当院で導入しているラジオ波治療器((株)酒井医療ラジオスティム)は、ラジオ波で体の部位(患部)を温める温熱療法として使用している機器の紹介です。現在世界で活躍しているMLBの大谷翔平選手や菊池雄星選手も使用している治療機となります。
これまでの腰痛治療に使用されてきた温熱治療の機器としては
・ホットパック
・赤外線治療
・マイクロ波治療
などがあります。それぞれ治療する際の痛みの原因となる部位に対して比較的浅くしか温めることができませんでした。
一方、ラジオ波は深いところ(深層筋群)まで温めることができます。ラジオ波による筋肉や筋膜の温度上昇することで血流を良くします。温めながらマッサージを同時に行うことでラジオ波治療器の良い点です。
動画の中(0:53~)でお腹の下に敷かれている金属板と、施術する手にあるプローブいう端子から発せられるラジオ波の受け手になります。
プローブと金属板の間にラジオ波が流れるため、痛みの原因となる部位の深いところまで温めることができます。
身体の深層部位を温めるメカニズム
ラジオ波は皮膚の下で熱を起こすことが可能です。簡単に言うと電子レンジの状態を作り出します。
仮に人間の体を『水風船』と例えましょう。水風船を作ったら地面に置きますね?この地面の部分を金属プレートとします。その上から手で押すと丸い形の水風船が楕円形に変形しますね?この手の部分はプローブとします。
地面と手で挟まれた水風船にラジオ波を流すと・・・中の水分が沸々と沸騰してきます。動いていない関節や細胞がどんどん活性化してくるという仕組みです。強引な解釈ではありますが、この状態を体内で作り上げてる形です。
①皮膚の下にある組織細胞自体を振動させる
↓
②細かい細胞の間で摩擦を起こす
↓
③摩擦熱で細胞自体が温めまる
ラジオ波は体の深層部位の温度を上げることで、的確に痛みの原因となる組織に対してアプローチすることができます。
プローブと施術する手でマッサージ
体の部位の温度を上げながら、マッサージを加えることで温熱療法とマッサージの二つの治療法を同時に行います。
マッサージを加えることで、
①動きの悪い細胞(硬結)をラジオ波で温め、施術で周りの筋肉細胞を動かす
↓
②痛みの原因となっている組織の動きが良くなり、筋肉細胞の可動が増える
↓
③凝り固まっている細胞が動き出し、関節も動かしやすくなる
体の部位の温度を上げながら同時にマッサージを行うことで、筋膜の動きをよくすることも可能です。筋肉や筋膜は、温度が上がることで柔軟性が高まり、動きやすくなる特徴があります。
ラジオ波機治療の効果とは?
ラジオ波は痛みの原因となる部位を深部からしっかり温めることができます。組織の温度を上げることで血流が良くなり、損傷している細胞の再生が早くなります。痛みの原因になっている部位の温度が高くなることで痛みに対する反応が良くなるため、痛みの和らげることが可能です。
例えると、冷凍の肉まんがあるとします。冷たいままだと硬いですよね?そのまま食べても噛めません。肩が凝っている場合が血流障害の為これに似ています。
この状態を電子レンジで温めると・・・ホカホカ柔らかくなり食べごろになりますね?解凍と温熱を加えることで、冷たい食材が湯気を立てるほど温まる、これが人体で起こっていると想像してみると解りやすいです。
神経症状にも有効
ラジオ波による治療は神経痛、特に坐骨神経痛にも有効です。多くの場合、腰痛や関節痛などの整形外科的疾患の痛みは針で刺すような痛み(侵害受容性疼痛)から始まっています。ラジオ波による治療で傷ついた部位の状態が改善し、侵害受容性疼痛を和らげることができます。そのため、痛みの原因がビリビリするような痛み(末梢性の神経障害性疼痛)で、特定の部位が傷ついて痛みを起こしている場合も和らげることが可能です。
●ヘルニアでの神経症状なら腰椎3~5番にアプローチ
●坐骨神経痛なら仙骨部位~臀部周りをアプローチ
●手の痺れなどは、頸椎から胸鎖乳突筋エリアにアプローチ
実際にご通院されている方々の症状緩和ケースです。
副交感神経系にも有効?
