金沢区ではとってもソフトボールが盛んで、若い子から大人の方まで、沢山の方が週末は試合をしております。

そんな中、釜利谷フェニックスチームの選手兼監督の重松様がこの度、デッドボールにて打撲し歩けなくなるほどはれ上がった状態でご来院されました。プロ野球選手でも、デッドボールを受けたために骨折や打撲(だぼく)となり出場できなくなりますね。

打撲とは転んでぶつけたり、ボールが当たったり、格闘技でのローキック等でできた打ち身のことです。骨以外の皮ふや筋肉などの組織が壊れてしまっています。はれてきたり、押すと痛かったり、色が変わってきたり、熱をもったりします。

上写真の様に、受傷1日目。ボールがぶつかった所は赤くなっています。。。ソフトボールの糸の跡もはっきりと浮かび上がり痛そうでした。

打撲をした箇所は、なぜ内出血により皮ふの色が変わるのか?

最初は赤くはれることが多いです。これは損傷した部分を修復しようとする反応です。皮ふに近い細かな血管が開いて、血液がたくさん流れて、損傷の修復に必要な栄養を運びます。ひどい打撲の時には赤黒くなります。これはぶつけられた組織と一緒に細い血管にも傷がつき、内出血している状態です。損傷した組織の治り具合によって色に変化が出てきます。

ひどい打撲の場合は、内出血して血管から流れ出が血液が皮ふの下にたまって赤黒く見えます。時間が経つにつれ、流れ出た血液が分解されて色が変わっていきます。赤黒く見えるのは血液中の赤血球の中のヘモグロビンという物質です。これがヘムとグロビンに分解されます。ヘムはさらに鉄とビリルビンに分解されます。

だんだん治ってくると打撲の跡が黄色っぽくなってきますが、先ほどのビリルビンの色が黄色いので打撲の跡が黄色になってきます。黄色くなってくれば、もう治癒まであと一歩です。そしてビリルビンは体の外に排出されます。おしっこが黄色いのはビリルビンのせいです。ウンチが黄土色なのはビリルビンが変化してできたものです。

~2日目~

次の日ご来院された時の写真です。昨日より腫れが強くなってきました。お仕事をされているので、一日中、安静というわけにいきませんからね。内くるぶしの周りのしわが無くなってしまいました。翌日が一番はれます。朝起きてびっくりすることもあります。

更に赤い色が広範囲に広がってます!!

足首から下~土踏まずまで内出血が現れました。

重力により、ぶつけた箇所の赤血球が足の方まで落ちてくるんですね。

 

打撲をしたらどのくらいで治るのか?痛みはいつまで?

通常、2~3週間で良くなりますが、打撲の程度や、体力、年齢にも影響されます。

治療期間としてはどす黒い色→紫色になるまで3~5日間。紫色→橙色になるまで7~10日間。橙色→肌色になるまで10~14日間。概ねこのような感じですが、年齢が若い程治りが速いのは否めません。

今回の場合は右すねの内側に、ショートバウンドしたソフトボールが直撃!!ボールのスピードは100㎞/h程度ですが、衝撃によりここまで色が変わります。

~3日目~

パンパンです。

ボールがぶつかったところを押すと痛いだけでなく、反対側を押しても痛みが出ます。打球の衝撃が大きかったのですね。
全体的にも腫れています。すねの内側にボールが当たったのにすねの外側~足首周囲も色が変わっています。

 

色も痛々しいです。スネ真ん中部分にボールが当たったのですが、ぶつかった場所とは関係ないふくらはぎの後ろまで広範囲に色が変わっています。ボールがぶつかった衝撃の大きさがうかがわれます。

 

ぶつかった!!打撲の対処法と急性処置(当日の場合)

まずはRICE処置が基本です。

RICE処置とはRest、Icing、Compression、Elevationの頭文字からきています。Restは安静、Icingは氷などで冷却、Compressionは包帯やテーピングで圧迫、Elevationは持ち上げることです。RICE処置はケガをしてはれすぎるのを抑えるために行います。はれすぎると損傷部位に血液が滞ってしまい、酸素や栄養が十分供給されなくなり、治りが遅くなってしまいます。

打撲初日は横になって安静にして、氷で冷やして、包帯巻いて、患部は心臓よりも高く上げてください。

RICE処置のなかの最も重要なのがIcing(冷やす)です。冷たいですが、しばらく我慢です。最初の5分程度はビリビリ痛みますが、感覚が無くなるまで頑張りましょう!

