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肘脱臼は転倒する事があるスポーツ(ラグビー、アメフト、サッカーなど)に起こりうる外傷です。特に格闘技界では相手に転ばされる&絞められる際に好発します。桜庭和志選手は、新日本プロレスの試合で永田裕二選手のバックドロップを喰らう途中身体を反転させかわそうとして着地失敗で肘を脱臼。。

転倒時に手を衝く事は必要ですが、あまりに勢いが強い転倒だと手を衝くだけでは衝撃を吸収する事が出来ず、肘関節の脱臼や骨折が起こるのです。

勢い良く転倒→手を衝いた際に自分の体重+相手の体重が上乗せされ肘関節が耐えれなくなるのです。

手の平からの突き上げる力が作用し、前腕の尺骨が後方に外れます。マジで痛いです。

脱臼

腕があらぬ方向に曲がっている!!整復が治療期間を左右する

肘の痛みと明らかな変形が生じます。骨が出っ張っていたり、正常とはかけ離れた方向にあったりと・・・

痛みは主に肘の内側に出ますが、外側が主の時もあります。脱臼が発生した直後よりも、少し時間が経ってからの方が腫れが酷くなります。これは、靭帯や関節包が損傷を受けて起こる現象です。

肘関節の脱臼では、肘頭部が後方に出っ張る明らかな変形がみられます。このような変形が起きていれば肘関節脱臼の疑いが濃厚です。

ただし上腕骨【顆上骨折・外顆骨折・肘周辺の骨折】が起きてないかどうかを明らかにしておくことも大切です。骨折を思わせるような痛みや腫れがなければ脱臼として対処しますが、患部を触ってグズグズ音のする様な感覚だったり腫れが酷かったりしたら、レントゲン撮影して確認しましょう。

肘整復

現場では関節部分をアイシングし、三角巾で吊って患部を安静にします。
関節の位置を戻す整復動作は、肘の場合難しくありません。
前腕部を少し引っ張り後方にずれている肘頭部を押すと、容易に整復されます。転倒して脱臼起こした選手が起き上がりサイドラインまで来る間に自然に整復される事も稀にあります。

 

”クセ”にならないように脱臼後のリハビリは集中して行うべし!

外れた関節が整復されればそれで治療が終わりというわけではありません。

損傷を受けている関節包や靭帯を回復するまで、3週間程度は三角巾や固定具で腕を吊り肘関節の固定と安静をはかります。この治療がきちんと行われないと関節の緩みなどが生じる恐れがあります。いわゆる”クセ”になると、少し手を着いただけで外れてしまうことも。

 

サポーター選びの注意点

再発予防には、肘関節の可動域を回復させる事が大事です。
靭帯の緩みが残っている場合はサポーターやテーピングで関節を守ります。サポーターを選ぶ際には、がっつり目を選びましょう。マジックテープがバッテン×クロスしている様なものが良いです。

靴下の様な履くタイプは、関節の保護に適さない為避けましょう。

Amazonではザムストが検索されますが、これよりもがっつり系のが望ましいです。もしもどういうサポーターが良いのか悩んだ時はお近くの整骨院の先生に相談するのもありです。

関節包や靭帯が回復してから、関節の動きを広げる訓練を行います。
筋トレ然り、靭帯トレーニングが必須となります。
大まかな筋トレ方法は軽めのダンベル(ペットボトルでも可)やチューブを使用しましょう。

基本的な腕の筋トレ+動画の様に肩の付け根から鍛える事が重要となります。

転倒した際には華麗な”受け身”を取ってみる

衝突や転倒の多いスポーツでは、予防は非常に困難です。
転倒する時重要な頭部や顔面がを守る為に反射的に手を衝いてしまうからです。

手を衝かなければ肘脱臼は起きませんが、頭部や顔面が傷つく危険性が高まります。実際幼少児では、手を衝くことができずに、頭を強打したり顔に傷を作ったりすることが起こります。また最近では、転んでも手が出ない子供が増えているともいわれています。

転倒時に回転するなどして、背中のような広い面積を使って衝撃を吸収させるか受身を使うと、骨折・脱臼を防ぐ事が出来ます。柔道を経験した方なら分かると思いますが、あんな感じです。身体が覚えていればできますが、歳を重ねると・・・猫の様に丸まりましょう。

 

桜庭選手の魅力

冒頭で桜庭和志選手が肘脱臼をしたとも書きましたが、実は脱臼させた事もあります。

対ヘンゾグレーシー戦、バックをとられた桜庭選手は、相手の手を掴み隙を見て一瞬でアームロックを掛けた際相手と共に倒れた際に肘を外しました。事故みたいな感じ。桜庭選手はレフリーとセコンドに、相手選手が肘を外れた事を訴えていました。相手選手もそうなると完全に戦意喪失でした。

それに対し青木真也選手対廣田選手の試合では、青木選手が廣田選手の腕をアームロックをかけ、必要以上に締め上げ肘関節を脱臼させました。故意にでしたね。

 

日常生活で肘が外れる・外すとかは少ないですが、転倒の際は上手く受身をとりましょう。きっと身体を守ってくれます。

分からないことや、疑問に思ったことがあればお気軽にご相談下さい。