高齢女性における外傷は比較的多く見受けられます。サンダルでしゃがもうとした際に、右足が捻じれながら上半身が右足に乗ってしまい押し潰されてしまったそうです。

10月中旬に受傷し整形外科で診療を受けたところ、8字サポーターと塗り薬を渡されたそうです。腫脹(はれぼったい)、疼痛(じんじんする痛み)、皮下出血斑(内出血)が取れずに不安になり当院を受診。

患者様には

①なぜ足首を内側に捻ると(内反捻挫)外側の靭帯(前距腓靭帯)が損傷しやすいのか?

②内側の内くるぶしの下(三角靭帯)に損傷が出た理由は?

丁寧に説明し、電気療法・超音波治療・シップ・テーピング・サポーターなど適宜使用しながら治療していきます。

捻挫をすると内出血で紫色になる

視覚的には判りにくいかもしれませんが内くるぶし(内果)の輪郭が無い程、腫れ上がっています。

実は内反捻挫(ないはんねんざ)なのですが、受傷時には前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)に痛みはありません。

一般的に足首をくじいたとされたときは、内反捻挫(ないはんねんざ)が多いです。この内反捻挫は足首の外側が弓なりに反れてしまい足関節の前外側靭帯である前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)を急激に伸ばして損傷した状態を言います。

反対に捻る外反捻挫(がいはんねんざ)とは、足関節内側が反れて内くるぶしより派生している三角靭帯を損傷してしまうことです。

触診では、前距腓靭帯に自発痛は無く、内果下の三角靭帯に圧痛と内反時の伸展痛あり。

その他運動時痛・軸圧痛もありません。発生機序の様子から炎症を抑えるためにアイシングを両方のくるぶしに巻きます。

今回の損傷には、

A、軽い内反から膝を曲げて座り込むような形に

B、前距腓靭帯は過伸展せずに三角靭帯がたわみ

C、そこへ瞬時に荷重がかかったことから三角靭帯が損傷

 

損傷したものは靭帯だけではなく毛細血管(もうさいけっかん)も損傷しており、静脈管(じょうみゃくかん)が損傷し静脈血(じょうみゃくけつ)が血管外に漏れていることです。

紫色になりますが、いずれ血管やリンパ管で吸収されます。靭帯損傷に有効な治療機器を使い、皮下出血班も吸収を促進させ早期に綺麗になるようにします。




捻挫が治るまで~患者様のお仕事や、生活スタイルに適した固定を提案します

腫脹も顕著な事も有り、特に歩行時に内果周囲に痛みが出て歩けないとの事。患者様に聞いてみると

「家の中だと、痛みがあるからつたい歩きをしないと歩けないのよ。」

「なにより通勤が不便でね~。仕事に行くのがおっくうになっちゃうの~」

ご自身がまだ仕事をしていらっしゃるので、怪我をする以前の様に、普通に歩けるようになりたいとのことでした。

 

腫れてる箇所に電気と超音波を。あっという間に腫れが治まる

①電気治療

整骨院に置いてある普通の電気治療器ですが、結構効きます。吸盤の様になっているカップを直接あて、患部周囲組織を電気で動かして腫脹を軽減していきます。この時に、怪我の修復に当たっている組織中の白血球や血小板が元気に動き出します。動くことで、固まった組織(腫脹)が引いてくるのです。

②超音波治療

整骨院では標準的にありますこの治療器は、様々な分野で活躍してくれます。特に関節疾患に効果が高く、捻挫にはもってこいです。

今回のケースでは、痛みの割に腫脹や皮下出血班が大きいため、三角靭帯組織の修復と腫れを引かせる為に行ないます。

超音波をかけると、ミクロの振動で皮下出血斑(ひかしゅっけつはん)が散れ、終わった後には紫色も薄くなります。若干温かく感じますが、電子レンジと一緒で赤血球や組織液が振動し熱を放散します。この時にミルミル腫れが引いていくのが解ります。

③固定

腫脹が関節周囲を覆うように腫れが目立つので、オルテックスを巻いた上に包帯で固定、さらに足関節サポーターを装着し歩いてもらいます。

それまでつたい歩きでやっとという感じが、ご自身で歩けることが可能に!!

しかし荷重がかかると内側に痛みが生じるので、松葉杖を渡し、歩行訓練をします。松葉杖の上手な歩き方ではこちらの動画が参考になります↓

捻挫をした後の足がまるで赤ちゃんのあんよ?!クリームパンになったむくみを無くすには?

足先がぷっくりとクリームパンのようにむくんでおりましたが、固定していたサポーターと包帯を外すとむくみが次第に引いていき治療が終わるころには足関節のところだけとなりました。

干渉波、超音波治療を行い内果下に痛みがあることから包帯での固定ではなく、クッションを入れて足関節サポーターをして歩いて頂いたところ、痛みがほぼ無くなった状態で歩けました。

ただ、万が一に備え、杖は持っていて頂き必要に応じて使用してもらいました。

3日目

自宅ではサポーターを外していたそうで、歩行時痛はだいぶ軽減されたようです。

杖なしで歩行することが可能となりました。

4日目

足関節のむくみはかなり軽減されておりますが、皮下出血班がまだ残っている状態です。三角靭帯は圧痛も無くなり、舟状骨付近に痛みを感じるようです。

サポーターをして歩行をしますと、内くるぶし下の付近にも痛みを感じる為、クッションを当てて歩きます。痛みはないですが、足関節前外側にもけり出す際に痛みが出るとのことで、もう少し様子を見る事にします。

