医師からは膝の手術を薦められたけども悩んでいる方は多いと思います。手術して治った人もいれば、痛みは引いたが膝が曲がらないといったケースは非常に多いです。

 

どのくらい重度だったら手術に踏み切るのか?

または手術をしなくても治るのか?

 

十分考える必要があります。

主に高齢になればなるほど、手術に踏み切るべきかどうかで悩みます。実際当院に通われてる方で、手術をして良かった・悪かったのご意見は半々です。患者さんの生の声をご紹介し、今手術をするか・しないべきか悩んでいる方の参考になれば幸いです。

人工関節に変えたらどうなる?!

手術をした後のリハビリや日常生活での介護などがどうなるかは人それぞれですが、一つ共通なのが

『激痛は無くなった』

手術をご検討の方は、痛くて痛くてどうしようもなく、曲げても伸ばしても歩けなくなるくらい痛い方が直面する問題です。この激痛が消えるのであれば、手術をすることで救われることが多いでしょう。

 

70歳以上の方は・・・?

ただし、年齢が最大の壁となります。高齢になると変形も強く、骨がぶつかり痛みが消えません。

手術をすると、筋力回復のリハビリに一ヶ月。
曲げ伸ばしができるまで2カ月かかります。

この間、術後の腫れとむくみで寝たきりになる方が非常に多いです。
痴呆が進む場合もあります。
最悪の場合、体力低下から合併し、肺炎になりそのまま入院するケースもあります。

手術をするかしないかは、ご家族の方との話し合いが必要です。まずは手術をしないでも治せるかを色々試してみましょう。こちらの記事をご参考下さい↓

YouTubeの『変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)』の痛みを改善する「筋トレ」まとめ

 

痛みが強いときは、お薬と併用し痛みを抑える

治療は基礎療法が中心ですが、痛みが強く激しい時は薬で痛みをとり炎症を抑えます。

腫れや痛みで動けない
痛みでリハビリが始められない

などの場合の補助的療法として有効です。

また関節水症などで炎症が強いと、関節の破壊が進む場合があり、それを抑えるために使用することもあります。薬は副作用が出ることもあるので、副作用に注意しながら服用し、医師と相談することが必要です。

 

膝のお水を抜くって、本当に良いことなの?

関節水症(かんせつすいしょう)による炎症がひどい、腫れが強い場合には注射器で水を抜く関節穿刺(かんせつせんし)が必要です。いわゆる『膝の水を抜く』とよく聞きますね。

また、炎症を抑えるために関節軟骨の成分であるヒアルロン酸を注入する場合もあります。化膿性関節炎(かのうせいかんせつえん)を起す危険性もあるので炎症が強い時のみにしましょう。

通院するたびに注入すると、体内に吸収される速度が高くなるため、効果が薄れてしまいます。

ステロイド剤

効果は強力ですが非常に強い副作用があるため、通常は避けるべきです。

 

 

温めるのと、冷やすのどっちが良いの?

患部を温めたり冷やしたりして痛みや炎症を抑えるもので、自宅でも行うことができます。

冷やす

痛みや腫れが激しいときや熱を持っているような場合は、アイシングが炎症を鎮める効果があります。

温める

反対に熱や腫れがなく慢性的に痛むような場合には、温めることで血行がよくなり痛みを和らげる効果があります。

両方やる!

温めたり冷やしたり、これを繰り返し交互に繰り返すことで、細胞が活性化し治癒速度が上がります。お風呂の後にアイシングが最も効果的です。

 

 

変形性膝関節症には、どのサポーターが一番効果的?

脚変形をサポーターや足底板などで支えたり真っ直ぐに矯正します。 またサポーターは保温効果もあり寒さで痛みやすい膝を守ってくれます。

①足底板(インソール)

実は、変形してしまう原因は『足裏の接地のバランスが悪い』があります。

足裏の外側の方が厚くなっている楔状の中敷の様な物を敷き、膝関節の荷重面を内側よりに変えるものです。

ソルボなどが有名です。
その人に合ったものをオーダーメイドし左右のサイズを微調整します。

 

②サポーター

膝がガクガクしたり力が入りにくいような場合にお勧めしています。

固定性・支持性に優れた ややきつめの装着感のあるものを使います。太もも中間~ふくらはぎ中間まで固定してくれます。歩行時にも邪魔にならない硬さです。

保温の効果もあるので、秋・冬場の寒さによる痛み増強に最適です。
冷え症対策にもダブルで有効

 

③杖

変形性膝関節症が進行した人や、転倒しやすい場合には杖の使用も有効です。

歩行時や椅子からの立ち上がりの膝の負担が軽減されれます。
普通のT字やステッキのほかに、足の部分が3点・4点支持になっている安定の良い杖を選ぶ場合があります。

 

 

手術ってどんなことするの?

