近年騒がれている『煽り運転』での厳罰化が話題になりました。運転者なら一度は経験があると思いますが、後ろから追突されそうになったり、ハイビーム威嚇されたり・・・怖いですよね。輩の車ならまだしも、軽自動車にも煽りをされることもしばしばありますね。それを取り締まる罰則が強化されました。

令和2(2020)年6月30日から「妨害運転罪」が創設されます。今後は、違反1回で免許取消処分となり、最長5年懲役刑や罰金など厳しい罰則が科されます。

また、以前は業務上過失運転致死傷罪と呼んでいたものですが、危険な状態で車を運転し、人を死傷させる事故が増えて来たことから平成26年5月20日から、運転者の処分を厳罰化するため「自動車運転死傷行為処罰法」(自動車運転処罰法)が施行されました。

今回は危険運転すると、危険+重責になるんだよ。というもののご紹介です。

飲酒運転や薬物使用時による死傷事故

アルコール摂取や薬物使用によって、正常な運転ができない恐れのある状態での運転し死傷事故を起こした場合

・死亡事故:15年以下の懲役(ただし、無免許運転の場合:6ヶ月以上20年以下の懲役)
・負傷事故:12年以下の懲役(ただし、無免許運転の場合:15年以下の懲役)

参考資料:神奈川県警

神奈川県では発生件数自体は減っているものの、死亡者数は横ばいが続いております。当院の国道16号線沿いでは毎週どこらかに事故が起きてるのが現状です。

 

幻覚や発作を伴う病気の影響

運転に支障が生じるおそれがある状態での死傷事故が起こった場合。これに該当する病気は政令によって定められています。

  1. 統合失調症
  2. 低血糖症
  3. そううつ病
  4. てんかん
  5. 再発性の失神
  6. 重度の睡眠障害等です

死亡事故:15年以下の懲役(ただし、無免許運転の場合:6ヶ月以上20年以下の懲役)
負傷事故:12年以下の懲役(ただし、無免許運転の場合:15年以下の懲役)

 

過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪

飲酒による事故で逃げ得をさせない様に新設しました。

事故後、さらにアルコールを摂取したり、その場を離れてアルコールや薬物反応を減少させる行為をした場合に、12年以下の懲役、無免許の場合は15年以下の懲役に処罰することが可能に。

なお、以前刑法にあった「自動車運転過失致死傷罪」は、自動車運転死傷処罰法の中の「過失運転致死傷罪」に名称変更されて引き継がれています。これにより行政処分の罰則も強化されました。

平成21年6月1日から飲酒運転関連の罰則がより強化され、かなり重い点数制度になりました。

  • 酒酔い運転:35点 欠格期間3年
  • 酒気帯び運転0.25%以上:25点 免許取消 欠格期間2年
  • 酒気帯び運転0.15%~0.25%未満:13点 欠格期間90日

もうお分かりかと思いますが、お酒を飲んだら『運転ダメ・絶対』ってやつですね。

悪質危険運転行為による行政処分

これは脱法ハーブや覚せい剤、飲酒で故意に殺人してしまった場合です。関係ないと思われますが、実は逮捕検挙エリアは①東京②川崎③横浜で、意外と多いんですね。。。

  • 危険運転致死:62点
  • 危険運転致傷:45~55点
  • 車運転による故意の殺人:62点
  • 車運転による故意の致傷:45~55点
  • ひき逃げ:35点

見たこともない違反点数ですが、以前の教習所で10年ぶりに運転するわーという訳有りのオジサンの言葉を思い出します。

 

通行禁止道路での違反

通行禁止道路とは、一方通行道路や高速道路の逆走、歩行者天国、歩行者専用道路、車両通行止めの道路などがこれに該当します。

・死亡事故:1年以上20年以下の懲役
・負傷事故:15年以下の懲役(ただし、無免許運転の場合:6ヶ月以上20年以下の懲役)

 

交通事故の刑事処分とは?

被害者が加害者に対して、厳罰を望むか確認されますので、「軽減させてほしい」と申し出があれば、刑事処分に課せられない可能性があります。被害者に対して怪我をさせている場合、誠意を常に示し礼を尽くすことが重要です。

それ以前に人身事故を起こしますと被害者、加害者ともに精神的ダメージがかなり大きいです。そうならない為にまず安全運転が義務となっています。これを忘れないでください。

もし交通事故の加害者になってしまった時、負わなければならない法的責任が

民事処分
行政処分
刑事処分

民事・行政処分は何となく聞き覚えがあるかと思いますが、さて刑事処分って何だったか・・・と思いませんか?

