野球をするにあたって、ケガをしない為には何をすれば良いのか?選手たちの親御様からご質問がありました。
「何故うちの子はこうもケガをしやすいのか?」
「練習中は平気なのに、試合になると足が攣る・・・」
「大事な試合前になると、決まって肩を壊すのよ」
小学生・中学生・高校生では、身体の成長によって痛めやすい箇所は変わりますが、概ね【身体に柔軟性が無い】子ほどケガをしやすいのは確かです。特に、足首の固さが目立つ子はどこでもケガをしやすいことも知られています。足首は上半身にも影響が出るんですね。
では足首以外にどこを柔らかくすればケガをしにくくなるのか?どんな柔軟を加えれば良いのか?前回の壱谷君の撮影協力の元、体操を完成できましたので、是非ご参考下さい。
野球肩・野球肘にならない為の予防体操~腕を伸ばして両手グルグル~
両手を伸ばした状態です。
肘を固定したまま、手で小さな円を描くように前後に回します。
横からも見てみましょう。前後回しています。
円の大きさは、ちょうどグローブの大きさ程度です。
これで肩関節内部~肩甲骨内縁+大胸筋~小円筋が刺激されます。
ゆっくり回すのと、素早く回すのを分けてやるのも良いですね!
野球少年の準備体操に必須!塁間でさえも痛い選手に
次に肘を下図のように曲げて、指先が肩にくっつくか確認して下さい。
野球肘が進行すると、指先が手にくっつかなかったり、左の指先の触れる場所がずれたりします。ここでは、指先が両手とも肩に触れる前提でいきます。
これも肩同様、肘で大きく円を描くように回します。
肘は曲げたまま、指先は肩に触れたままの状態で肘で円を描きます。
上にあげます。苦しくても肘が頭の上にくるようにしてください。
上腕三頭筋のストレッチも含まれます。
上に持ってきた肘を、そのまま胸の前に降ろします。
ここではなるべく肘が軽く触れるように降ろします。
彼の場合は、右肩は胸内に入りますが左肩は中々入りません。バランスよく回しましょう。
横から
グールグール回します。
コツとしては、肩を回すよりも、肘で円を描くです。
胸前は肘がくっつくように回しますが、後側では肩甲骨同士がくっつくくらい回します。肩甲骨で卵を挟む・割るイメージですね。
投げる瞬間!肩の前方や後ろが痛い選手の予防体操
両手を広げ、肘は90°にします。
思いっきり胸を開きましょう。平泳ぎの中盤の動きを繰り返します。
次に両手を大の字に広げたまま、肘を90°にした状態から、両手を後ろに持っていきます。
「Hnads UP!!」とアメリカの映画に出てくるワンシーンがありますね。アレです。
この動きを『外旋(がいせん)』と言いますが、野球肩のもならず、五十肩やインピンジメント症状の方はこの動きが痛くなることが多いです。リハビリとしては、この動作が一番大切かもしれません。
次に逆の動きですね。これを『内旋(ないせん)』と言います。
警察に手錠で捕まった時に、強制的にこの動きをされます。つまり、あの映画のワンシーンでは、四十肩五十肩・野球肩の人にとっては悶絶する程痛い事をしているんですね。
この外旋・内旋の動きを交互に行うのも大切です。
まるでロボットダンスの様にやってみて下さい。
どちらかの動きが狭い(可動域制限)だったり、痛かったりしましたら、痛い動きの方を重点的に練習しましょう。
野球少年に教えたい。正しい三角筋ストレッチ
学校の体育の時間でも見たことがある方は多いんではないでしょうか?
でもこれだけだと足りません。しっかりと『三角筋外側』を伸ばしてみましょう。
上図の様に、まず肘をキメて(関節が伸びない様に)抑えましたら、徐々に上に持っていきましょう。
そのまま、伸ばされている肩で小さな円を描くように動かして見て下さい。
上腕の外側が引っ張られる感覚が得られると思います。グルグル回しつつ、肘は引っ張るように。
各体操や柔軟の、伸ばす目安タイム
基本的には10秒キープ→5秒インターバル
でOKですが、これだと少ないので、30秒キープ→10秒インターバルで行いましょう。
余裕が出てきたら、1分伸ばしてみるのも良いですね。
自分の身体を労わりながら、練習前のイメトレをしながら行うと尚GOODです。
遠投でも痛くならない為のストレッチ
上図の姿勢で留めることは大丈夫ですね?更にここから前鋸筋(ぜんきょきん)広背筋(こうはいきん)上腕三頭筋を伸ばさなければなりません。
しっかりと後頭部と肘をロックします。左手で肘のてっぺんを掴みましょう。
球速が出ない、遠投が短い等は肩甲骨周りが硬くなる為、上図の様に大きく反ってしまいます。
逆に、上半身が柔らかくなれば、腕を振る距離が長くなり遠心力が増えます。球速も上がり、外野からバックホームまでは楽に投げれるようになるんですね。
上を伸ばしたら、下も伸ばします
今度は反対に、肩の上を伸ばします。
グッと後ろに引っ張ってあげて下さい。
肩の前方~大胸筋(だいきょうきん)と三角筋前面が伸びます。
特にキャッチャーやセカンドのモーションを小さく投げなければいけないポジションの選手に有効です。
腕や手首のストレッチを忘れずに!指先まで大事に伸ばそう!
腕には沢山の筋肉と腱があります。肩が痛いといって、腕や手首のケアを忘れがちですが、経絡(東洋医学)的には繋がっていますのでしっかりとストレッチしてあげて下さい。
上下、腕の筋肉を伸ばしましょう。
※注意)肘は真っ直ぐの状態です。指先も曲げずに「いててて」くらい伸ばしましょう。
親指から全ての指を伸ばします。
上図のように、ぐにゃっと曲げれる子は稀ですが、なるべくは前腕とくっつくようなイメージです。
まとめ
野球をするにあたって、身体の柔軟性が無いとケガを起こしやすいのは確かです。昨今のアメリカ(N・Aリーグ)では柔軟性が無くともOK!ということにもなっていますが、あくまで外国人の骨格だから・・・というのもあります。
日本人では、肩の可動域・肩関節の狭さがあるので、肩甲骨周辺を柔らかくしなければ成長期にはダメージが蓄積され、結果大人になっても投球時痛い・・・ということもあり得ますし、現に草野球の方がご来院頂いています。
正しい柔軟・体操を覚えて、日々の方のケアに役立てて頂ければ幸いです。
もしも、野球肩・野球肘でお悩みの方、またはお子さんがいましたら、是非この体操を行なって見て下さい。