野球をしている方に多く見られます【野球肩】【野球肘】ですが、治療は様々あるとして、自宅でのリハビリが早く復帰するのに不可欠なのはご存知でしょうか?

痛み止めを飲んでも治りません。練習を休んだからといって完治もしません。痛いからしばらく休んで練習を再開したらまた痛くなった・・・なんてことは小学生・中学生・高校生には良くありますね。

今回は野球肘+野球肩だった壱谷君の(以下I君)撮影協力のもと、基礎的なセラバンドリハビリ方法をご紹介します。

野球肩とは?

ボールを繰り返し投げることで肩が痛くなる障害の総称です。投球のどのタイミングで、どこに痛みが出るかによって、傷めた組織や筋肉・靭帯・骨格で症例が違います。また守備位置によっても投げ方は変わりますので痛む箇所も変化します。主に

内野手=肩の前側が痛い

外野手=肩の後側が痛い

小・中学生に多いですね。

内野手はゴロのキャッチからファーストへ投げるモーションをコンパクトかつ素早く処理しなければなりません。この際に下半身の力に頼らず上半身の力で投げているのが大半です。上半身の力だけですと次第に腕だけで投げていくことになり、肩にストレスが溜まってきてしまいます。

外野手はセカンド送球が多くなると思いますが、内野手よりも飛距離を出さなければなりません。自然とモーションを大きく、力強い送球が必要です。全身の筋肉を使っているかもしれませんが、骨盤の回転力が乏しく、遠心力で広背筋にストレスが加わります。広背筋から上腕三頭筋に負荷が掛かると、肩の後ろ側に違和感を覚えてきます。

 

野球肘とは?

繰り返しボールを投げることで肘が痛くなる障害の総称です。肘の内側、外側どちらが痛むかで重症度が違います。ピッチャー・内野手は肘の内側が痛くなることが多いですね。外野手は外側だったりしますが、バッティングの影響も考えられます。何千球、何万球投げていると肘にストレスがかかり『内側上顆(ないそくじょうか)』『外側上顆(がいそくじょうか)』が剥がれてしまいます。

解剖学的に言いますと【上腕筋群が内・外側上顆を下方に牽引している】状態です。私もリトルリーグの際に経験がありますが、投げる度に、めちゃんこ痛いです。酷いと肘の内側が腫れてきたり、赤くなったり、熱くなったりしたのを覚えています。アイシングしても全然治まりませんアノ痛み・・・

 

現在では昔ほど根性論では無く、科学的・医学的に立証されているリハビリ方法なので、野球をする方なら覚えておいて損は無いでしょう。また「あー見たことある動作だな」と思うのは、他の子達も同じような痛みと闘いながらこなしていますので、是非真似てみましょう!

 

野球肘用セラバンドトレーニング方法

ゴムのメリット

〇肘の色々なところを鍛えることが出来る

〇バンドの使い方によって鍛えられる筋肉を変えることができます

〇ケガのリスクが少ない

〇ダンベルなど違い重くないので、落っことしてケガをする心配がありません

〇自分で強さを調節できるので安全です

〇自宅で簡単にできる

〇たたみ1畳分のスペースがあればOK

〇コンパクトにまとまるので置き場所に困らない

〇安価にできる。

バンド1本あれば、特殊な器具はいりません。主に投球動作で必要なインナーマッスルを鍛えましょう。凄く地味です。地味ですが必ず結果がついてくるのが最大のメリットです。

 

リハビリ

①座って肘を曲げます。この際に太ももに肘を乗せて手首を手前に曲げます。手首を曲げる筋肉のトレーニングになります。

 

肘の内側から手首にかけてくっついている筋肉で、肘の内側をサポートする働きがあります。

手首を水平に保ち、脇を締め、バンドは足で踏んでおきましょう。少しだけテンションがある方が良いです。

②腕を膝から離さず、手首だけ上にゆっくり持ち上げます。バンドに抵抗感が出ているか確認して下さい。

頂点に達するまで持ち上げるのに1,2,3秒と数えましょう。×10回

③今度は反対の腕の筋肉を鍛えます。先ほどと同様に座った状態で、肘を曲げます。肘は太ももの上に。

掌が下を向くようにバンドを握って、手首を手前に反らせます。手首を反らせる筋肉のトレーニングになります。肘の外側から手首にかけてくっついている筋肉なので、肘の外側をサポートする働きがあります。

左手で肘が浮かない様にします。

全ての動作で1,2,3です。戻すときも1,2,3ですので、ゴムの反動でギュン!と戻らない様に気を付けましょう。

 

④次にリリース時に必要な【つまみ動作】で指の筋肉を鍛えます。左の写真の様に手のひらが下に向いた状態で、ゴムバンドを指でしっかりつまみます。

つまんだまま、手のひらが上を向くように、肘から先をひねって、ゴムバンドが手に巻き付くようにします。

親指と他の指でつまんで下さい。そこから上腕と同じように1,2,3とゆっくり往復×10

⑤反対もやりましょう

ゆっくりひねりを緩めていきます。

前腕(肘から先)をひねる筋肉のトレーニングになります。

この筋肉は肘の内側にくっついているので、肘の内側をサポートしてくれます。

 

 

野球肩用セラバンドトレーニング方法~基礎編~

何故投げる時に肩が痛くなるのか?と自分のフォームを確認したことはありますか?

セットポジションから構えてから肩を上げ、腕を上に掲げ、ボールを指で効かせ、降り抜くまでタイミングと痛む箇所でリハビリ方法は変わりますが、ここではオールマイティに使う『投げる動作に必須な筋肉』にアプローチしていきます。

①バンドを両手で端を持ち、足を肩幅くらい広げ、上図の様に頭上に掲げます。

少しバンドを引っ張りながらゆっくりと背中へ降ろします

②I君は右肩前方が痛むので、降ろすときには右肩の外旋が弱く、左肩が先に降りてしまいます。

できるだけ水平のまま降ろしましょう。

③お尻まで降ろしましたら、ゆっくりとまた上に戻ります。

この時はずっとバンドを引っ張りながらがコツです。

肩甲骨が窄まる(内側がくっついている)状態か確認して下さい。これも水平に。

④右肩が痛いかもしれませんが、できるだけ左の肩と同じようにしてください。

肩甲骨から上腕にかけて引っ張られた状態で、肩・肘が外旋(腕を後ろに捻る)すると、腕のふり幅が広がり、球速が約4~8㎞速くなります。

野球肩や野球肘になってしまうと、組織が硬化し、動きが鈍くなります。ピッチングコーチ側から見れば「腕が振れてない」と言われるので、腕を振れる様に「筋肉を拮抗しながら関節可動域を増やす」ことが大切です。痛みが出ない~少し出る程度のバンド引っ張るテンションで行って下さい。

※(注意)関節唇損傷タイプの野球肩には厳禁となります。あくまで軽度野球肩タイプとなりますので【ファーストまで投げれるけど痛い】という方におススメです。