包帯法

傷病治療のために患部に各種衛生材料、各種器具類を装着する手技、方法を包帯法と呼びます。患部を覆い保護・圧迫・固定してケガの治りを助けます。

包帯には、伸びない巻軸包帯(かんじくほうたい)、伸び縮みすりる弾性包帯(だんせいほうたい)、などがあります。

RICE処置のなかのCompressionにあたります。しっかり巻きますが、きつすぎると痺れてきますので適度な圧迫が必要です。

アイシングを3日間

+包帯固定を5日間

すると、はれが段々と落ち着いていき、受傷初日よりもスマートな足になります。

~7日目~

足全体の色が落ち着いてきました。

足首周辺のどす黒さ(内出血)が消え、肌色部分が再生してきたんですね。

ふくらはぎまで広がっていた内出血も綺麗になってきました。

この色になってくると、ようやく地面に体重をかけても痛みなく歩けるようになります。

※上から三枚目の写真と同じ角度です

1週間すると紫色が少なく、肌色が多くなってきました。ツブツブと赤いのが残っているのがこの時期です。

~10日目~

外くるぶし周辺では若干の赤見は残っている状態です。

少し痛むそうですが、普通に歩ける様になります。

ただし、信号ダッシュ(信号が変わろうとする瞬間のちょっと待ってよ小走り)は力が入らず、走るのは危険です。

~14日目~

だいぶ腫れが引いてきました。
写真では分かりにくいのですが、打球が当たった部分は赤っぽく、その周囲は薄暗い赤色になっています。

腫れが引いてきたら静脈瘤(じょうみゃくりゅう)が目立ってきました。歩くのは問題無いですが、小走りではまだ痛みが残っています。少し色が変わっている範囲が狭くなってきました。

また、14日目ですと足首周辺は完全に内出血が消えるのが解ります。

 

打撲の色がミルミル消える!?超音波の効果

超音波治療は耳には聞こえないくらい高い音波(振動)で患部を治していきます。
音波があたった組織は振動による微細で微弱なマッサージ効果で細胞の修復を促進させます。また、振動による細胞同士の摩擦熱で発熱する温熱効果も細胞の代謝を高めます。

受傷直後は微弱なマッサージ効果をねらって、熱くならない程度の弱い音波で治療を行います。腫れが引いてきたら、温熱効果をねらって、熱くなる手前まで超音波の強度を上げていきます。ホットパックなどの温熱治療では体表面にしか熱が届きませんが、超音波は3~9cmの深さまでとどきます。

色が茶色っぽくなってきました。

 

打撲痕を素早く散らす電気治療の効果

干渉電流型低周波治療器を用いて治療を行っております。干渉電流は不快な刺激が少なく、深い筋肉や神経を刺激することが出来ます。干渉電流で深い所の筋肉を刺激し、動かすことで血液の流れを促します。血流がよくなることで、細胞の修復及び、老廃物の除去を促します。

よって打撲を早く良くしたい、治したいのであれば超音波+電療法が最も効果的です。

 

鍼灸治療で打撲の腫れが引き、動かしやすくなります

こんな感じで鍼を刺していきます。痛くありませんよ。

打撲が治りかかってくると、シコリの様な固い組織が痛めた周辺に出現します。

壊れた細胞が治そう治そう!と頑張ると、白血球や血小板が集合してきます。集まった細胞はお互い修復作業が活性化し、固い壁となり積み重なります。この時に、余った組織が患部の外側にお暇され、そこで休もうよと休憩に入ってしまいます。これがシコリの原因です。

※耳にピアスを開けた方は、穴がふさがっても穴の周囲にコリコリしたのがありませんか?これが膝や周辺になると・・・?

痛めた場所より、やや上の方に針を置きます。

 

浮腫みが消えるマッサージ方法

浮腫み(むくみ)が残り、足首も動きにくく、しゃがみにくい状態です。
元通りに動かせるよう、リンパや血液の流れを良くして浮腫みを減らすためにマッサージを行いました。太ももの付け根、膝の裏をさきにほぐしてリンパや血液の流れ道を作ったら、足の甲、足首、ふくらはぎの順に体の中心に向かってマッサージをしていきます。

太ももの付け根には股関節があります。リンパ組織もあります。
ここが詰まってしまうと、いくらリンパを流そうとしても流れません。まずは優しく付け根をマッサージ。痛みを出さないよう行います。ほぐれて力が抜けてきたら、股関節をグルグル回します。

次に膝の裏をほぐしていきます。膝の裏にコリコリして痛い部分があります。少し痛いのを我慢していただいて、しっかり緩めていきます。ここが緩まないと、ふくらはぎより下の浮腫みがとれません。ここまでが準備段階です。

