「捻挫」(ねんざ)はどのスポーツでも起こりやすく、一度は聞いたことがあると思います。特に小学生~中学生・女性に多く骨格が成長しきっていない年代が負傷しやすいのが特徴です。
「足がグキッと鳴った」
「足首を内側に捻った」
「足首が変に曲がらないとこまでいった」
「つまずきそうになったら・・・」
等と経験している方も多いと思います。
バスケの試合中、ジャンプをして着地する時に足首がグキッといきました。
歩けないくらい痛みが出てしまって、試合は途中離脱・・・
完治するまでに1ヶ月かかった経験があります。それから頻繁に同じ個所の捻挫を繰り返し、医者には「捻り癖がついてしまっているねー」と言われ、当分はサポーターで固定してプレーをすることに。捻挫をしてから、足首の不安定感が長く続いたことを覚えています。すると突然グキットやってしまうのです・・・(勘弁してくれー)という気持ちでした。By渡辺
足関節は靭帯に守られている
足首捻挫の70%が足関節を内側に捻って起こります。
足関節外側の靭帯『前距腓靭帯』(ぜんきょひじんたい)を痛めることが最も多く、距骨(きょこつ)と腓骨(ひこつ)の空間が腫れてしまう現象です。
足首とは下図の様に
①脛骨
②腓骨を支えている③距骨
④踵骨(かかと)の空間
参考:noble
のことを言います。
②腓骨が青い靭帯にくっついているのがわかりますね?
上半身の体重を支える為に、あらゆる角度で腓骨を支えているんですね。
足を捻ってしまうと?
a,外くるぶし(外果)の前や下を押すとめっちゃ痛い・腫れがある
b,足関節を内側に向けると、くるぶしから引っ張られるような痛み。それ以上曲げないでくれ!状態に
c,足を地面に着くと痛い&力が入らず直立できない
大半は③前距腓靭帯→次いで④踵腓靭帯→①前脛腓靭帯の順に損傷し痛み・腫れが生じます。
足首の捻挫は、骨が痛むのではなく靭帯の損傷です!
捻挫は放っておくとクセになりやすいのでしっかりと治すことが大切です。
足関節がかなり腫れ上がり、足が着けなくなる
- 足関節や足の痛みによって歩きにくくなります。
- 損傷した部分を中心に腫れて皮下出血により色が赤→紫→赤黒く変わります。
- 時間が経過すると腫れや変色は広い範囲に広がり足の指先、足裏まで発生します。
- 骨折かと間違う程の痛みと腫れが起こる場合もあります。
- 靭帯が完全に断裂した場合は、関節が不安定になり、適切な治療を行わなければ後に捻挫を繰り返したり、関節表面の軟骨を損傷したりして、日常生活やスポーツ活動に障害をきたす場合があります。
- 靭帯完全断裂と骨折や脱臼が合併している場合、整形外科のレントゲンとMRI検査が必要になります。
- 軽いもので2週間~4週間、重度になると2ヶ月かかります。
- 中度~重度になりますと、剥離骨折も同時に起こる可能性があります。
捻挫の原因は?
不意に起こる場合と、スポーツ等で明らかに受傷してしまった為に起こる場合があります。
~不意に起こる場合~
①ちょっとした段差や出っ張りに気づかずに、つま先が引っかかってしまい足首が伸びてしまう。
②立ち上がろうとした瞬間に、不意に内側に捻り痛めてしまった
不意な場合は高齢者・中年層に好発し軽度~中度の痛み。
同時に、転倒した際手首を痛めてしまうこともあります。
~スポーツプレー中に起こる原因~
①ジャンプの着地時
②足関節を動かしている時に相手に足を踏まれ体重が更にかかった時
③階段の昇降時で足を踏み外し捻ってしまう
スポーツの場合は明らかですね。
外力も加わり重度になるケースもあります。
「走ってると段々足首が痛くなってきたな」
「捻っちゃたけど歩くのに問題ないから、病院は行かなくていいのかな?」
と思いがちですが、そんなことありません!
