「物を持ち上げようと前かがみになった瞬間」
「洗面台で顔を洗おうと下を向いた瞬間」
「起床時に起き上がろうとした瞬間」
ギクっ!!!!・・・
中腰で荷物を持上げようとした瞬間に激痛が走ったり、よろめいてちょっと片足を勢いよくついてしまった瞬間などにぎっくり腰になりやすいですが、日常の中で同じ動作をしても平気だったのに、ある瞬間にぎっくり腰になってしまいます。
まさにギクッと鳴ったかのように腰に激痛が走る症状がぎっくり腰です。
ドイツ語では「魔女の一撃」と呼ばれるほど、激痛が襲います。徐々に痛みが増し全く動けない状況になる場合もあります。
なぜぎっくり腰になるのか?
①筋肉疲労
少しずつ溜め込んだ筋肉疲労が、あるとき負荷の許容量を超えてしまい発症してしまいます。
睡眠不足や栄養バランスが取れていなかったり、運動不足や座りっぱなしの仕事を続けるなどしていると、筋肉疲労が回復することなく徐々に蓄積されていき、やがて腰痛を招いてしまうことになります。
②骨格の歪み・筋力のアンバランス
立ちっぱなしの仕事や座りっぱなしの仕事。
長時間、同一姿勢で身体の柔軟性が失われていき、同じ骨格や筋肉だけを使うことになってしまいます。
歪んだ骨格は左右のアンバランスを生み出し、その周囲の筋肉への負荷に変わります。身体のバランスをとろうとする代わりの筋肉にも徐々に筋肉疲労が蓄積され、やがて腰痛につながります。
③突然の過負荷
若い人やスポーツ選手に多い原因で、高所から飛び降りた着地の瞬間。
勢いよく振り返った瞬間、横になっていて勢いよく起き上がったときなど。
止まっている状態からいきなり動いたとき、動きの急激な切り替えの時に、腰にいきなりの過負荷がかかり、ぎっくり腰を起こしてしまいます。
一般の人には、物を持ち上げよう中腰になる瞬間、くしゃみをした際、後ろの荷物を取ろうとした時、車の座席から移動する際などがあります。
④朝起きた時や寒い時期
秋ごろから好発しやすいです。
気温と体温の温度差によって発生します。
⑤体の使い方の癖がきっかけになる場合
半年に一度、一年に一度など、定期的にぎっくり腰を再発する方。
日常的な体の使い方(前屈みが多い、腹を突き出して立つ等)が腰への負担となり腰部の筋肉に疲労が蓄積される。
⑥運動不足、冷え性
血流が悪化すると、筋肉の動きが低下し筋肉が引きつれやすくなります。
突然ぎっくり腰に襲われた方
①朝、洗顔時に電気が走るように”ズキン”となり腰が抜けるようになり立てなくなる。
②少し届きにくい窓・棚・書物を右手を延ばして開けた時、左腰がビクンと引きつり腰が固まった感じになる。その後立てなくなる。
③椅子に腰かけていて、斜め後ろにあるコップやリモコンを取ろうと後ろに振り返り手を伸ばした時、腰に痛みが走り腰が伸びなくなる。
④子供を抱き上げようと前屈みになった時、ガクッと力が抜けて立てなくなった。
その場に座り込み動けなくなった。
徐々に痛くなる方
①朝、目覚めて布団から出る時、腰が攣ったように感じた。
その後、時間とともに痛みが増していき、昼頃には痛みで座っていられなくなる。
②ゴルフでのプレー中、午前中腰が徐々に重たく感じる。
午後は更に腰が痛みだし、テークバックができなくなった。
③肌寒い室内で足元が冷えている。
長時間座っていたら、腰が重だるくなり、電車の座席から立ち上がっても腰がすぐに伸びなかった。
④やや高いヒールを履き長時間立っていた。
翌朝、腰の痛みでベッドから起き上がることができなかった。
ぎっくり腰になった時の、痛くない起き上がり方
無理はしないでゆっくりと行うのが〇。
トイレや食事など動ける範囲で動くことが重要です。
痛いからと寝たきりですと、かえって治りを遅くしてしまいます。
1、ベッドから起き上がる
