バレエダンサーが最も痛めやすいのは、言うまでも無く「脚」に関するものです。ジャンプや回転等様々な動きをする分、脚への負担はかなり大きいですよね。

ダンスの動きによって起こりやすい怪我は変わってきます。

①アラベスク
②アッサンブレ
③アチチュード
④バランセ
⑤バロッテ
⑥ジュテ 等

動きは沢山、脚への負担のかかり方と着地の違いで大きな怪我に繋がることも。

今回は実際に起こった現象を基に、脚を痛めるのはどうしてなのか?をご紹介

ポアントを始める年齢が早すぎると足を痛める原因に?

18才・ある女性のバレエダンサーに起こった出来事です。彼女は右足の第1MP関節(親指の付け根の辺りにある関節)に酷い痛みを感じていました。

1日の中でも、朝目覚めた時が激痛。歩き出すと10~15分で痛みは和らぎましたが、踊りだすと、特にルルヴェの時に痛みが戻ってきます。その時「骨関節炎」と医師には診断。第1MP関節の隙間が狭くなっていて、だいぶ変形していました。では何故変形していたのか?

8才の時にすでにポアントを始めてしまったのが原因

彼女の足の骨端軟骨板は8才までに完成されていませんでした。骨端軟骨は大人になると骨の一部に。骨の発育が未熟な状態でポアントを踊ったことが、彼女の足を痛める原因となったのです。

結果として、慢性的な痛みに悩まされる事に…..20才になって色んな保存的治療をしながらダンスを続けています。骨の発達段階でポアントを始めてしまうと、後々に影響がでてしまう事が分かりますね。

yahoo知恵袋に良い回答があったのでご紹介

トウシューズを履き始めるのに一番適切な年齢はいつですか?

最初に回答を書くなら、「人によって違う」が正解
これまでのレッスン時間や、技術、身体の条件などです。

>・12〜13歳以下は絶対履かせてはいけない(骨が12歳にならないと固まらず、危ないから。海外のバレエスクールは大体この方針だそうです)

選抜された、条件の整った粒ぞろいの生徒たちが、毎日体系だったトレーニングをする歴史あるバレエ学校であればそれで十分です。骨が固まらない云々という医学的な根拠というよりは、各バレエ学校の方針です。そのようなバレエ学校の存在しない日本では当てはまりません。

>・9〜10歳以上なら履かせてもOK(日本のバレエスクールの方針???)

日本というよりも、特別なバレエ学校ではない単なるお稽古事のスクールでは、世界的にそのようなところが多いです。年齢的にはおおむね小学校4年生前後でポアントを開始する教室が多いです。まだレッスンを始めて間もないとか、よほど誰が見ても危なくない限りは、ある程度の経験があれば一斉に履く。本来は個別に判断するべきだとは思います。

>・年齢を問わず、技術があればいつでも履かせてよい

これは間違い。
あまりあることではありませんが、例えば7歳や8歳でポアントを履けるだけの技術があるとしても、履かせるべきではありません。バレエの技術と医学的根拠は別の話です。ただ医学的と言っても、厳密な年齢が決まっているわけではないので、「低年齢でのトウシューズは履かせるべきではない」という曖昧な根拠ですが。

ポアントでの親指の位置に思わぬ落とし穴が

ポアントすなわちトウシューズは、ボックスフロントも土踏まずも硬くてたいてい丈夫な紙でできていますね。トウシューズを作るのに一番よく使われる素材は「サテン」です。

レザーやカンヴァスも良く使われます。バレエシューズはたとえピッタリであっても、踵がきつすぎたり趾が重なったりしてはいけません。立っている時は、足の指が全て平らに置かれ、ドゥミポアントの時は床の上で足のボールが平らでなければなりません。

正しいフィットというのは、つま先が自由に動くのではなく、わずかに動くくらいにシューズがピッタリ合っている事です。レスティングポジションやドゥミポアントの時は、足のボールは床に平らな状態で置かれており、靴の先は足の先に接して平らになっていることが一番良いでしょう。

16才・女性バレエダンサーのトラブルは、右足の親指の痛みでした。その痛みはポアントのレッスン後に始まり、痛む所は親指の爪の下部分。爪は黒ずんで、時には爪全体が剥がれ落ちた事もありました。親指の検査をした所、病理学的・解剖学的にもい所は無く、歩行分析・生体力学的にも異常なしです。原因はポアントでの運動か、シューズに彼女のシューズはラムウールでできていてピッタリ足に合っていましたが、

