いつもお世話になっております関東学院大学硬式野球部大学生。最後のリーグ戦の試合中に、死球を背中に受け、腕が上がらない程の痛みがあり、来院されました。

リーグ戦は見事4年ぶりに優勝でしが、ここまで来る道のりは選手のケガとの闘いがある為、簡単ではありません。苦難を乗り越えて、優勝できたことは、本当に素晴らしいことです!

チームのキャプテンとしてどんな状態でも試合に出ると、覚悟が伝わってきます。次の試合は勝利するとリーグ優勝が決定的になる大事な試合だったので、自分達も何とか力に慣れたらと思い治療に臨みました。

通常だと打撲では1週間で良くなることが多いことに対して、挫滅では1カ月くらいかかる事もあります。

下記の治療法で毎日行い、何とか次の試合に間に合わせます。

肩甲骨付近に打撲すると、腕が上がらなくなる

野球ボールがくっきり残るほどのあざがあり、内出血も紫色で、重症度が確認できました。

当たった場所は肩甲骨の下です。

丸く赤くなっているのが見えますね?硬式のボールの網目まで痕がクッキリと見えます。何をしても痛く、肩関節の可動域がかなり制限されていました。

ぶつかった場所は棘下筋(きょっかきん)小円筋(しょうえんきん)という筋肉で、主に腕を捻る時に使われます。写真の様に棘下筋に直撃し、これ以上は腕が挙がらず、かなり痛そうでした。

肩周りの筋肉はほとんど肩甲骨と関連していて、腕の全方向に連動して動くので、写真のように腕を挙げることが出来なくなってしまいます。

治療開始1週目~治るのか兆しが見えない

●治療してもなかなか腕が挙がらず、痛みも次の日には、戻ってしまうくらい悪い状態

●治療中もうつ伏せ、体勢を変える時なども痛みが出て、顔をしかめながら何とか動く

●練習でも全てのメニューに参加することができず

●全力疾走を控え、バッティングもフルスイング無し、ノースロー調整

●日常生活でも服を着替える動作ではとても時間がかかる
野球の練習着は、アンダーアーマーなどの肌にピチッっとしたインナーシャツを着るので、着脱の時は大変だったと思います。

痛みが強いので、満足に練習できないのは、かなり焦りがあったと思います。

着脱を少しでも負担なく行う方法

❶着る時は痛い方から袖を通して行きます。
❷始めに通しておくと、痛くない方の手で動かせる。
腕をあまり挙げなくてもスムーズに着ることができます。
❸脱ぐ時は、痛くない方から袖から脱いで行きます。
痛くない方からを動かす事で、痛い方を安定したまま服を脱ぐことができます。

治療開始2週目~段々腕が上がるようになる

痛みが少しずつ軽減し始めまた頃です。あんなにくっきりと肩甲骨にボールの痕が、薄くなってきました。
痛みや可動域は変わらず、肩がまだ頭より上にいかない状態が続いています。

腕はまだ、これ以上挙がりません。。。硬式ボールといっても、石みたいに固く、140㎞/ℎで飛んでくるため、その衝撃は骨折してもおかしくないんです。

ハイボルトでもわずかな電力で強い痛みを感じていたので、まだもう少し時間がかかりそうな状態。試合は雨の影響もあって1週間先になり、ケガの状態としては、安静にできる貴重な時間に。その週も毎日治療に励んでくれてます。