尚、杖を使わなくても歩けるようになりました。

 

5日目

昨日と状態に変化はなく、歩く際に違和感があるとのことでした。

そこで歩き方をチェックしてみると、サンダル履きの歩き方になっておりましたので、軽く脚を上げて、やや前方に目線を向けて歩いてもらいますと痛みが出ないとのことでした。

つまりかかと(踵)の後ろから接地し、親指(拇趾)に向かいけり出す外反母趾になる歩き方をされていたのです。

つま先が外に向くと、進行方向に対し足が斜めを向いていますので、内くるぶしから舟状骨(しゅうじょうこつ)付近に荷重が掛かってしまうことが分かりました。また加齢に伴う筋力低下により偏平足になっておりますので、足が接地している時点で土踏まずのクッションが効かないのです。

そこでクッションも舟状骨側に変更することで痛みを回避する事が出来ました。

かばうような歩き方からなかなか足関節のむくみが取れないことから、写真の様に足関節底背屈の運動を行い、ムクみの軽減と可動域の拡張を行いました。

6日目

昨日同様の痛みレベルでした。足を上げて歩くことで痛み無く過ごせるとのことでした。

やはり足関節浮腫の軽減を図りつつ、歩きやすい環境を整えるため底背屈(ていはいくつ)の運動を行います。足を上げたり、さげたりですね。

7日目

蹴り出した時に土踏まずに痛みを感じるとのこと。

歩き方をチェックし、クッションの当て方を変えてみましたが、どうも日数的にも症状的にも、捻挫事態の痛みは消失しており、偏平足や痛みの場所など症状から察するに、踵骨隆起(しょうこつりゅうき)を疑いました。

 

8日目

ここからは踵骨隆起も含めて治療をしていくことに。

足関節周囲の浮腫みや足関節前外側部の歩き方により時々出る痛みなども並行して行います。

この頃には、皮下出血班もかなり消失し、歩きすぎなければサポーターも外しても痛むことはありません。

どうしても加齢による筋力低下で偏平足になりがちです。ふくらはぎの外側にある後脛骨筋(こうけいこつきん)が収縮して固くなってしまいがちです。

※内側から反対の方向に軽く圧をかけると、後脛骨筋にアプローチできます。軽くほぐすことで、より歩きやすくなります。またこれにより土踏まずの痛み、舟状骨の痛みも軽減できます。

15日目

治療回数も2~3日に1度の来院ペースで治療を続けております。

仕事で歩くことが多く、疲れてくるとすり足で歩く形になり、土踏まずに痛みが出てくることがあります。

そのため足関節のむくみがなかなか取れずにいるので、足関節をゆっくり大きく回したり、底背屈、指のグーパーなどのリハビリを行いました。

段々治ってきますと、厚みのあるサポーターが煩わしく、装着することがおっくうになるそうです。

薄手のが無いかと問い合わせがあり、新たに注文いたしました。

新しい薄手のサポーターがこれです。

ただこのサポーターに固定力は含まれていないため、すり足に気を付けなければなりません。

治る度合いをみてサポーターを切り替えることで、快適に歩けているようです。

 

16日目~本当に早く治す為のマニアックな説明~

今回は電気治療器の「アスピア」を取り扱っています担当の方に、今回の症例に対してアスピアがどのように使えるのかをレクチャーしていただき、ハイボルテージを使った後に土踏まずの痛い箇所に超音波を使い治療する方法を行いました。

当院が使用しております「アスピア」のハイボルテージ(HV)とマイクロカレントクロス(MCC)を使用して筋肉の緩和と痛みの出ている局所の疼痛緩和を超音波治療器とのコンビネーションで治療いたしました。

簡単に申しますとHVは深部組織の疼痛緩和や硬くなった組織に対する抑制効果や、筋肉の再教育(力の落ちた筋肉に対し高電圧で内部に電気刺激を与え筋を促進させ再生させる作用があります)これは通常の干渉波や低周波と違い、皮膚に対する刺激が少なく深部にまで刺激が到達しやすいため、踵骨隆起部や舟状骨に向けて装着し疼痛を抑制させることもできます。その時に底・背屈や捻転を加えることにより周囲組織を動かしより深部に到達しやすくしていきます。

次にMCCに切り替えます。これはHVが終わると自動的に移行するように設定されております。この目的は全身調整微弱電流を四肢の末梢部から流すことによって自律神経のバランスを図り、全身の筋膜の緊張を取っていき、体をリラックスさせることで痛みを取り除いていきます。

以前伊藤超短波主催の講義に参加した際にHVと併用した技術をブログでも公開いたしましたが、やり方はほぼ一緒でした。

先にHVを使い深部組織に到達させることで、超音波が短時間で届きやすくなるために早期に疼痛緩和が可能となるのです。

その後足関節の運動を軽く行い浮腫みの改善を図ります。

まとめ

捻挫をしたけど、治りが悪い・・・内出血の跡がなかなか消えない・・・など

固定も大切ですが、リハビリとして足首を動かすことも重要です。

更に完治させたい!と思う方にマニアックな説明を入れてみました。

ケガをする前と、今とでは『何となく違和感が残ってるのよね』とお悩みの方は、ぜひ超短波治療や電気治療を試してみてください。きっと良くなりますから

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