デスクワーク中に、ある日気がついたら『手がシビれてる』なんてことはありませんか?この症状が起こりましたら、少し注意が必要です。

一番多いのは『神経根症状(しんけいこんしょうじょう)』と言って、頸椎(けいつい)からの神経の出口で

何らかの障害物がぶつかっている
・骨と骨の間が狭い
・棘突起で潰されている
・脂肪組織等でトンネルが小さくなっている

があり、神経が圧迫され痺れが起こってしまいます。

若い方ですと『スマホ首』や『ストレートネック』といった言葉は聞き覚えがあると思いますが、最近ではミドル層以上でもスマホが普及しており、若者特有の現象では無くなって来ています。

ミドル以上では椎間板のほか、頚椎本体を加齢による変形や『石灰沈着(せっかいちんちゃく)』『骨棘(こつきょく)』によって神経を圧迫したり、触れたりすることが多くなります。その他にも神経の通り道で、固くなった筋肉などほかの組織がふれることで、同様の症状が出てきます。

PC作業者に多い「キーパンチャー病」とは?

昔は事務仕事のなかに、『タイピスト』として入力を専門に行う職業がありました。そう呼ばれていた方に、肩こりや首の痛み・腕や手・指先に痺れなどの症状を伴う、原因不明の症状が多く見られていました。

これは後に『キーパンチャー病』と呼ばれる様になり、現在では『頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)』と呼ばれています。私自身この症状にかかったことがあります。デスクワークなどで、

①腕を同じ体勢で、長い時間にわたり使い続けたり
②繰り返し同じ動作をする
③筋肉や神経に疲労が蓄積
④首から肩・背中・腕に痛みや痺れをきたします。

『頚肩腕症候群』は特徴的な結果が無いので、逆を言うと特徴的な検査結果が出ない事から、初めてこの疾患にたどり着きます。

首には腕の神経が出ていますが、途中肩を通る際には、『あみだくじ』の様に何本もの神経が絡み合い大きな束を作っています。

姿勢が悪い方もそうですが、ストレートネックの様に首肩に負担の掛かる状態では、疲労で硬くなった筋肉がこうした神経に触れやすくなってしまうとので、痺れが出やすくなります。特にスマートフォンを良くご覧になっている方も、蓄積されたストレスや疲労が症状を出しやすくします。

 

レントゲンや画像診断ですぐに解る症例

画像診断などや特徴的な鑑別所見のある首肩の痛みをご紹介します。

変形性頚椎症(へんけいせいけいついしょう)

中高年以降の方では、椎間板が加齢に伴いクション性を失い、骨が徐々に潰れていくことで、手に痺れを伴うことがあります。うなじ(項部)や肩甲骨周りの背部にも鈍い痛みが出ることもあります。

軽い体操や温めるなど筋肉の血行を良くて症状が緩和することもありますが、強い痺れや運動麻痺などの症状が現れるとMRIなどの精密検査を得て重症度の判断をします。

 

頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんへるにあ)

首や腕を動かすと手に痺れや痛みが起こり、症状が進行すると下ろしているだけでも痛みや痺れが出てきます。
これは椎間板にかかる負担が偏ることで、中心にある『髄核(ずいかく)』が逸脱して神経を圧迫してしまい、痛みや痺れが生じます。

重度の症状ですと、歩行障害や排泄障害が起こり、脊髄を圧迫すれば運動麻痺が起こります。

 

頚椎後縦靭帯骨化症(けいついこうじゅうじじんたいこつかしょう)

40〜50歳代に多く見られ、頚髄に近いところにある後縦靱帯に石灰がたまり頚髄を圧迫してしまう病気です。原因は不明ですが進行性は少なく、症状は出にくいですが、頸部の痛みや手足の痺れ、手指の運動、歩行障害が出ることがあります。

 

レントゲンでは解らない症例

病院でレントゲンを撮ったとしても、必ずしも映るとはかぎりません。骨には異常が無いけど・・・と。レントゲンは骨は映りますが、筋肉や神経は透けてしまいますね。原因が後者の場合は診断名が着かない場合もあります。

いわゆる『ムチ打ち症

交通事故による追突や転倒で発症し、首や肩から背部に痛みや頭痛・嘔吐・耳鳴り・めまい・倦怠感などを伴います。まれに脳脊髄液が漏れたりすると、横になった時に症状が軽くなり、それ以外では症状が重くなると言ったことが起こります。

胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)

第1肋骨周辺の筋肉や、腱の間にある血管や神経を圧迫してしまう事で起こる病気です。主に首から肩腕にかけて、痛みや痺れ冷えといった症状が出ます。

特に腕を上げた状態で症状が強く出ることが特徴で、女性でも肩幅が狭くなで肩・痩せている方に起こりやすいとされています。

五十肩

肩関節周辺の組織が加齢に伴って発症すると言われています。
腕を頭の後ろで組んだり帯を結ぶ動作をすると肩に痛みが出たり、上がりにくくなり、夜寝る時に腕の置き所に困ったり、夜間に肩の痛みで目が覚めてしまう特徴的な症状があります。

