川崎にて『泉総合法律事務所』主催の交通事故法律セミナーに参加し、大変有意義なお話を聞かせて頂きました。最近の交通事故治療も中々複雑になり、弁護士さんまでが登場するようになってます。しかしある意味では、揉めてしまった場合には心強い味方になります。

【事故発生から解決まで流れ】

事故発生→負傷→症状固定→後遺障害認→示談交渉開始(ここから別れます)

→①示談不成立→示談(和解)あっせん→示談成立→解決

→②調停→調停成立→解決

→③訴訟→判決→解決

大まかな流れとしてはこの様になります。もちろん負傷しても大したことが無く治ってしまうこともありますし、死亡や物損もございます。しかし今回は整骨院に関わる事項として負傷についてお話していきます。

弁護士依頼のメリットデメリット

示談交渉は、症状固定後の後遺障害認定の後に始まります。

【メリット】

①費用が掛からず早期解決が出来る

②交通事故紛争処理センターへの和解あっ旋申し立て(裁判外紛争処理とも言います)利用料は無料で訴訟より早い解決が見込める

③裁判基準での交渉が可能、立ちあいも可能

③判決や和解に至った場合は保険会社は速やかに支払い可能

 

【デメリット】

①自分が納得出来ても、相手の承諾が無ければ成り立たない
⇒互いの譲歩が必要になる

②裁判の長期化や、それに伴う費用が嵩むこともある

 

訴訟は、厳格な立証が必要になります。
賠償金の算定基準は弁護士基準が一番高いですが、裁判基準の事になります。当然ですがセンターには弁護士が仲介役を担いますので、厳格な立証が必要となる場合が有ります。

 

慰謝料の種類

障害の場合は2種類の慰謝料が発生します。なお物損事故になりますと、修理費用や同程度の中古車への買い替え費用等になり、慰謝料はほぼ発生しないと言えます。

【人身事故の損害項目】

・治療費
・通院交通費
・休業損害
・障害慰謝料(入院慰謝料)など

 

【後遺障害の損害項目】

・後遺障害逸失利益
・後遺障害慰謝料など

 

【死亡した場合の損害項目】

・死亡逸失利益
・死亡慰謝料など

 

整骨院の施術費用について

示談においての金額は、相手の保険会社の算定基準に基づいているという事です。支払い側が主導権を持っているため、この辺りはかなり揉めやすくなります。

基本的な考え方として交通事故による損害として認められるのは、事故との「相当因果関係」のある損害のみとなります。

後々になって受傷部位と違う部位に痛みがあると、患者さんが訴えても事故から生じているとは認められない為、因果関係は否定されてしまいます。

保険金詐欺の温床になりますので、当然のことながら無関係の痛みに対する治療費は支払わないとされています。

一方で、医師の診断で認められると診断書に基づき治療可能になります。診断書があるか、ないかで治療範囲も後の慰謝料等も大きく変わるのですね。

 

示談の際に相手(保険会社)が難色を示す場合

①病院・医師の治療を受けることなしに整骨院だけ来るケース

②一度しか医師の診察を受けずに整骨院だけになるケース

③医師による症状固定がなされた後に治療を始めるケース

④社会一般の相場からかけ離れた施術金額のケース等

この様な場合は、部位を減らされる(逓減)、もしくは認められない等が発生します。

【裁判所の考え方】

・施術に対する医師の指示や同意が必要
⇒患者さんと医師が密に連絡が取れていて、医師による反対が無い程度

・施術の有効性や必要性
⇒軽症の場合6カ月を超える施術の必要性を認めないと判断されてしまう。

・施術費用の相当性
⇒保険会社基準

が必要とされます。

 

治療の打ち切りと減額について

保険会社の問題意識と対応としては、水増し請求等行う一部の整骨院に対して徹底的に争う姿勢で、保険会社は赤字でも弁護士を出して来る事も有るようです。一度その様なレッテルを張られると、別の患者さんに影響が及ぶこともあります。

保険会社の一括払いと打ち切りについて

・他覚所見のない頸椎・腰椎捻挫
⇒3ヶ月ないし6ヶ月程度たつと保険会社が治療打ち切りの打診をしてきます。

・減額交渉について
⇒賠償として認められる施術費の単価は、加害者側の保険会社の基準によって決めれてしまいます。

・一括払いについて
⇒これは保険会社が良く言いますが、一括支払いはあくまで立て替え払いなので保険会社に強制はできないのです。

1、治療の打ち切りを言われた場合

→担当医に相談して診断書を書いて頂きましょう。医学的見地から必要となりますとそれに基づいて継続が認められることがあります。

2、支払いを労災や健康保険に変更して欲しい

→被害者に過失が生じる事故の場合などでは、被害者損害の自己負担が少なくて済む場合があり、それにより慰謝料が多くなるケースもあります。

3、診断書に該当しない部位が痛い!