軽度・重度の捻挫なのかを知る必要があります。
しっかりと病院・整骨院に行って治療をしましょう。
アイシングの重要性
捻挫だ!と感じたら直ぐさま応急処置『RICE処置』をしてください。
どんなに軽い症状でも早急に処置することをお勧め致します。
冷やすことで炎症を抑える作用がある為、後に腫れにくいメリットがあります。
①捻挫した前脛腓靭帯・前距腓靭帯が痛む・腫れている。
②歩行時に足首を曲げたり足を地面に着けるとズキンと痛む
③外側・内側・手前側・奥側にどれかひとつでも曲げるとピキット痛む
④なんだか足に感覚がなく、グラグラした状態
すぐに冷やしましょう!
足首を徹底的に冷やしましょう
①RICEの法則
これは患部をほんの少しだけ動かしながら冷却することにより、ダメージからの回復を早めることができます。バケツに氷水を浸し、その中に足を入れ円を描くように15分程度冷やします。途中で冷たすぎて冷却を辞めようとなりますが、その先にある早期回復のため我慢します。冷たい感覚がなくなれば終了です。
ピキッと嫌な音がしたら足は動かさない!→病院・整骨院へ!
捻った瞬間にピキッと音がしたなと感じたら
①コーチ・先生に伝え
②応急処置をした上で
③直ぐにお近くの病院・整骨院に行ってください。
外側靭帯
前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)
踵腓靭帯(しょうひじんたい)
後距腓靭帯(こうきょひじんたい)
の断裂・骨折・ヒビが考えられるので、レントゲンを撮って精密な検査をお勧めします。
症状が出た場合は、痛くなくても違和感があるはずなので、絶対に足首を動かさない事!無理して動かすと、最初の段階では軽度だったのに重度に変わってしまうことがあります。
「違和感はあるけど、痛くないから練習続けようっと」
練習途中で・・→ビキッと切れた音がして・・・
靱帯完全断裂になってしまった・・・。
怖いですよね。
絶対安静にしましょう。
捻挫を繰り返すと『癖になる』ってどういうこと?
足首の捻挫を繰り返してなってしまうと「捻り癖になっていますねー」と言われます。
捻り癖というのは『足関節不安定症』と言われる症状です。
まず捻挫の後にしっかりと固定・リハビリをすると靭帯が太く頑丈に再形成されます。しかしここでまた捻挫をする事によって、靭帯が緩くなり伸びきった状態に。繰り返し捻挫を起こすと更に靭帯が伸びてしまいユルユルに。
足首捻挫には兎に角アイシングだ!!
受傷後3~5日は徹底的にアイシングを行い、炎症を抑え痛みを緩和します。
兎に角アイシングです!
冷たすぎて痛む→皮膚感覚が無くなるまで15分徹底的に冷やして下さい。これで予後の腫れ引き具合が決まります。
当院での渡辺の捻挫実体験治療がありますので、ご参照までに。
軽度な捻挫の場合は、1~2週間安静に足首をサポーター・テーピングで固定していれば治ります。安静にすることが一番なのですが、何もせずに安静にしろ!と言われても・・・
そんな時に、テーピングやサポーターで内側に動かないように固定してあげてください。
いいからテーピングだ!!赤城が叫ぶ理由
漫画のスラムダンクでゴリ(赤城)が捻挫でパンパンに腫れていました。「いいからテーピングだ!!」というシーンが強烈です。
動画のテーピング巻き方が綺麗ですね。
ホワイトテープを硬めにガッチリと足首を覆い、足関節のブレ(動揺性)を防止しています。スポーツ中の怪我、どーしても試合に出なければいけない場面ではこのようにガッツリと巻くことをお薦めします。
ご自宅でできるセルフテーピング動画になります。比較的軽度な症状や治りかけ、細かなステップを踏む種目には伸縮するテーピングを。ホワイトテープよりも固定力は劣りますが、ガッチリしていない分踏み込み・ターンがしやすいです。
捻挫予防のリハビリは、ひたすら下腿の筋肉を鍛える
捻挫が治ったからといって、放っておくことが一番してはいけない事です。スポーツを続ければどんなに注意していても再発します。その時重度にならないように足を鍛えることが大切です。
専門的に言えば親指の足裏側「母趾側土踏まず」を鍛えることです。
タオルやチューブを使ったリハビリ方法がありますが、基本的にはつま先立を進化させ「親指立ち」を3分程度続けるのも良いです。電車の揺れの中行うと尚効率が得られます。
タオルギャザー