ポアントをした時に原因があるかも

彼女は、右足の親指をIP関節で曲げていたのです。
そして親指を底屈する時に、爪に大きな力と彼女の体重がまんまかかっていたのです。これが爪の黒ずみと剥がれの原因ですね。いわゆる「ダンサーズ・トウ」。彼女はポアントの親指の位置を修正する必要がありました。修正策として、ラムウールであて布を作り、親指の裏にサッと敷いた結果、彼女のつま先は底屈しにくくなった。

その後は右足を痛める癖を取り除くため、改めてトレーニングに励んでいます。

ポアントシューズを正しく合わせる為に、まず第2ポジションで立ってみる必要があり、足の筋肉をリラックスさせ徐々にドゥミプリエを。中足骨やバニオン部分に不要な圧迫がないように、少し余裕をもてるシューズ選びをしましょう。

足首の捻挫をして怪我を早く治すには適切な処置が大事

モダンダンサーは素足で踊るので、床の質によってトラブルを生じやすくなります。全く弾力性のない硬い床で踊る事は脚にとって危険な事です。柔らかすぎる床の上でダンスをするのもまた問題が。足関節が回転しやすく、捻挫を起こすことも多いのです。

なるべく「木」の床で踊るようにしてください。体育館の様な最も側方安定性が良い所で。木の床は弾力性があり、力を吸収するようなバネの効果も。

24才・男性モダンダンサーはリハーサルの時に足首を捻挫し、ステージが近い為に自分で治療をしようとしたのです。足首の怪我は大したことありませんでしたが、治療に問題が…….

彼は演技している時に観客に見えるのが嫌で、足にテーピングも包帯もしていなかったのです。捻挫は靭帯の損傷です。靭帯を治す方法として、外から固定・圧迫をして安静にしなければなりません。

処置をしっかりしなければ、小さな怪我だったのが大きな怪我に繋がる可能性も。まず腫れが引くまではテーピングを巻いて足首の固定・安静に。

足首を固定することで怪我を悪化させることなくダンスを続けられます。ダンサーの場合観客にテーピングを見せるのは恥ずかしいので、テーピング肌色のを選択。10日もすれば腫れも引いて、約3週間くらいで完治です。

捻挫をしたらまず応急処置を!の法則というのがあり、ガンガンに患部を冷やし、挙上と圧迫して安静です。

バレエ・モダン・ジャズ・タップダンスの種類によって怪我の起きやすい動きは変わりますが、そこに必ず怪我の原因となった動作が。以外と小さな事がいけなかったりするので、頻繁に捻挫や関節痛が起こる方は細かく自分の動作を分析して、怪我の起きない動作を覚えていけるといいですね

そして適切な治療です。自分で頑張って治療してみるのは良い事ですが、間違えていると逆効果に。

タップダンサーには致命的な「いぼ」との闘い

タップ専門のダンサーだった彼は、左足第2中足骨頭の下を痛めていました。タップをしている時は特に激痛。。。普通に歩いている時や他のダンスの時はそれほどありませんでした。

「たこか、うおのめか?」

と思っていましたが、実はいぼ。
いぼはパポパウイルスによってできるもので、最も一般的な治療は外科的治療ですが、ダンスを休みたくなかったので、それを拒否。

ダンスを続けながらいぼを保存的に治療することに。週に1度は診療所に通い、強い薬を使って治療。約8週間くらい完治にはかかったが、ダンスを休まず治療ができた。

バレエダンサーにもたこ・うおのめ・いぼができる事が。ダンスは足を酷使しますから。なにかできものがあるかな?と思ったらすぐに皮膚科&病院へ。

詳しくはこちら⇒いぼの治療法とは?

ダンサーが怪我を防ぐためにどのような事を注意すべきか?

まず疲労は身体になるべく蓄積させず、疲れていない身体を保つことが重要ですよね。

「今日は夜練習だったから帰るのが遅くなっちゃたし、眠さがダントツだからお風呂入るのやめよ~」
「眠さが勝っていても、明日や今後の練習・舞台で怪我をしないために、しっかりお風呂に入ってセルフケアをしよう!」

とでは全く違います。お風呂に入って身体の疲れを取る行動は欠かせません。使い過ぎや疲労によっていかに重大な怪我をすることがあるかお分かりですよね?