※ お腹に力を入れることは良いですが、腹筋や背筋を使わず起き上がるようにします
①ゆーっくりと横向きになります
② 先に足を降ろします
③ 肘と手でマットを押し、上半身を起こします
痛すぎて、笑うみたいです・・・
④ 足が床に付いたら、ゆっくりおしりをマットから持ち上げます
⑤ 最後に上体を起こします
この際、お尻を浅く座るのがコツです。
太ももに力を入れ、腰は真っすぐ伸ばしたまま立ち上がりましょう。
2、布団から起き上がる
① 横向きになります
② 下になっている腕と下半身を徐々に縮めながら、その腕と足を立てていき四つん這いになります。
③その位置から椅子などの支えがある場合は、それを支えに立ち上がります。
④支えがない場合は、片方のヒザを立て、立てたヒザに両手を置き、それを押し下げるようにして立ち上がります。
ぎっくり腰になったら、安静・アイシング・固定です。
次に、どのように体を動かすか、どうすれば痛みが和らぐかをご自身の身体に記憶させます。
1、痛みが一番楽な姿勢を見つける
横向きでゆっくりと寝てしまいます。痛みが落ち着くまではアイシング!
仰向けになり、両膝を曲げる。このままコルセットを巻く場合もあります。
横向きの姿勢で、背中を丸めるさらに、足の間に枕(タオルを丸めた物)をいれる。
2、少しづつ動き始めてみる
足首を動かします。上下左右とリラックスした状態で10回ほど動かしましょう。
膝を立てて揃えたまま左右に小さく動かす。何度か動かすと可動域が広がるので、痛くない範囲で10回左右に振ります。次に、体育座りの要領で両膝を抱えて、上下に1分程揺れます。
3、ゆっくりハイハイする
四つん這いになってハイハイします。広背筋や股関節の筋肉が柔らかくなります。ゆっくり動かせる範囲でハイハイしてみまょう。部屋の隅から端まで5往復くらいです。痛みが出るようならやめてください。
4、お風呂に数回はいる(痛めてから3日目以降です)
ある程度、動けるようになったらお風呂に入りましょう。温度は、熱すぎない38℃〜40℃程度がベストです。痛みがあるうちは1回入浴を10〜15分までとしてこまめに入ると良いです。
受傷直後から2日間はアイシング必須ですが、3日目以降はお風呂に積極的に入って下さい。炎症を起こしている患部の周りの組織が、修復作業の影響で硬くなってしまうため、お風呂で筋肉を温めた方が早く治ります。
5、太ももの前と後ろの筋肉をストレッチする
正座で太ももの前の筋肉をストレッチします。可能であれば正座の状態から、両腕で支えながらやや後ろに倒れてみて下さい。四頭筋全面が伸びてる感覚を見つけ、1分程度ゆっくりと伸ばしましょう。この時深呼吸しながら行うとより伸びます。
次に、太ももの裏(ハムストリングス)のストレッチをします。
イスに浅く座る→片足を伸ばす→ゆっくり前に体を倒していく(少し突っ張る程度で十分)1分程度左右行います。柔軟の要領で徐々に伸ばしていきます。体勢も厳しくしていきます。風呂上がりに行なうとなお効果的です。
ぎっくり腰治療内容
①横向きでアイシング、低周波を起立筋を挟むように
②股間節の動きを良くするために、他動で左右10回ずつ円を描くように動かします
③四頭筋・ハムストリングスを伸ばすので、患部を抑えながら足を伸ばします
④臀部のポイントを指圧で抑えながら、臀部の緊張を取り除きます
この時に寝返りが楽になり、うつ伏せになります
⑤そのまま両膝を肩幅に広げ、四つん這いになります
⑥猫のポーズと言われますが腹筋と背筋を動かします
⑦その状態からマッケンジー体操へ移行します
この治療で概ね歩けるようになるので、最後はコルセットを巻きます。