打撲が早く消える方法

赤くなっている皮膚にかなり熱を感じたので、急性期の治療としてアイシング。とにかく冷やしました。熱を持っていると炎症がどんどん増え、痛みが増していく為です。

電気治療

Ⅰ.肩や背中の筋肉にも当てていき、痛い所の負担を軽くしていきます。左右比べると、右側の筋肉がパンパンに張れています。

Ⅱ.超音波治療では、熱と振動で痛めた筋肉の繊維を修復します。

Ⅲ.さらに和ごころ整骨院ではハイボルト治療も行なっています。この電気は患部に直接当てても、問題なく痛みを軽減・可動域を広げることができます。当てる場所としては、

・直接当たった場所
・肩甲骨周囲の筋肉
・腕のつけ根の筋肉

上の写真がハイボルト治療を受けている所です。

筋肉に直接ピンポイントで電気を当てているので、治療中は辛いですが終わった後は痛みがかなり無くなります。毎日頑張って耐えて頂きました。

受傷後数日は筋肉の硬さがすぐ戻ってしまう

周辺の筋肉は、痛めた所を庇おうといつも以上に支えようと頑張ってしまうので、治りが遅くなったり、痛む範囲が広く感じたりしています。

肩甲骨は肩周辺の筋肉にほとんど関連しているので、ハイボルト・手技療法でほぐしていくと肩の負担が少しづつ軽くなります。

筋肉が柔らかくなると

①血流がよくなり
②炎症作用が減少
③修復成分の白血球などが集まりやすくなる

自己修復作用が向上します。

活躍している選手ほど、ケガを隠す

日を追う事に肩の挙がる角度が90°以上になり、痛みもほぼ軽減。超音波治療・ハイボルト治療によって筋肉の繊維が修復している証拠です。
1カ月かかる予想が、この頃にはほとんど完治。

チームは大一番に勝利し、優勝!

私もリーグ戦を観に行きましたが、ボールを投げる時・スイングする時は痛みに耐えながらプレーしているのが分かります。打つ瞬間の衝撃は、しばらく顔をしかめていて、痛みが治まるのに、時間がかかっていたのが見ていて苦しかったです。

投げている時も、いつもより横投げで投げており、腕が挙がっていません。

試合はキャプテンのケガをカバーするかのように、チーム一丸となってみんなが繋ぎ、強力打線が力を発揮!痛みがありながらも、出来るだけ辛い顔を出さないようにキャプテンとして振る舞ってる姿は、尊敬しています。

私も改めて、責任感を持つ大事さやチームプレーの大切さを学ぶことが出来ました。

大学卒業後は社会人野球で野球を続けるということで、陰ながら応援しています。今後の活躍も期待しています。

挫滅(ざめつ)と打撲(だぼく)と打ち身の違い

打撲とは、一般的に硬いもの等が身体に直接あたる・ぶつかることです。

参照画像:セルフドクターネット

①青あざが出現し、何日かは内出血により痛みや腫れが出来る
②腫れ・痛みが落ち着くと、内出血が固まり身体に吸収される
③青あざが黄ばんで肌色に戻り、最後は無くなる
④患部を押すと、固まった血に神経が反応して痛みが出る
⑤1週間もせずに治ってしまうケースがある
⑥手足などが多く、全身どこにでも起こりやすいケガ

治療としては、痛みが出ている初めの数日間はアイシングをしていきます。熱が生まれると炎症作用が出てくるので、アイシングを使って炎症を抑えていくのが大事なことです。(最近の研究では、アイシングしなくても良いともあります)

個人差もありますが、ケガしてから72時間は、熱がどんどん出てきます。

3日後~手のひらで熱を感じなくなったら、今度は反対に温めていきます。温めると固まった血が身体に吸収されやすくなるので、ケガが早く治ります。

挫滅とは?

打撲よりも強い外力で、筋肉の繊維が潰されてしまうことを言います。

かなり強い衝撃が加わるので、筋肉だけでなく骨や靭帯なども一緒に痛める可能性があります。その為、打撲と比べて治る期間が長く1カ月かかる事もあります。内出血の量も多いので、青あざも青紫色と打撲よりもひどい事が一目見て分かります。

治療としては、打撲と似ている所は多いですが、テーピング・包帯などで固定していた方が治したい所が安定し早く完治していくので、強い痛みがある時は固定していきましょう。

今回彼の打撲は、痛みもひどく炎症反応も強い為、テーピング等の治療も積極的に取り入れました。

超音波・電気療法も筋肉組織を早く修復するには、受けるべき治療です。

まとめ