小学生や中学生は、体力・筋肉等が発達状態にあるので、疲労・使い過ぎによる怪我は多発。ストレッチやエクササイズも勿論大事ですが、足を衛生に保つことも予防の一つ。

適切なストレッチでシンスプリント・足首の痛みがなくなった?

ストレッチをする事によって、ダンサーは柔軟な身体を維持。完全にリラックスし優しいストレッチを感じて下さい。ゆっくりストレッチを強めていきましょう。ストレッチの時に、痛みや緊張を感じてはいけません。感じる手前くらいまで、気持ちの良い所まで行っていきましょう。

ダンスカンパニーに所属する23才の女性は、2年以上前から両足首の前部に痛みを感じていました。症状は慢性化になってきて、長く踊る程事態は悪化。前部シンスプリントになり始めていたのです。

原因は、後部筋群(ヒラメ筋や腓腹筋)を極度に締めつけるため、彼女は尖足の状態になっていました。足関節前部の痛みが合ったので、それをかばうために後側の筋群を使い過ぎになっていました。

それから厳密なストレッチのプログラムを始め、少なくとも1時間の患部へのストレッチは欠かせません。柔軟性が増し、後側の筋肉が伸ばされることで、2・3週間のうちに症状は治まり始めました。

ほんの2週間の後に、彼女は「プリエ」でずっと深く曲げることができたのです。ジャンプの時には、楽に踏み切れるる事を感じ、2・3ヶ月のうちに症状は消えました。

ストレッチにより長く時間をかける必要がありますが、ちょうどよいストレッチに必要な正確な時間は、ご自身でキメる事なのです。

呼吸はゆっくり規則的にコントロー。息は止めないで、全ての動作はゆっくり

ダンスの前に、全ての筋肉のウォーミングアップをしてください。ストレッチングはダンスの前と後に行って、もし途中で休憩があればもう一度ストレッチ。あなたの身体に合ったストレッチングを日課にすることが大切です。

多くの足のトラブルを避けるために、足の衛生を保とう

衛生に気をつける事は予防医学の点で大切です。ダンサーが足の衛生を保てば多くのトラブルを防げます

足は毎日洗って乾かす

ダンサーにとって大切な足は、菌がつかないように常に清潔に。乾かした後パウダーをたたくとより良い。趾の間には特に注意を払いましょう。水虫等ができやすいです。

バレエシューズにも菌が潜んでいて、足の匂いにも関係することです。

詳しくはこちら⇒アイテムのお手入れ方法

お風呂での足の洗い方にも気をつけてみましょう。ただタオルでゴシゴシと洗ったり、強い洗浄料を使えば足を傷つけている可能性も。

足に使用するコスメも洗い方にも気を使ってみて下さい。コスメの基本は、ナチュラル成分で香料の含まれないもの。スクラブも粒子の細い、優しい心地のものを選択。特に石鹸は合成界面活性剤が含まれず、成分も少ないのでオススメ。でも、直接足につけてゴシゴシ洗うのはNGです。

ポイントは、洗顔する時と一緒で、たっぷりの泡で包み込む様に洗う事です。また、指と指の間にも菌は沢山いるので、手の指を足の指の間に絡ませながら洗ってみましょう。

足裏をゴシゴシ洗えるマットを使ってみると良いですよ

爪は深爪にならないように、丸く整える

バレエ中に足がズキズキしたことはありますか?ポアントに問題がなければ、爪に問題があるかもしれません。多くは巻き爪ですね。つま先立ちをバレエダンサーは良くするので、どんどん爪が指に食い込むことに。
巻き爪

爪を切る前に必ず入浴をして足を清潔にしてから。入浴後は爪も柔らかくなっているので、切りやすいというメリットも。巻き爪のケアの為、ニッパ―方の爪切りと、やすりを準備しましょう。

爪の先の白い部分や指の形に沿って、爪切りで端を丸くカーブさせて切ってしまう人が多いようです。しかし、この切り方をすると爪の端が皮膚に当たってしまうことが多く、巻き爪の原因に。

正しい爪の切り方は、爪の先を横に真っ直ぐ切った後、両端はやすりで削って丸みを出すことがおススメです。爪を切った後は、シューズや靴下等に爪が引っかからないように、やすりで整える事が重要です。