痛みの中で特にアプローチが難しいのはメンタルが関連する痛み(心因性疼痛)です。心因性疼痛に対してはラジオ波による効果をあまり望めないかもしれません。しかし、心因性疼痛は刺すような痛み(侵害性疼痛)やびりびりするような痛み(神経障害性疼痛)から起こることが腰痛や関節痛では見られます。そのため、結果としてラジオ波による痛みの緩和を期待することは可能です。
ストレスによる神経障害に悩んでいる方は、温まって気持ちいいな~くらいの感覚しか出せないかもしれませんが、少しだけ変化を出せるかもしれません。
ラジオ波で腰痛改善のメカニズム
腰痛は器質的腰痛と機能的腰痛に分けられます。
①器質的腰痛には脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなど
②機能的腰痛は筋性腰痛、椎間板性腰痛、椎間関節腰痛、仙腸関節性腰痛の4つのタイプに分けられます
動画の中で、プローブを腰の筋肉に対して当てています。
筋性腰痛では、筋肉の緊張が上がることによって痛みを感じる場合と、筋肉を覆っている筋膜と筋肉の間や筋膜同士での動きが低下したことによって痛みを感じる場合があります。
これら二つの痛みは侵害受容性疼痛であり、ラジオ波による治療で改善をできる痛みです。
体の部位を温めることとマッサージを一緒に行うことで、筋の緊張が高くなっていた筋肉の部位の緊張を和らげ、筋肉の緊張による腰痛を改善することが可能です。また、そのため、マッサージを加えることで筋膜の動きを改善することが簡単になります。また、血流を良くすることで、筋膜の周りの動きを低下させていた傷ついた部位の回復を促し、筋肉と筋膜を正常な状態に戻し、根本的に腰痛を改善することが可能です。
ラジオ波は筋肉だけではなく、神経に対してもアプローチを行うことができます。腰痛を抱えている際に、太ももの裏にびりびりする痛みが残ったことはありませんか。この痛みは神経障害性疼痛であり、太ももの神経が傷んでいることが原因です。ラジオ波はその傷んだ神経の回復を促し、痛みを和らげることが可能です。
このように、ラジオ波による治療は腰痛に対して効果があり、根本的に改善することができる治療法です。
参考文献: 「腰痛のプライマリケア 腰痛者と向き合う時の必携書」文光堂 2018年出版
安全面
温熱治療って火傷は平気なの?と心配な方もいらっしゃいます。ラジオ波治療機器は安全性が高く、治療を受ける人に対して皮膚に傷をつけることなく治療することが可能です。
ラジオ波治療を受ける際、治療を受ける人はぬるま湯につかったような温かい感覚があります。また、施術する際に触れている皮膚と手で温度を確認しながら治療を行うため、焼けるような熱さを感じることは少ないです。
損害賠償制度
ラジオ波治療機器は安全性が高く、ラジオ波治療においても副作用やリスクは比較的少ないものとなっていますが完全ではありません。最も危険なリスクとしてはやけどがありますが、施術する人が温度を確認して、温かさを聞きながら治療を行うため、リスクは抑えられています。
直接肌に金属板やクリーム、プローブを使用するため、アレルギーが心配になりますが、アレルギーを起こしにくい材料で作られているため、アレルギーは起こりにくいです。
もしも低温火傷などに陥った場合は、当院で加入している損害賠償保険制度を使い誠心誠意の対応させていただきます。
禁忌事項
体内に金属がある部位やタトゥーがある部位に対してラジオ波を使用すると、金属やタトゥーの染料部位で異常な温度の上昇を起こすことがあります。ラジオ波治療のリスクを最小限にするためにも、当院では体内に金属のある方、タトゥーの部位は危険のため施術できません。
また、治療中の皮膚疾患も同様です。乾癬や蕁麻疹部位など目に見える皮膚症状の方にも施術はできません。
ラジオ波治療器のまとめ
oラジオ波は痛みの原因となる部位の温度を上げ、血流を改善し、組織の回復を促す
o痛みの緩和、特に腰痛や関節痛で起きる針で刺すような痛みの治療に効果あり
o神経が原因のびりびりするような痛みにも効果あり
•ラジオ波治療機器による腰痛の改善
o筋肉と筋膜の温度上昇を通じて、筋肉の緊張の緩和や筋膜の動きを改善
oマッサージを併用することで、筋膜の動きをさらに良くし、腰痛の根本的な改善を促進
o筋肉だけでなく、神経に対してもアプローチ可能で、びりびりする痛みを改善