゆっくり腰掛けます。

男性も洋式で済ませましょう!!

 

松葉杖を体の真横につきます。もう一方の手は便座について身体を支えながらゆっくり腰掛けます。

立ち方

①手すりがある場合は手すりをつかみます。もう一方の手は便座につきます。

②足を手前に引きます。

③松葉杖の脇あてを脇の下に通さずに、直接グリップを握ります。

④次に、良い方の足をついて、自足元をのぞき込むようにおじぎをします。すると、すこしお尻が便座から浮き上がりそうになるのが感じられるのではないでしょうか。

⑤そうしたら、良い方の足にしっかり力を入れ、手すりを引きつつ、便座を押しながら立ち上がります。

座るときも、立ち上がるときも足元をのぞき込むようにおじぎをするのがポイントです。

おじぎをすると、立ち・座りしやすくなります。座っている時に足を手前に引くと、さらに立ち上がりやすくなります。足を手前に引いて、おじぎするだけで、お尻が持ち上がります。

 

松葉杖を使ってると、脇の下が痛くなり、手が痺れるんですけど?

松葉杖の脇あてと脇の下はたまご1個分くらいすき間をあけます。

すき間を開けないと、脇の下が圧迫され、大事な神経や血管が細くなり(潰れる)手や腕にシビレやマヒが出ます。
神経を傷めると、治るまでに時間がかかります。

ですから、松葉杖の脇あてには脇の下をあててはいけません。松葉杖の脇あては、脇の下の少し下のあばらにあてましょう。

まとめ

  • 脇あては脇の真下にあてない。圧迫し過ぎると神経や血管の圧迫で手に神経痛や痺れがでることも。
  • ケガの回復状況に応じて杖の本数、杖のつき方がかわる。
  • 危ないので階段はなるべく使わない。
  • やむを得ず階段を使う時、松葉杖は自分より高い段につかない。
  • 自分より高い位置に松葉杖をつくと転びやすくなる。
  • トイレから立ち上がる時は足を手前に引くと立ちやすい。
  • 椅子の座り方、立ち方のコツと、トイレの座り方、立ち方のコツは似ている。
  • 手の平でしっかりグリップを押し付け、体重を支える。脇の下で体重を支えるのは神経痛のもと。