肩の腱板断裂

肩の腱が切れてしまうことで痛みが生じます。肩を打撲したことがあると起こりやすく、類似症状では『石灰沈着性腱板炎』があり鑑別が必要です。

肩こり

首から肩・背中かにかけて、不安定な姿勢でいたりすることで、肩の筋肉が緊張して血行不良になり、硬くこり固まる状態。首の変形や眼精疲労、神経性や不安、ストレスなどが原因で起こることもあります。

いわゆる寝違い

『頚椎症』とも呼ばれていますが、頚椎同士で作られている小さな関節部分で、捻挫や変形性などが起こると、首から肩や背中まで痛みが出てきます。いわゆる寝違いとなどもこれが原因になることもあります。

頚椎の椎間関節や軟部組織に原因があることが多く、鼻や喉に病気があっても原因で起こることもあります。その他にも末梢神経が締め付けられて起こる場合、腱鞘炎などでも痛みや痺れを伴います。また腕や手に怪我を受け、治った後に起こることがあります。

このように特有の鑑別診断ができれば、傷病名がついてそれにあった治療が始まります。こういった画像診断を含め、特徴的なものを除外しても、痛みや痺れといった症状が出ているようであれば、『頸肩腕症候群』が疑われます。※診断は『医師』のみが行えます。

 

ハンドタオルを使った肩甲骨のエクササイズ

頚から肩の症状に最大の予防はなんといっても『バンザイ』です。
『バンザイ』は肩甲骨が動きます。肩甲骨は首・肩・背中と腕の筋肉がついていますので、あらゆる筋肉が動くといっても過言ではありません。そこで五十肩予防のタオルストレッチをしていただくだけで、痺れ予防だけで無く上半身の筋肉リセットにもつながります。

    ・立っていても座っていても構いません。
    ・普段お使いのフェイスタオルをお用意ください。
    ・両端を持って肘を伸ばし、タオルをピンと張ってください。
    ・そのまま両手を上げてバンザイをします。
    ・脇が伸びる様に体を左右に倒します。
    ・体を戻したらタオルを伸ばしたまま体の後ろへ持っていきます。
    ・腰のあたりで左右にタオルを引いていきます。
    ・元のバンザイの状態に戻し前に腕を下ろします。

これで肩甲骨がろんな方向に動きますのでだんだんとほぐれていきます。10セットを目標にやってみましょう。

 

『頚髄症』

姿勢が悪いと、頚椎同士の間にある椎間板に負担が掛かります。
椎間板内の『髄核』が逸脱して『脊髄』に触れてしまうと『頚髄症』を引き起こしてしまいます。

かつて有名な政治家の方が、趣味の自転車を乗っている時に転落してしまい、脊髄という神経の根本に当たる部分を負傷した事で、痺れだけでなく麻痺が残るという痛ましい事故がありました。
特に首の部分である『頚髄』は、全身麻痺に至ることもありとても重要な部分です。

 

私自身に起こったこと

初めはひどい肩こりでした。ある日ふと気がついたら、左手の中指と人差し指・親指の先がジリジリ痺れをかんじるようになり、これはもしやと思い左肩越しに後ろを見てみたところ、左肩から腕の後ろ側に落雷に撃たれてたような痛みと痺れが起こりました。

肩甲骨を意識して背中に寄せるなど動きを良くしていきました。座っている時も姿勢を良くしたり、スマートフォンも極力使用を控えるなどしてコリを含め首肩の負担を減らしました。
そうしている内に指の痺れは次第に無くなり、振り向いても腕に衝撃が来なくなりました。

私自身が経験した症状は割と軽く、重い症状は食欲不振や脱力感、手の冷えといった症状も出てきます。
痺れの症状が出た時点で、特徴的疾患を疑う確率の方が大きいと言わざるを得ないのが現状ですので、痺れが出ない生活をすることが大事になります。

普段から運動や体操などで日頃の疲れを取って起き、筋力が落ちない様に栄養を摂ることでこうした症状は防ぐことができます。

あなたにとって『いつもの状態』とは

普段何事もないから『健康』となんと無く思いがちですが、実は『一歩手前』の状態かも知れません。
ある日突然痺れが起こっても、実はいつも『一歩手前』でとどまっていたにすぎません。
いつも筋肉が固く柔軟性が無いとこの『一歩手前』があなたにとっての『いつもの状態』になってしまいます。

私自身も肩回りが常に凝り固まっていたため、遂に痺れが出る所まで来てしまったという訳です。

そこで『いつもの状態』を打開すべく、暇さえあれば肩甲骨を動かして筋肉の緊張をほぐしていました。空いた時間に必ずやったことで、2週間くらいで痺れが止まりました。
そして動かすのをやめて数ヶ月経つと、再度シビレがでてきました。そしてまた暇さえあれば、ひたすら肩甲骨をほぐして緩めていき『ほぐれているのがいつもの状態』となって初めて痺れが出なくなりました。

普段からの姿勢の悪さやスマホによる肩こりなどは『頸腕症』だけで無く『頚椎症』や『ヘルニア』とった症状を招きます。痺れは手術でも取りきれないケースもあり非常に怖い症状です。痺れの出ない生活が当たり前ですので、しっかり予防していきましょう。