前回に引き続き、野球をするにあたって投げる動作から投げ終わるまでに肩や肘に痛みが出る方にお薦めする『ゴムチューブ体操・筋トレ』になります。これを総称して野球肩・肘のリハビリとなります。下記記事をご参考下さい。

練習する前に柔軟体操

練習後のご自宅ケアに

 

今回はもう少し本格的に踏み込んで、高校生~大学生でも有効なリハビリ方法をご紹介します。身体の成長期の内(15歳前後~)から覚えておけば、将来的にバネのある筋肉を着けることができ、どんなスポーツでもアビリティも増やすことが可能です。やって損は無いインナーマッスルを是非ゴムチューブで鍛えましょう。

インナーマッスルを鍛えるには『地味』だと覚えて下さい

プロ野球選手でもそうですが、ケガや痛みがあると『故障者リスト入り』とニュースで出ますね。戦線離脱、今季絶望なんかのフレーズを聞いたことある人は多いのではないでしょうか?プロはローテーションから外され、そのまま戦力外通告・・・なんて厳しい世界だと知っていますか?あ~そういえば、去年のドラフトの選手見ないな~と思っていたら、2軍に落ちている、もしくは球団から名前が無い。。。なんてザラです。

中学生・高校生はそんなことありません。ケガをしても9割近くの多くが復帰見込みがある!と思って下さい。手術適用の場合を除き、ほとんどの選手が

  1. 正しい柔軟体操
  2. 正しい筋トレ
  3. 正しい自宅ケア

 

をすれば青春時代は乗り越えれます。キツイ練習の後、柔軟をサボっていませんか?眠いから勉強しない→成績下がるのと同じですね。練習から帰宅した後のケア・筋トレを地道に行えば、野球に必要な筋肉・補助筋が育み、痛くなくプレー出来るようになります。

ですが、毎日やるのは面倒くさいですよね!疲れてるし眠いですね!コーチから「インナー鍛えると良いよって言われてるけどさ・・・」現に私もそうでした。お陰で肘がピンポン玉の様に腫れましたが。

逆説的に考えてみよう

野球の神様イチローさん。数々の伝説がありますが、小学生の頃から毎日10分素振りをしていたそうです。毎日とは文字通り365日です。何が何でも毎日って・・・と思いますが、その結果がメジャーに導いたことでしょう(強引な例えですが)。つまり

上手くなりたい←毎日練習・素振りする→打てる様になる

痛みが無く投げたい←毎日体操・筋トレ・ケアする→スムーズに投げれる

痛みは一朝一夕に取れる物ではありません

選手の骨格、筋肉量、投げ方、走り方等が長い年月をかけて完成されます。その間にどうしても”癖”も同時についてきます。

A,打てる様に毎日沢山素振りしてるのに! 腰が痛い

B,早く投げる為に、追い込み練習で投げまくってるのに! 肘が痛い

どこかのタイミング、恐らく0.数㎜単位でのズレが蓄積されての結果でしょう。長い年月をかけて精度あるプレースタイルになるのに、同時にモーションのズレも完成されてしまうのです。

スポーツの世界では、独学に限界があります。ここに優秀なコーチ、監督がいると選手もそこに集まってくるんですね! 名門と呼ばれる学校、例えば東海大相模の門間監督は、ケガをした選手のケアに相当手厚くしていると有名ですね。復帰してからも選手は輝いています。その【復帰】までの道のりは楽ではありません。相当地味です。辞めたいとも思うでしょう。ですが、こなした者は【痛くならない為のノウハウ】が身体に染み込んでいるので、今後の野球人生には痛めることが少なくなるのも事実です。

 

ゴムチューブは投球動作のある選手全てに有効

では早速やってみましょう。今回もモデルは壱谷君にお願いしました。

①ゴムチューブを柱などに巻き付け、ゴムの高さは肘~肩の間にします。上図(トップ写真)の様に立ちます

②脇腹と肘を固定するのがポイントです

③肘を90°前ならえ状態のまま、1,2,3秒でゆっくり胸元に引き、ゆっくりと戻します×10

 

