足首の捻挫(ねんざ)は当院でも1番多い症状です。どんなに気を付けていても、相手からの接触や、つまづいた瞬間の咄嗟の踏ん張りなどで足首を『グニッ』と捻ることがあります。
【学生の場合】
・部活・クラブ中の転倒&接触時
・バスケ・バレーボールのジャンプの脚地失敗した時
・急なターンの切り替えしに滑るなど
【大人の場合】
・小さな段差でのつまづき
・急な動きによりバランスを崩した
・ヒール、厚底の靴の着地失敗で
結論から申し上げますと、もしも足首をひねったら①体重をかけない②動かさない③できれば固定する④余裕があればアイシングでガンガン20分冷やす⑤安静にするです。
RICEの法則というものに準じますが、兎に角動かさず、強固な固定が必須です。時々見かけるのが、ネット通販などで、ゆるいサポーターを購入して安心している方がいますが、固定力不足で逆に治癒期間が長くなってしまうケースがあります。
早く治すには、あなたの足首と症状に最適なサポーターまたは固定をしなければ、いつまでも治りません。予後不良で『クセになる』場合もあります。捻挫がクセになると、ちょっとした外力・衝撃で同じ捻挫を何度も繰り返す羽目になります。
そうならないために、ちょっと捻っちゃったけど→しっかり固定して治そう!と意識してください。また、保護者の方もお子さんの捻挫が軽くても決して軽視せず、クセにならないように治しましょう。
ねんざとは?
足首をひねると、痛めた靱帯の数で重症レベルが決まります。足の関節を支える靭帯がいくつかあり
・前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)
→外くるぶしの下にあり、もっとも痛めやすい靱帯です
・踵腓靭帯(しょうひじんたい)
→上の靱帯と同時に痛める可能性が高い靱帯です
・後距腓靭帯(こうきょひじんたい)
→足首を大きくひねると、同時に痛めやすい
・前脛腓靭帯(ぜんけいひじんたい)
→足首をつま先から正座のような状態になると痛めやすい
この靭帯を痛めた程度によって、3段階に分けることが出来ます。
1度・・・靱帯がちょっと切れる
・足首の靭帯で1番痛めやすい場所
・外側くるぶしを正面から見て右側にある為、捻った時に伸びやすい所
・歩行や階段時も人によっては痛むけど、普通に歩ける
・押えると、やっと痛みを感じる方もいる
※当院に来院した患者さんもそんなに痛くない為、2.3日は湿布で我慢していた話も聞きました。
2度・・・靱帯がブチっと切れる
・靭帯が断裂している
・くるぶし周りは炎症によって腫れが出てきます
・押えてると、痛い箇所が複数ある
・内出血も足首を中心に見られる
・歩き方もびっこ歩きになります
※勢いよく捻って伸びきっている靭帯に全体重が乗ってしまうので、断裂してもおかしくありません。
3度・・・二つ以上の靱帯がブチっと切れる
・歩けません
・痛めた方の足に、体重をかけることができない
・内出血が広範囲に広がっている
・腫れも反対の足と比べると、かなり激しい
・かなりの衝撃なので、何故か内側にも痛みがある。
足をひねったら、近くの整骨院へ!
当院の治療方法になります。早く治るにはどうすれば良いのか?を物凄い数の臨床経験から導き出した方法です。シンプルですが、全国の整骨院に標準的に装備されてる機械などを使います。
①アイシング
捻挫を発症して2.3日は熱がどんどん生まれる為、痛みや腫れが酷くなってしまいます。捻挫の程度がいかなる時もまずは冷やすことから始めていきましょう。
朝・夜の2回。1回につき15~20分くらいで大丈夫です。
②電気治療
捻挫の腫れを治すのに、人体の細胞たちが頑張っています。老廃物や血流の流れを良くするために電気治療は必須となります。
少し強いかな?というくらいがちょうどいいです。
③超音波治療
捻挫の治療では1番効果があります。内出血もみるみるうちに変色するのが、目で見てわかります。
熱と振動を利用して痛めている筋肉繊維まで奥深く当てることが出来ます。当てると当てないでは、治る速度が全然違います。
④マッサージ
当院では筋肉をほぐすだけでなく、炎症を抑える成分が入っているマッサージ薬を用いて施術を行っていきます。
足首からスネの筋肉まで塗り込むことで、痛めている所、足首をかばって頑張っている筋肉もまとめてケアすることができます。
⑤固定
最後に捻った時のように足首の外側が伸びない様に・サポーター・包帯固定します。
①湿布を貼った後、包帯を巻きます。
→この時足首を真っすぐ90°にして巻いて行くと治りやすい形なので、意識して巻かれましょう。
