左手が腰に届かなく、痛みを伴う患者様。特に何をしたわけでもなく、徐々に痛くなったようです。

「洗濯物を干そうとして、腕が上がらなくて困る…….」
「洋服の脱着がしにくい ・後ろのファスナーの開け閉めがしにくい」 
「車の運転中ハンドルを大きく回せない」
「後ろの荷物を取ろうと腕を回したら痛い」
「シャンプーする時に、痛くて片手で洗っちゃう」

考えられるのは中高年の男女共に肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)です。四十肩五十肩(しじゅうかたごじゅうかた)有名な症状で一度は耳にしますね。肩が上がらなくなり痛みも伴います。

肩関節周囲炎とは①五十肩・四十肩凍結肩・拘縮肩の意味を含めた総症とした病名です。とりあえず肩回り痛そうだから診断名はコレにしとくねー的な大雑把なものだと認識して下さい。

肩周りが痛み、手を後ろに回せない「肩関節周囲炎」とは?

日常生活中に痛む・家事中・運動痛・就寝時の痛み等があり

①運動する時に痛みが起こる
②歯ブラシをしたり、服を着替える事が不自由になる
③夜中にズキズキ痛み、目を覚ます程の痛みを感じる

人それぞれ痛む瞬間は違いますが、共通するのは腕を後ろに回すと痛むことです。

はっきりとした原因は解明されていません。
老化が原因で関節や周囲組織が炎症・拘縮を起こすものの他に、筋肉や靭帯が水分・酸素不足になり弾力性が減少する等の原因があります。

↑モデルの鈴木さんは、体が柔らかいので難なく後ろに回せますが、発症している方はこの動作がしにくくなっています。

内旋も同様で、結髪(けっぱつ)動作・後頭部に手を持っていく動作がしにくいことも。

手が後ろに回らない!シャンプーすると痛い!

腰に手を当てる動作は複雑な動きを伴います。
腕を内に回す→肘を曲げながら腕を引き上げる→そしてその状態で内に寄せる。
動きによって使う筋肉は様々です。シャンプーなどは更にスライド運動も複合するので尚複雑ですね。

 

四十肩の原因は腕~手にあり?!

肩を色々と動かすには、三角筋が活躍します。
三角筋は肩甲骨・鎖骨などについて、上げる際に実は肩甲骨も動かなければなりません。肩甲骨は他の筋肉と違って、腕、頸、反対側肩甲骨にもついています。どの筋肉が不調を起こしても肩に影響を及ぼす恐れがあります。

肘や腕が硬い

肩回りだけではなく、四十肩五十肩の方の特徴として「腕~肘の動きが悪い」人が多いです。

女性の患者様は、当初手が全く後ろにいきませんでした。
私が後ろに持ってこようと動かしても、弾発性制限(止まってしまう)状態になり、これ以上動かせません。

 

手首が硬い

鍼灸での「経絡」のお話にも似てますが、肩と手の「ツボ」は繋がっています。

手首の動きを良くすれば、肩もすんなり動くという寸法です。

肩が痛いからと言って腕、肘、手首を動かさないままですと、そのまま動かない上肢(肩~手のことを指します)になってしまうので、治療する時は手まで動かしていきます。

 

四十肩にならない為に!厳選オススメ予防体操

①コッドマン体操

水500mlのペットボトルを持ち、中腰になり、両手をブラブラ円を描くように回します。

②壁這いずり

壁の正面に立ち。
痛い、上がらない手の指を壁につけてそのまま這わすように真上にできる所まで上げてください。動画の様にボールがあると楽です。

③タオル運動

両手でタオルを持ち真上に上げて、出来るなら後ろに持っていき腰までタオルを離さないように持っていく。

予防としてはどの動画も効果が期待できますが、痛くても適度に肩を動かす事が大事だとご理解下さい。

④ストレッチ予防運動

マエケン体操

このような運動で肩こり予防にももちろんなります。

プロ野球のピッチャー前田健太選手のマウンドに上がる前の体操が出来れば理想です。

究極のヨガ

もう、これに勝るものはありません。
段々と動かせる様になりましたら、是非こちらにチャレンジして下さい!!

 

どんなことに注意が必要か?

①デスクワークやパソコン作業が超長時間続く
②高い場所を拭き続けるなどの腕を上げての作業
③ゴルフやテニスのスイング時に遠心力がかかる場合
④横向きで寝る習慣が原因や、転倒時の衝撃

突然痛くなったり、徐々に動きが悪くなったりと様々です。

❶上下、水平の動きが制限される ・腕を後方へ回すと痛い
❷電車のつり革に手が届かない・上の荷物を取るときに痛む
❸手を着くと痛い・朝の起き上がりに痛む

何か動きがある時に痛むのであれば、注意が必要です。

更に注意しなければならないこと

似たような症状で、肩関節石灰化・関節リマウチが肩関節に起これば同様に肩が痛み、動かしにくくなります。

X,じっと動いていない時もジンジン痛む
Y,寝ている時でもジクジクジワジワ痛んで寝る事もできない
Z,肩を動かすと刺すような激痛が出る 等

※似たような症状で、肩の筋肉に沈着したリン酸カルシュウムが結晶となりが石灰化して動かなくなるパターンもあります。石灰化ですと、急性期は、ちょっとでも動かすと痛い!夜も寝れないほど痛い!このような症状でしたら、整形外科受診で痛み止めの注射を打てば痛みも無くなり、石灰も消えます。

☆夜間痛という、寝ている時(動かしていないのに)でもズキズキ痛むのであれば他の疾患を疑います。

この場合は早急に病院へ行き、医師の指導の下、レントゲンを撮りましょう。

 

寝る姿勢の配慮も大切

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仰向けで寝る時肩が痛い場合は、肩の下に柔らかいクッションを置いて、少しでも負担を軽減させましょう。
こちら寝方の説明がありますので、ご参考下さい。

 

まとめ

何故か中年に好発し、その名の由来となっています。
ホルモンバランスが減少してくる年齢と関係しているのでは?との有力説がありますが、定かではありません。

①肩の関節、関節周囲の靱帯・筋・腱・関節包などが、炎症や拘縮が起こる

②肩の骨の周りが硬くなり、腕をあげようにも固まってしまい途中で上がらなくなる

③40歳代で発症すれば四十肩、50歳代で発症すれば 五十肩

④一般に肩関節周りの痛みを総称して四十肩・五十肩と診断名を付けられる

⑤上腕二頭筋腱炎や石灰化と間違われやすいので、診断には注意が必要

⑥痛くても動かすことが大事

普段から腕、肩、肩甲骨を動かすことを意識して、日常生活も気を付けましょう。

原因の改善・安静をしっかりすれば、段々と腕があがってきます。
痛みが落ち着いてきましたら、肩関節を少し動かしてみたり、手を上げてみたりとリハビリを行ってみて下さい。