足の甲→足首→ふくらはぎ→膝裏

この道順で皮ふの表面をサーッとこするようにマッサージをしていきます。こすり上げるよう、リズミカルに行うと、だんだんふくらはぎが細くなっていきます。

浮腫みは減ってきましたが、足首の動きがもう少し。皮ふがつぱっていて、患部の皮ふをずらそうとしてもずれません。皮ふがつっぱってテカテカしています。
打撲初期の腫れがひどかったので、皮ふと皮下組織、筋肉などが癒着(ゆちゃく)してしまったと思われます。癒着をはがすようなイメージで皮ふをずらしたり、皮ふをつまんで持ち上げたり、皮ふと皮下組織の動きを促すマッサージを行いました。最初の何回かはかなり痛そうでした。

 

皮ふをずらすマッサージ

皮ふの動きを促したい部分に親指をあて、押しながら上下、左右に皮ふをスライドさせます。皮ふが引っ張られるように感じられます。繰り返していくと、皮ふのズレる幅が広がります。引っ張られる感じも減ってきます。

 

皮ふをつまむマッサージ

両方の人差し指と中指で、皮ふだけをつまんで優しく持ち上げます。最初はかなり痛いはずです。皮ふのつっぱりが強いとつまむのも大変です。繰り返し行う事で、皮ふとその下の組織の癒着が剥がれてきます。癒着がはがれると、簡単に皮ふをつまむことが出来るようになります。また、つままれた時の痛みもほとんどなくなります。

 

~21日目~

前述の皮ふをずらすマッサージを追加すると、皮ふが打撲していない方と同様にずれるようになりました。皮ふに動きが出てきたら、さらに浮腫みも減りました。足首の動きも良くなってきました。
さらに、皮ふをつまむマッサージを取り入れると、しゃがみこんでも皮ふのツッパリや足首の曲がりにくさがなくなってきました。

この間に、お風呂でのリハビリを患者様に行って頂きます。

1、湯船に5分入る

2、お風呂から出て、水のシャワーを1分間当てる

3、またお風呂に5分入る

※この繰り返しを痛めた7日目から続けてもらいました。お湯につかるのと、つからない次の日のむくみ具合は、靴下の跡が全く出ない程違うみたいです。

完治

痛みもなく、楽々しゃがめるようになりました。

 

まとめ

1.RICE処置

安静、アイシング、圧迫。挙上で極力腫れを抑えます。初期の腫れをいかに抑えるかが、治癒までの期間に大きく影響を与えます。お仕事や学校、部活などがあり、なかなか安静、挙上は難しいと思います。可能な限り、アイシング、包帯等での圧迫をしていただき、腫れを抑えます。

2.干渉波治療

電気(干渉波)を流し、筋肉を動かして血液の循環を促します。腫れが引き始めたら、干渉波治療で腫れによる循環障害の軽減を図ります。血液は細胞を修復する材料を運んできたり、老廃物を運び出してくれますので、循環障害があると治るまでに時間がかかってしまいます。

3.超音波治療

受傷後すぐは超音波によるマッサージ効果を用いて循環を促します。腫れが引き始めたら、さらに温熱効果もプラスして循環を促して、治癒能力を高めます。受傷直後の超音波は弱めで、熱を感じない程度の強度で治療します。腫れが落ち着いてきたら、温かさを感じるくらいの強さまで超音波の強度を上げます。

4.鍼治療

しこりの様に固まってしまった組織を鍼の力を借りて緩めていきます。髪の毛と同じくらい細い針を使用しますので、多少チクッとするかもしれませんが、強い痛みはありません。

5.優しいマッサージ

リンパを流して浮腫みを減らすマッサージを行います。浮腫みのある部分をいきなりマッサージするのではなく、リンパが詰まりやすい太ももの付け根と膝裏をほぐしてから、浮腫みのある部分を優しくこするようにマッサージをします。溜まっているリンパが流れると、すっきりスマートになります。

6.ちょっと痛いマッサージ

癒着部分を引きはがすマッサージです。関節を曲げたり伸ばしたりするときに、皮ふがつっぱってうまく動かせない場合はこのマッサージが効果的です。つっぱる部分の皮膚をずらしたり、つまみ上げることで、皮ふと皮下組織との癒着がはがれてつっぱる感じが無くなってきます。やり始めは結構痛いです。でも、痛みを我慢する価値はあります。癒着がはがれてくると痛みも減ります。ご自分でも簡単にできますので、おススメです。

 

患者様の声

患者様の声をいただきました。

「約2か月 足の打撲により通院させていただき 心身共にいやされました。ありがとうございます。」

今年もソフトボール大会などトレーナーとしてお邪魔させて頂きます!また何かありましたらご利用ください。

捻挫や打撲を治したい方は当院までお気軽にご相談ください。