ぎっくり腰は、股関節と太ももの筋肉を柔らかくし、緊張とストレスを取り除けば動けるようになります。激痛が襲ってくる恐怖もありますが、怖がらずに動かすことが早期回復に繋がります。
基本的にはガンガン冷やせ!です。湿布のみでは深層まで冷えないので氷水が一番有効です。ぎっくり腰を起こした部分は、炎症が起こり発熱する場合が多く、この炎症を抑えることにより症状を緩和する事が出来ます。炎症が治まるまで4~5日かかる場合が多いです。
受傷してから3日間の時期に温めてしまうと炎症が増し、痛みを増幅してしまう事があるので注意しましょう。受傷後5日目あたりからはアイシングは湿布のみとし、7日目からは温めをします。
ぎっくり腰の最適な冷却方法
①氷で冷やす 氷嚢もしくはビニール袋に氷と少量の水を入れます。氷は10個くらいが目安です。ビニール袋だとすぐに水が漏れて来てしまうので二重にするのがお勧めです。
②氷とお水を入れた袋の空気を抜きます。自分が吸って真空のような状態を作ります。
③患部にハンカチやタオル等を引いた上から乗せる。もしくは袋をハンカチ等、布に包み当てる。
④冷えすぎないように15分~20分間で休憩し間隔を空けながら2~3回行います。
⑤可能であれば、朝・昼・晩冷やしましょう。
冷やし過ぎには注意
長時間冷やしすぎると、血管がリバウンドし血流が多くなると痛みが増幅されますので、冷やしすぎには注意してください。また、組織が硬くなるので、氷でのアイシングは20分以上冷やさないで下さい。
市販のシップ剤は、熱が放散しにくい材質が多いので、受傷直後は、頻繁に張り替えることをお勧めします。シップ剤が体温より熱く感じられる2~3時間ごとで交換します。湿布を長時間すると皮膚呼吸ができなくなり、カブレになりやすいので痒みがでてきたら中止して下さい。
腰周りをコルセットで固定する
ぎっくり腰は筋・筋膜性腰痛と言う、筋肉や筋膜が引き攣れてしまう状態を指します。 この様な状態は、身体を支える事が困難になる為、立ったり座ったりす動作が辛くなります。 逆に寝ている状態では身体を支える必要が低くなる為、筋肉や筋膜に対する負荷が軽減し楽になります。腰部に負荷をかけないよう安静にする事が大事になります。
身体を動かさなくてはいけない場合は、腰部コルセットの着用をお勧めします。筋肉が引き攣れている間、筋肉は機能しにくく、身体を支えることが困難になるので、この様な時はコルセットで上体を補助しサポートします。コルセットは原則痛めてから2週間程度です。
常時着用してしまうと本来の腰の筋力がコルセットのサポートに頼ってしまい、筋力低下が起こりうる場合がある為です。寝ているとき腰痛コルセットは着用の必要はありません。
スポーツの方にはテーピングで固定
スポーツ中は腰周りが固定されてしまうので動きずらくパフォーマンスできません。コルセットが邪魔になる場合はテーピングを使います。固定力は劣りますが、動けれるようにはなります。ただし、明日どうしても試合に出なくてはならないなどの理由がある場合のみです。テーピングは、ホワイトテープ・アクションテックスを織り交ぜて、頑丈にバツ印を重ねていきます。
最悪の場合悪化し歩けなくなる方もいますので、原則は安静・アイシング・固定です。
ユニオンジャックによる固定
①一番痛む手前の姿勢で前かがみ
②痛む場所を中心とし、10㎝I字テープ×8本
③中央を抑え、左右外側から中心に寄る様に引き寄せつつ
④テンション50%
⑤最後に起立筋テープを
ぎっくり腰になったら無理な行動は避け、アイシングをして安静にしましょう。治ってきた段階でマッケンジー体操を行うと更に良くなります。詳しくはこちら⇒マッケンジー体操
もしもぎっくり腰について分からないことや、疑問に思ったことがあればお気軽にメッセ―ジ・お電話ご相談下さい。