真横に引けば、肩関節の骨の前方が可動し、肩のインナーマッスルに効くという形です。

これが基本になりますので、覚えておきましょう。

 

ストレートを投げると痛い! オーバースロータイプの選手へ

④真横に引く動作の次は、力こぶを作る動作になります。

これも同じで、肘と脇腹を締めます。

上半身がぶれない様に気をつけてください。

 

カーブ・スプリットを投げると痛い! 変化球で痛む選手へ

⑤さっきの逆ですね。肩、腕、肘を固定し

ゆっくりと真横に広げます。

これを肘の外旋(がいせん)と言いますが、変化球を酷使する選手は痛みが出ますので無理しないようにしましょう。

変化球を投げ続けると、三角筋外側(肩の後側)に負担がきます。ボールをねじる様に投げるので、必然的に肩の後側がこわばってきますね。それをゆっくり体内からほぐすのです。

 

コッキング期で痛む全ての選手達へ

⑥上図の様に、ゴムを柱の下目にセットし固定します。

そこから下から上へ一直線に引く動作です。

チェンソーのスイッチ入れの如く・・・と言ってもチェンソー触った事がある人が少ないですね。

⑦下から上に一直線で引くのに対し、次は大きく円を描くように引き上げます。

投げるモーションに大胸筋、上腕三頭筋にアプローチしましょう。

⑧トップまで持ってきたら、本当に投げるモーションまで行ってください。

※ここは別メニューになりますので、⑦の姿勢スタート→引いた状態から肘を曲げようとする所までの繰り返しとなります。

⑨胸を開いた状態の⑥、⑦の逆です。仮面ライダーの変身ポーズです。

前腕部と脇腹に力が入っているのを確認して下さい。

⑩素早くブルブルさせます。

ゴムを引っ張りきった状態で、左右に素早く振ります。小休憩の時にも行うと〇

⑪最後は引っ張り続けた手首をほぐしましょう。

軽く引っ張った状態のまま手首を大きく左右に回します。

 

以上が、野球肩・野球肘でお悩みの方に対するゴムチューブリハビリトレーニングの基礎編となります。立った状態でできますので、誰でも簡単に行う事ができます。ゴムのテンションを強くしたりする変化を加えると、細かい所まで効果が現れます。地味ですがやってみましょう。

 

ピッチャーはインナーよりもコアを鍛えてもらう必要があります

基礎編は誰にでも起こり得る肩や肘の痛みですが、ピッチャーは応用編が必須となります。

投球数が格段に多いので、インナーよりも更に深層の【コアマッスル】をアプローチする必要があります。これを鍛えないと、100球以上投げるのは危険です。

上図は友達にセラバンドを引っ張ってもらい、本人はそれに対抗する様に肩をゆっくり上げ下げしている写真です。肩甲骨に付着しているローテーターカフ(回旋筋腱板)というのを最大限動かし、血行促進させ、可動域を増やす方法です。痛みがあったりすると、自然と肩を庇い、動きが小さくなってしまう為ですね。

 

まとめ

野球をしていると肩や肘が痛くなってしまいます。原因としては選手の投げ方の癖によるものが多いです。下半身が弱かったり、骨盤の回旋力が無いと、腕の力だけに頼りがちになり結果負担が増えていく。投げても負担が蓄積されないインナーマッスルを鍛えるのは必須です。

基本的には脇腹と肘を固定。ゆっくり3秒かけ、10回繰り返す。地味ですが頑張って下さい。

毎日行うと、その効果は1,2か月後に現れます。「あっ、そういえば投げても痛くないな」と感じて貰えるはずです。3日坊主にならず、60日を目標として初めてみて下さい。きっと今よりも痛み無く投げれますから。今回ご紹介したチューブは重さ中程度の物です。

野球肩や野球肘でお悩みの方、または痛めてる選手の親御様。「この症状にはどのトレーニングが効くのか?」という質問等ございましたら、お気軽にご相談下さい。