→その部位も施術を行い保険会社に請求をすると支払いトラブルになります。事故との関連性がある、との診断を医師から受けれることが出来れば問題はありません。まずは担当医に相談しましょう。

4、保険会社から施術費の減額を求められたら?

→柔軟に対応しましょう。相手保険会社の基準で支払われるのは法的根拠がありますので、過剰と判断されたものは患者さんへ直接請求される事も有り、相殺されてしまうかもしれません。

部位数に対し施術費のバランスや事前に保険会社に報告し、施術する旨を通知しておくことも重要です。

5、症状固定しましょうと言われた

→この場合は直ぐに医師に相談しましょう。必要あれば治療継続の診断書を書いてもらってください。症状固定の診断を出せるのは医師だけです。

 

 

慰謝料基準とは?

慰謝料基準には

①自賠責保険基準

②任意保険基準

③裁判所基準

があります。
弁護士を通じて示談交渉を行う事で③の裁判所基準で行われ、最高基準になります。ただし軽度な損傷においては、保険会社基準が妥当と判断されることがあります。

後遺障害等級においては、等級申請をしても必ずしも等級認定されるとは限らず、通院頻度や損傷の程度により「非該当」になる事もあります。

 

後遺障害等級申請の手続き

医師の診断によりこれ以上治療して症状が変わらないと判断されますと、「症状固定」と診断され、以降の症状は後遺症と判断されます。この際に医師は後遺障害診断書を作成します。

ここから請求方法がA,被害者請求とB,事前認定があります。

A、被害者請求

自分自身ですべての書類を揃えて提出しなければならず、手間がかかります。しかし弁護士など専門家を通じて行う事で申請を通すことができます。

B、事前認定

後遺障害診断書だけを加害者側の保険会社に提出すれば、その保険会社が自賠責調査事務所に提出し審査します。

各損害保険会社は民間企業ですので利益を求めます。したがって保険会社主導で本当に必要なのか精査されます。本来の等級より落ちること多いですね。

その為にも弁護士など専門家を通じて被害者請求をかけることをお勧めいたします。審査が通りますと「等級認定」又は「非該当」となります。

 

後遺障害認定の審査の実情

受傷時から治療期間が長いと、自賠責保険は後遺障害等級に「該当しない」と判断する傾向にあります。少なくとも受傷時から6ヶ月以上の治療期間を経ても回復しなかったと言う外形が必要になります。

仕事など忙しいですが、治療を怠らないようにしてください。遅くとも2~3日に1回の割合で治療・リハビリしてください。

また定期的に医師の診察も受けて下さい。

自覚症状など些細な事でも伝えておくと、後遺障害診断書の作成に役立ちます。診断書に記載のないものは治療も出来ませんし、症状がないものと判断されます。

もし保険会社に症状固定以前に、治療費の支払いを打ち切られそうになったら、医師に治療継続をすべきとの診断書を作成してもらいましょう。

後遺障害等級獲得を見据えるならば受診から6か月の通院が必要となります。

 

弁護士特約とは?

弁護士はもめごとに対し法的根拠を持って対応して貰えますので、スムーズな対応ができます。しかし

 

「弁護士費用は高いな~」

 

という印象が有りますよね?

そこで!ご自身の自動車保険に弁護士特約が付いているのか必ず確認して下さい。これは約款にもよりますが、概ね保険料が上がらずに弁護士を一定期間使える仕組みになっています。

自動車を持っていない被害者の方は、地震保険や火災保険を見てください。特約が初めからついていたりします。

 

「弁護士が入ると裁判とかになって面倒だな~」

 

と思っていませんか?もちろん訴訟のプロですが、実は裁判に至る前に解決することが喜ばれますので、訴訟に至るケースは比較的少ないようです。

弁護士費用が最大300万円まで特約で受けられることが多いようです。もし入られているようでしたら約款を見直してみてください。

 

まとめ

現在整骨院で治療されてる方が、加害者側の保険会社から何か言われたら、一番無難なのは『医師から新しく診断書を書いてもらう』他有りません。

私達整骨院の立場はかなり低く見られている為、老舗以外では太刀打ちできない現代となっております。

当院では弁護士法律事務所提携の基、患者様が納得するまで治療は勿論の事、精神的ケアにも取り組んでおります。

交通事故に遭われて治療や交渉事等でお困りの方は夜22:00まで受け付けております。電話・ご相談心よりお待ちしております。