→包帯のみの時は比較的程度の軽い方に行います。始めの3~5日は巻くといいです。大事なのは体重を完全に乗せないことです。早く治す為にも7:3くらいの体重移動に留めて下さい。
②次にサポーターを用います。
包帯を巻いて、ある程度痛みが治まったら、サポーターで筋肉や関節の動きをサポートしてくれます。サポーターをつけながらゆっくりなじませるように動かしていきましょう。
※症状が酷い場合は、包帯とサポーターを両方着けます。固定とサポートを同時にする為、足首がかなり守られている感じがあります。
重症な方、さらに早く治したい時は松葉杖を使います。足を一切地面に付かない環境を作り、体重を乗せない事が大事になってきます。
クセにならない為のリハビリ
痛みが治まったとしても、完治したわけではありません。固定によって筋肉は固まっているだけでなく、衰えてます。そのままで動かしてしまうと再発するリスクは高くなってしまいます。そうなる前に筋肉を鍛えて、クセにならないようにしましょう。
①タオルギャザー
足周辺のケガによく使われるトレーニング法です。
床にタオルを引き、足の指の力でタオルを手繰り寄せていきます。1回につき10往復を目指しましょう。
・足裏の筋肉を鍛える
・偏平足を防ぐことが出来る
・捻りにくい足になる
・再発を防ぐことができる
1番始めに行うリハビリですが、地味に辛いトレーニングです。ですが、辛いからこそ衰えていて鍛えなくちゃいけない所なので、頑張りましょう。
②ゴムチューブ
両足首を結び両足を外・内・上に連続で動かしていきます。各10×3回
・足首の周りの安定性を高まる
・足首が正しい動きになり捻りにくくなる
・再発防止に繋がる
捻挫はきちんと治さないと、繰り返し起きてしまいます。繰り返さない為に、弱った足首周りを補強するんですね。
③バランスボード
➀、➁で鍛えた後、応用として不安定な所でも捻挫を起こさない様にしていきます。
・不意につまずくこと、実践的な動きがよりスムースになる
・バランス感覚も鍛えることができ、体幹も鍛えることができる
・予防に繋がると同時に痛みが無ければ、完治までもうすぐの目安になる
ここでまだ痛みがあるという方も多いですが、完治までもう少しです。痛くてもやる意味があり、その場合は壁に片手をつけながら少しずつ荷重をかけていきます。
捻挫した後の日常の過ごし方
痛みがまだ強い時は、足に重心をかけてはいけません。痛めた足をわざと引きずるような歩きがオススメです。
①痛くない方を前に出し
②捻挫した足を引きずりながら体の横に置き
③ちょんと地面に着いたら
④健康な足をすぐさま持ってくる
痛めた足が身体の前に行くと、捻挫した方の足に体重がかかって危険です。痛みの強い3~5日は足を引きずる様に歩いてください。
・階段昇降
ケガをしていると体重の移動が難しいですね。段差のある所は危険性が伴うため、正しい使い方を知っておきましょう。できるだけ手すりなどの支えになるを持って移動してください。
昇る時
①痛くない方の足から上げていきます
②手すり(があれば)掴まりながら
③捻挫した足を一緒に上げます
④ちょんと足を着き(手すりに掴まった状態のまま)
⑤すかさず健康な足を同じ段差まで持ってきます
この繰り返しです。足首に1番体重のかからない方法です。
降りる時
①手すりに掴まりながら
②健康な足から降ろし
③その間捻挫した足にやや体重≦手すり
④すぐさま健康な足を下の段差に置き
⑤ゆっくりと捻挫の足も降ろしていきましょう
昇る時の反対になります。もし痛い方から降ろしてしまうと、身体のバランスが崩れてしまう可能性があります。
・ズボンの着脱
履く時
捻挫した足から通していきましょう。先に履いてあげると、着替えのスピードが全然違います。
脱ぐ時
反対に、脱ぐ時は痛くない方からです。捻挫した足は固定があると脱ぎにくいため、健康な足から脱ぎましょう。
まとめ
捻挫をしてしまったら、すぐにお近くの整骨院へ行きましょう。もしも夜中の場合は救急病院へ。
・アイシング・固定・リハビリを行い再発しない身体作りをしましょう。
日本人は、よく聞くケガだと安易に考えてしまい、病院にいかない傾向があります。ですが、捻挫は脱臼と同じく何度も起こりやすいので、きちんと治療を行って下さい。
捻挫を放置して痛みが引かなかったり、ゆるいサポーターのまま、しばらく経ってからいつまでも治らない!ということにならないように。
1週間治療するだけでも症状は大きく変わってくるので、是非お近くの整骨院でスタッフの方と一緒に治していきましょう。