変形性膝関節症の大部分は運動療法などの保存療法で症状が改善されますが、保存療法では効果があがらないケースも中にはあります。常時激痛が続き、歩行困難、痛みなどで日常生活に著しく不自由があるような場合には手術療法が検討されます。

ただし手術を行ったとしても効果は必ずしも永久に続くものではなく、手術後は一定期間入院しての固定やリハビリが必要です。感染症や合併症の注意が必要であったり、また片方を手術するともう片方の膝も手術が必要になる場合もあります。

 

①関節内鏡視下術

関節鏡を使ってギザギザになった半月板や関節軟骨の凹凸、骨棘(こつきょく)などを切除したり整えたりする手術。

主な痛みの原因が半月板損傷や骨棘で関節の変形があまり進んでいない場合などに行う。感染症などの管理があるので数日の入院が必要

 

②高位脛骨骨切術

O脚変形が進んでいる場合に、手術によってX脚気味に矯正し、関節内側の負荷を減らして痛みをとります。

脛骨を切って、金属などでX脚気味に固定。進行した変形性膝関節症ではよく行われる手術ですね。

「高位」とは脛骨の関節面から2~2.5cmの部分で、血管が豊富で骨のくっつきが良いとされているからです。骨がくっつくまで固定が必要なので、長期の入院と療養が必要。
骨がついた後もしばらくは松葉杖などが必要不可欠。

 

③人工関節置換術

悪くなってしまった関節を、金属やプラクチック、セラミックなどでできた人工関節と置換える手術。

上下の関節面を削り人工関節を埋め込む。
高位脛骨骨切よりも入院・療養期間は短い。
関節変形が高度の場合に行われ、痛みはほぼ無くなるそうです。が、膝の曲がる角度が制限されます。

強い運動は難しく、人工関節の耐用年数は15~20年と言われ、ゆるみや破損が生じて人工関節を入れ変えなければならなく、術後の感染症や血栓症などを起す場合もあります。

 

手術後も運動療法などの基礎療法は継続的に続ける必要があります。手術のメリット、デメリット、制限などをよく理解した上で決定することが大切です。

 

 

手術の適用年齢は80代前半まで

まずは手術に耐えうる体力が必要です。
これ以上の年齢の方はデメリットが多くなります。

術後に控えてるリハビリにも耐えねばなりません。90代で歩けないほど痛む方は、医師・家族と要相談です。
私は膝を治して旅行に行くのだ!!と強い意志をもって臨んでほしいです。

 

 

当院の変形性膝関節症の治療内容

1、膝関節の腫れが強い場合、アイシング固定を行います。

2、腫れを抑える為に、超音波療法・電療法クロス使用で行います。

3、☆超音波ではただ照射するだけではなく、出力を下げた状態で患者様に足を動かしながら行う方法もあります。こちらは最新の治療法で多角的に照射することができ腫れが引くスピードが早いです。

4、慢性的な膝痛の方は、固まってしまっている大腿部・下腿部の筋肉をほぐします。

5、患部をかばって反対側の下肢の張りが強すぎる場合があるので、反対側も同時に治療します。

6、かばっている影響で腰部・背部が過緊張起こしている場合も同様にほぐします。

7、痛めている患部だけ治療しても、何故か治らないということが多かったので、かばっている反対側・腰部も侮れません。

8、足のストレッチを優しく行います。完全伸展時に痛みがある場合、膝は軽度曲がっていても大丈夫です。

9、正座が難しい方には、他動的に軽く曲げたり、自転車をこぐ動作の練習をします。

10、最後は抵抗運動です。大腿部の筋トレをしなければならないので、患者様に蹴って貰ったり、枕を潰してもらったりします。

 

筋トレ方法は症状によって様々ですが、主に大腿四頭筋を狙って行います。

ここの筋肉を着けないと治らないと言っても過言ではありません。

筋トレを継続するのは大変ですが、必ず歩けるようになるので頑張りましょう。

 

 

普段の生活で気を付けるべきこと

①上半身を支える筋力などを衰えさせないことが原則

過度の負担をかけないように正座を控える
正座を避けられないときは正座用補助具などを使う
階段の上り下りは一段ずつ
エレベーターや手すりを使う
立ち上がる時など、手すりや何かにつかまる
洋式トイレを使う
重い荷物はカートなどを使うなど

 

②長時間の保温に注意する ・適度な運動を生活習慣にする

安静にしすぎると筋力や可動域が衰え、結果として状態を悪くする

 

③肥満の改善・正しい食生活と睡眠

無理なダイエットは栄養状態が悪くなり関節軟骨や筋肉を衰えさせるので、バランスのよい食事内容と規則正しい食習慣の確立が大切です。膝が痛いと運動不足になりがちなので、負担のかからない運動を無理なく行う

 

④運動療法で膝をを支える筋力を鍛え関節可動域を維持

また血行がよくなり関節軟骨などの栄養状態も良くなるので痛みを和らげる効果も期待できます。運動後に痛みが続くような場合は運動量を減らしましょう。

 

 

リハビリ~下肢の筋力UP~で改善します

膝の拘縮を改善・予防を目的【関節包や靱帯、筋肉などに刺激を与え新陳代謝が向上】

歩行に適した靴で平坦で歩きやすい道を選びましょう。20分程度からはじめ、慣れたら時間や速度をアップします。無理をせず、定期的に行うのが大切です。水泳、水中歩行、自転車こぎなども有効ですので継続できそうなものを選びましょう。

金沢文庫では、近くにダンロップ(スポーツジム)があるのでお薦めです!