爪の先の白い部分は、1mmくらい残しておくと、深爪する可能性も低くなり爪のトラブルにもgood。長くなると、2枚重ねになったり剥がれ落ちたりするので、ケアは欠かさず行いましょう。

天然繊維の靴下を履く

コットン・ウールの靴下を履くことで、汗を吸い足に呼吸をさせ、足の匂いの元となる細菌を減らす効果アリ。天然繊維の靴下は、「植物繊維」と、絹や毛などの動物から採れる「動物繊維」に分かれます。

吸湿性・放湿性に優れていたり、天然の抗菌効果や保温効果があったりと、素材によってメリットは様々あり、天然繊維ならではの優しい風合いと質感が特徴です。

皮膚を滑らかにする

お風呂で足を柔らかくした後、軽石を使って硬く粗い皮膚を滑らかにしましょう。保湿液などで皮膚に潤いを与えるのもいいです。

水虫やたこのめ・うおのめはダンサーにとってかなり気になる事です。演技にも影響しますね。「フットケア」が大切で、月に1回くらいはオイル・アロママッサージやその道専門のプロの手を借り、美容に努めることもgood

「ベイビーフット」という角質ケアをしてくれるものがあります。

靴は足に正しく合ったものを履く

適切でなくあっていない靴を履くと、足にダメージを与え怪我の原因に。シューズを決める際は、「サイズ」と「ワイズ(幅)」をよく考えて購入しましょう。

①指が曲がらずに完全にピンッと伸ばせるもの
②ドゥミプリエをしても痛くない
③引き紐も引っ張らなくてもフィットするもの

普通の靴のサイズの1~2サイズ大きくなると思います。一般にバレエシューズは小さめに出来ていると言われてますね?「バレエシューズはなぜ小さめに出来ているのでしょうか?」
これは必ずしもバレエシューズが小さめに出来ているというわけではありません。普段の靴は捨て寸がある関係で、細い人は小さいサイズを履いていることが多いです。足囲の細い人ほど普段の靴とバレエシューズのサイズのギャップが大きくなるという傾向がある為。

上記の①~③を必ず確認して、自分に最も合ったシューズを選ぶことをお薦め

足が匂わないようにハンドクリームやローションを塗る

乾燥と亀裂を防ぎましょう。
いつでも潤いのある綺麗な足を心掛けて下さい。足の匂いって中々消えませんよね。足の匂いは、足自体が匂っているのではなく匂いを放つ細菌が繁殖する為

①足は汗をかきやすい
②足は角質が多く、最近のエサとなる老廃物が多い
③靴下・靴で密封されるので、高温多湿の状態が長い

朝は匂いが無いけど、靴を履いて何分か行動すると匂いが。。。その匂いを出さないために制汗デオドラント「デオナチュレ」を使ってみましょう。

クリームの塗り方のポイント

塗るタイミングはお風呂上りが一番最適です。お風呂に入ることによって角質が柔らかくなりクリームが浸透しやすいんですね。

清潔な手で塗ってくださいね。塗り方にも

~円を描く方法~

局部に浸透するように塗る方法。500円玉を描く様にクルクルと。その円が大きくなるように塗っていくと浸透します。クレープ作りをするみたい

~何点かに置いて塗る方法~

クリームの塗りたい部位に何点かにチョンチョンっと置いて塗る方法です。広範囲に塗る時にオススメ。(足裏等)ムラなく均一満遍なく塗りましょう。

マッサージしながら塗るのも効果的です。クリームを塗る時に注意しなければならない事は

①使用料が少なすぎ・多すぎ

②肌が濡れた状態でクリームを塗る

③強くこする・シャシャッと素早く塗ってしまう

クリームは買うと高いから、ちょっとずつ使おうとか、いっぱい塗れば凄い効果が得られる~という訳ではありません。適量で優しく行うのが一番です。1回の適量は5円玉位の大きさです。そのくらいあれば広範囲に塗ることが可能。

強く健康な足を持っている事は、その人にとって有利に。足の衛生をしっかり考えることで、故障のないダンス人生を送りましょう。オーバーユースシンドローム(筋肉の使い過ぎ)にならないように、しっかり疲労を取り除くことが余計な筋力を使わず、怪我の予防にも。
分からないことや、疑問に思ったことがあればお気軽にご相談下さい。