ダンサー怪我

参照:踊りやすい身体様

ダンサーは足に大変な力を掛かり、その為怪我が多く箇所によって対処方法が変わります。

「ちょっと擦り傷しただけだから大丈夫」
「足に少し違和感があるけどなんともないや!」 等

あまり痛みもなく、競技ができる程度の怪我だと放っておきがちですよね。ですが、違和感やいつもと違う感じがしたら「私の身体大丈夫かな?」と必ず疑ってください。大きな怪我に繋がる前の処置を覚えましょう。

ダンサーの足のトラブルにはどんなものがある?

擦過傷(擦り傷「ABRASIONS」)

擦過傷とは、皮膚の層の一部(表皮)が実際に擦りむけること。主に、摩擦を生じる様な異常な機械的な力が加わったために発生。

モダンダンス・素足のダンサーはこのタイプの外傷を受けやすい。床の表面に沿って足を移動したり滑らせたり刷る時、皮膚が張り付く。皮膚が擦りむけると大変な痛み。
皮膚の反応は火傷をした時に似ており、感染を防ぐために予防策を取る必要があります

①局所に消毒
②抗生物質や応急手当のクリームをつける
③治るまで清潔な包帯で保護する 等

適切な処置方法・サポーターで擦りむいた面への摩擦を和らげる効果アリ。外傷の部位と痛みの程度によっては、ダンスをすぐに続けても構いません。踊ると痛みが強くなるのであれば外傷の部分を軸に踊ってはいけません。治るのが遅れる恐れが。

 

骨端炎(APOPHYSITIS)

骨端炎

骨端軟骨板(こったんなんこるばん)は骨の成長する部分です。
軟骨板は踵にもあり、もし骨の成長面に傷がつくことを「骨端炎」と言います。

ダンサーの足でよく冒されるのは踵です。
若いダンサーの方は踵の後ろの痛みを経験はありませんか?骨端炎は、まだ成長が終わっていない若い人に起こりやすい炎症です。

実際には「成長痛」と呼ばれている状態の1つ。
10~15歳の間によくみられ少女より少年に多いです。

骨端炎は踵に衝撃が繰り返し起き、結果患部の血液循環が減少。
ジャンプ・ターン・走るといった動作で悪化しがちに。

患部への圧迫は大変に痛くて、体重をかけれない程です。もっとも炎症が起こりやすいのは踵ですが、成長する子供の骨の骨端軟骨板はどこが冒されてもおかしくありません。

最初の治療は安静です。
患部を圧迫することは3~4週間避けなければなりません。最初の48時間は腫れを減らすのに氷を使用することも効果的です。踵を約0、5㎝~1㎝上げることによってアキレス腱の緊張を少なくし患部を弛緩。

骨端炎は1~2ヶ月で完全に治るので、その頃にはダンスに完全復帰

 

関節炎

関節炎とは関節の変化を言います。

①骨関節炎
②関節リマウチ性
③乾癬性
④細菌性関節炎
⑤痛風 等

ダンサーに最も多く起こる関節炎は、骨関節炎すなわち変性による関節疾患です。過度に使いすぎたり引き伸ばしたりすると関節を痛めます。ダンスの後が最も強く、動かさないでいると硬くなっていくので関節運動が制限。

抗炎症薬・麻酔薬が有効で、理学療法で腫れを取ったり瘢痕を防ぎます。ダンスを休まずに治療するわけにはいかないですが、正しい治療をすることで早期に痛みを抑制しましょう。

 

水疱(水ぶくれ)

水疱は、皮膚外層すなわち表皮が下から離れて、その中に水のような漿液や血液がたまるものです。

皮膚に水疱・熱感を感じ始めたら直ぐに休み皮膚科へ。包帯やモールスキンのような保護剤で摩擦を減少。

原因は主に靴のサイズが合っていない&靴の中で足が擦れてたり、キツすぎて足が圧迫されていませんか?今一度サイズを確かめてみて下さい。

 

バニオン(腱膜瘤)

バニオンとは第一中足骨頭の骨が過成長したものです。隆起したものは見たり触ったり可能。特に靴を履いた時はかなり痛みが。

隆起した部分が摩擦すると炎症が起こり、滑液包炎に。外からの力がバニオンの形成を促進させるので、靴のサイズ・ストッキングのサイズが合っているか確かめて下さい。

 

打撲傷

打撲傷は軟部組織の損傷です。打撲は下にある骨には影響せず、皮膚の断裂も生じません。足への圧迫や衝撃のあと、毛細管(細い血管)は破裂。

ダンサーは着地の時に趾の先を最もよく打撲しがちに。ジャンプして着地する時は自分の体重の約4倍の衝撃があるので、ジャンプダンサーにはかなりの負担が足に。

打撲の初期治療はアイシング・圧迫・挙上です。3日後から温めて治癒を促進。テーピング等をして保護し、再発を予防しなければなりません。

 

脱臼

足のどの関節も脱臼する可能性があり、練習をし過ぎが原因の足趾関節脱臼が最も多い。
リスフラン関節ごと外れるケースも。
(RICE処置)氷を局所に当て、関節を圧迫して挙上。
骨を元に戻す必要がある為、医師の診断を早めに受けて下さい。

 