タオルを床に敷き、足の指のみでタオルを手前に掴みます。掴んでは離しを繰り返し細かい筋肉と靭帯を鍛えます。足の親指(母趾)をゴムか紐を巻き、ゆっくりと外側に開いていきます。
これらをリハビリ期に行うことにより、再発予防にもパフォーマンスの向上にも繋がります。
足の筋トレをすると捻挫予防になる
①壁や台などの重いものの横に立ち、足首の働きだけで押すアイソメトリック運動。
足首の外側の筋肉を鍛えることができ、内側にひねりづらい下肢を手に入れて捻挫を防止することができます。
②階段などの段差につま先で立ち、かかとをゆっくり下げていく運動。
足首の柔軟性があがって可動域が広がることは、単に怪我しにくいだけではなく、筋繊維を強くすることにも繋がるからです。
捻挫後のサポーターは、恋人を探すつもりで真剣に探す
サポーターの重要性は「自分の足首にフィットしているか?」です。サイズが合わなかったり、つけていても足首がグラグラするようでは効果がありません。
左右にブレナイ心地よいほど締めつけ感があり、巻くと少し足を挙げ易いのを選びましょう。
1000円台の安いのはオススメしません。何故なら生産過程で大雑把差が出ているからです。繊維が荒かったり、つなぎ目がズレていたり。
良い物は高いですが、繊維の発汗性・吸着率・硬さ・バンテージの伸縮率が計算されている為、予後が大変宜しいです。ネットで選ぶ時には有名所のメーカーさんがお勧めです。値段は3000円~1万以内程度です。
ただし、実際に装着してみないと分からない部分も多々あります。お近くの整骨院の先生に気軽に相談してみて下さい。患者さんにベストフィットするサポーターのアドバイス・提供をしてくれます。
捻挫を繰り返さないように(癖にならないように)するためのリハビリ法
スポーツ中にもっとも多い怪我が“足関節内反捻挫”です。
走っている時や、踏み外した際に足首を捻ってしまい、外力と自分の体重で足の靭帯を損傷してしまうことです。痛いまま放置していたり、中途半端に治すと足の靭帯が緩み、クセになりやすいのでしっかり治しましょう。
足関節は身体を支える骨と靭帯でできている
足の骨とふくらはぎの骨がジョイントしている周りに、それらを補強している靭帯があります。
足関節の靭帯→前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯、三角靭帯、二分靭帯を痛めることが多いです。
捻挫は内側に捻ることが多い
横方向では外側より内側に大きく動くため、怪我をする頻度も内側が多いのです。

①バスケットボール時のジャンプして着地する瞬間に、相手の足に乗り捻ってしまう。
②サッカーでターンを切る際に反動で捻る等があります。
③日常生活でも、段差につまずきバランスを崩した際捻ることがあります。
つま先が下を向いた状態で足首を内にひねる動作(土踏まずの内側が上を向くような形)を内がえしといいます。反対にひねるのを外返しといいます。
程度が強ければ足首の外側の踵腓靭帯をさらに損傷し、みるみる腫れてきます。足のひねり方によっては、足首の内側靭帯や甲部分の靭帯、またはくるぶしを痛める場合もあります。靭帯の損傷に止まらずに骨折が起こる場合があります。
子供では靭帯が断裂するかわりに靭帯の付着する骨の表面が剥がれる剥離骨折という状態になる場合があります。たかが捻挫と侮っていると重症の怪我の治療が遅れて後遺症を残す場合もあり、注意が必要です。
③テーピング固定、ギブス固定、サポーター

腫れの程度にもよりますが、足がつけない程痛むのであればギブス固定し松葉杖が必要になります。完全に巻くとお風呂で濡らさない様になどと不便さが出てしまうので、あらかじめ脱着できる物を作ります。
スポーツをしている方には、ホワイトテープ、テーピングで固めてしまいます。ホワイトテープでは内反予防で厚く硬めに。テーピングでは王道の8字固定を行います。
一般の方には、皮膚のかぶれ・松葉杖のデメリットを考慮し包帯固定、サポーターで対処します。腫れている部分に柔らかめのパットを当てがい固定することで、次の日の腫れを抑えることもできます。
④超音波治療
受傷してから3日たつと内出血部の色が赤色から赤紫色に変わっています。その腫れを散らすためにも超音波治療が有効です。
固定だけで終わらずにリハビリを続け、強靭な足関節を手に入れましょう。
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