交通事故における刑事処分とは、ズバリ「罰金」と「懲役」のことをいいます。

交通事故での刑事処分を負わなければいけないのは、人身事故として処理した場合のみです。物損事故の場合は刑事処分はありません。

※物損事故において、ガードレールや電柱、標識や信号機などを破損させて届け出なかったり、修理代金を払わなかったりしますと訴えられますのでご注意下さい。

 

罰金刑と自由刑

交通事故における刑罰は、罰金は何となくわかりますが、自由刑は聞きなじみがありません。

罰金刑とは文字通りお金を支払う刑罰です。罪の重さに応じて「罰金」を支払わなければいけません。支払うお金が無かったり、あるいは無視しますと、自由刑を課せられます。

では自由刑とはなんでしょうか?

それは加害者の自由を大きく制限する刑罰のことなんですね。皆さんがドラマなどでよく聞く「拘留」「禁固」「懲役」に分かれていて、このことを自由刑と言うそうです。

 

「拘留・禁固・懲役」の違い

この3つはいずれにしても牢屋に閉じ込められるというところは一致していますが、内容は少しだけ違います。

拘留とは

1日以上30日未満の期間、刑事施設(監獄とも言います)に拘置するもの。

禁固とは

30日以上刑事施設に収容されますが、労働義務が有りません。それでもほとんどの禁固受刑者は労役を申し出るそうです。なぜなら日当でおおよそ4000円は貰えますし、刑務所内でも物品購入が可能ですので退屈しないのです。

この2つは30日を境にした違いに思われますが、「禁固」や「懲役」の場合は執行猶予を付けることが出来ますが、「拘留」は実刑のみなので、その日数分収監されます。

また拘留される罪状は

  • 公然わいせつ罪
  • 暴行罪
  • 侮辱罪

の3つになります。(チョット恥ずかしいですね)

「拘留」には「勾留」と類似した表現がありますが、全く異なります。「勾留」は刑が確定していない人が、一時的に身柄を拘束することをいます。

懲役とは

30日以上刑事施設に収容され、刑務作業を行うものです。懲役や禁固には、執行猶予がつくこともあります。

執行猶予期間を問題なく過ごせた場合は、刑事施設に入る必要はなくなります。ただし微罪でも罪を犯せば即収監されます。

私の友人で交通事故で刑事裁判になり懲役3年、執行猶予6年の実刑判決が下りましたが、6年間は精神的に参ったそうで、横断歩道を渡る際の信号無視にならないかや道路横断にも細心の注意を払っていたそうです。

そして万引きの容疑がかからないように、レシートは必ずもらうようにしていたそうです。

刑事罰の罰金刑、行政処分の反則金、民事処分の損害賠償・・・と一度の人身事故でかなりの出費を強いられます。もちろんご自身のお車の修理代も・・・。

安全運転は運転手の義務ですので、スピードの出しすぎやスマートフォンを見ながら運転しないようにお願いします。

 

人身事故の刑事処分一覧

自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項)これは、悪質、危険な運転(飲酒運転等がこれに該当)によって人を死傷させた場合に適用されます。

  • 7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金
  • 危険運転致死傷罪(刑法208条の2)
  • 死亡の場合1年以上の有期懲役(最高20年)
  • 傷害の場合は15年以下の懲役

殺人罪(刑法199条 )

死亡するかもしれないと思いつつも、被害者をひきずったような場合に適用されます。しかし、大型トラックなどでの巻き込み事故というのもけっこうあります。悪質でなければ、交通刑務所で禁固10年以内というのが現実です。

死刑または無期もしくは5年以上の懲役

緊急措置義務違反人身事故

ひき逃げもダメです。絶対。瀕死の人を無視するのもダメです。
5年以下の懲役または50万円以上の罰金

重症事故3ヶ月以上後遺障害あり

懲役刑・禁固刑又は罰金30万円~50万円

重症事故30日以上3ヶ月未満

専ら   罰金30万~50万円
専ら以外 罰金20万~50万円

軽傷事故15日以上30日未満

専ら・ 専ら以外 治療21日以下原則不起訴罰金15~30万円

軽傷事故15日未満、建造物損壊事故

専ら ・専ら以外    原則不起訴罰金12~20万円

人身事故を起こした時の罰金相場

人身事故は、最低でも12万円の罰金と厳しい刑事処分を覚悟する必要があります。常日頃、運転には気を付けましょう。