ガングリオン

ガングリオンとは、腱鞘(腱を包む)や関節包が液体で満たされて大きくなったものです。腱鞘や関節包にストレスが加わりガングリオンが形成。

ガングリオンはゆっくり成長し、そのものは柔らかく自由に動きます。圧力がその上に加わると痛みが伴う。
もっともできやすい箇所は足背の伸筋腱(足首の前辺り)の上です。この部分だけに集中した靴の圧力がかからないように注意して下さい。

 

ハンマートウ(槌指)

趾がハンマーの先と同じような形に曲がる状態の事です。趾の先や先端はこの異常な形のせいで、適度の圧を受けることに。圧迫によって、趾が赤く腫れて疱になったり、固い皮膚やうおのめができたり。

起こる原因として、骨の構造や腱の位置による筋肉のアンバランスによって趾のハンマー化が。もう一つは、外部からの力で、靴がきつすぎると趾先は曲がることになり、趾に持続的な(ダンス歴が長ければ長いほど)力が加わり変形してしまうんですね。

治療では、筋力のアンバランスと正しくないアライメントを矯正。生体力学的機能訓練と言いますが、詳しくはこちら!⇒ハンマートウ

 

膝の損傷

姿勢として、股関節の180℃外旋(ターンアウト)する際に、届かないダンサーは腰・膝・足首に力を入れ、股関節が外旋したかのような外見を作ろうと維持。膝を曲げて第5ポジションの型を作ろうとすると膝の不安定さを招き、靭帯の緊張が発生。

グランプリエでは膝に大きな圧がかかりそれぞれのポジションで、膝をいっぱいに曲げ、内圧+外力は内側側副靱帯に働き、靭帯と軟骨の損傷が発生。グランプリエでしゃがみこむのは避けて下さい。

ダンサーに最も多い膝損傷は、使い過ぎ症候群(ダンサーズ・二―)(膝蓋軟骨軟化症によるものです。過剰で異常な足の回内が原因で起こることが最も多いのです。過剰な足の動きは、膝を捻り小さな回転性変化を引き起こします。

 

~柔軟な足を持っている人~

可動性が大きく、膝の内側と前方の痛みが起こりやすい。

 

~硬く柔軟でない人~

動きが制限され、大きな衝撃を受け膝の外側が痛みます。女性は骨盤が広い為、よりダンサーズ・ニーになりやすいものです。

このような状態を治していくには、異常なバランスのをコントロールすることが大切です。踊る時にいつものシューズの中に装具を付けると、過剰な回内を制御し、膝への異常な力を減らします。まずは、診断をして、適切な装具を装着し、治療を早めに始めましょう。

 

 

足底筋膜炎

足底筋膜炎

足底筋膜は足裏の長い靭帯で、踵と中足骨頭を結びつけている役割ですが足底筋膜炎はこの腱膜束の炎症です。足裏靭帯が異常に伸ばされたり、衝撃を吸収しきれずにより発生。アーチの痛みと、時に靭帯のついている踵の部分の痛み。

足底筋膜炎の原因

生体力学的な原因と外傷の2つが大きくあり、足のアーチ部分へのどんな外傷も腱膜束の炎症をおこします。外傷で最も多いのはジャンプです。足のボールで踏切り着地するというのは、異常な緊張を生じます。

着地を正しく行わないと、強い外傷を受ける原因に。プリエはアーチを過度に伸ばし、足底筋膜炎に。

 

もしも足裏が痛くなったら?

初期治療は氷冷治療(毎時間10~15分氷で冷やす)と、初めの24~28の運動を制限することです。この時間の安静は重要で、腫れを減らし、慢性の状態に進むのを防ぎます。

色々なパッドやテーピングを施すのも良いでしょう!ロウダイ・ストラップかレスト・ストラップといっしょに長いアーチ用のパッドをすれば最もよい結果が得られます。

次の2~3週間はダンスの直前直後に10~15分間、氷で冷やす。

もし慢性的な足底筋膜炎をおこしているのなら、生体力学検査と歩行分析を受けるべきです。直ぐに診察を受けましょう。

 

種子骨炎

種子骨

種子骨と呼ばれる2つの小さな骨が、第一中足骨頭の底部に位置していて、母指屈筋腱の支点として働きます。この腱は種子骨を包むように通り、母趾を曲がりやすくしています。

足のボールが外傷を受けると種子骨に炎症をおこし、種子骨炎の原因となります。ジャンプからの着地が種子骨炎の原因です。正しくないターンをしたり、弾力のない床で踊ることも要因です。

初期治療はRICEの法則です。48時間たてば冷やさなくても構いません。保護的な分散パッドを指示用テーピングと一緒に使うと良い!種子骨の部分をしっかり保護する(圧力がたくさんかからないように)異常な力を和らがることが大事になります。

 

ダンサーのケガ防止に靴選びは欠かせない

ダンスの種類に関わらず怪我をしやすい「脚」
末長く安全に快適にダンスを続けるためには、脚を守るシューズ選びが重要です。

①足にしっかりフィットしている。
②足がしっかり固定されている。
③しっかりバランスがとれる。 等

ダンスをしてて一番のパフォーマンスができる靴選びをしてみましょう

ダンスには沢山の種類があります。種類によって、踊り方・身体の使い方等が変わってきます。『足首の捻挫』・『足底のいぼ』・『踵の痛み』・『足首・膝の痛み』等が挙げられますが、靴選びは慎重に⇒動かしやすい様に靴を傷めつけるのも大切です。

新品だとどうしても硬いので、叩きつけたり釘で傷を作ったりしましょう。