膝をぶつけたり、ひねったりして腫れたことはありませんか?
私はスキーで転んで、膝を捻って腫れたことがあります。レスキューのお世話になりたくなかったので、片足で滑っておりて、片足で車を運転して帰りました。危ないですね。
お膝が痛くなるとこんなことが不便
- 歩きにくくなる(歩けなくなる)
- 膝が曲げられなくなって、和式トイレで用を足せなくなる
- 立ち上がったり、しゃがむのが大変
- かばって腰も痛くなる(こともある)
などなど、不便なことがたくさんです。体重がかかる動作に痛みが伴います。
軟骨がすり減るって何?
膝のレントゲンを撮ると、太ももの骨とスネの骨の間にすき間があるように見えます。じつは、そのすき間は軟骨で埋まっています。このすき間が狭く見えるとお医者さんから「軟骨が減ってますね~」と言われます。
若いうちは、関節にかかる負担を筋肉が吸収してくれるので、普段の生活では軟骨に負担がかかりにくいです。しかし、歳を重ねると筋力が弱くなり膝の関節に負担がかかるようになります。すると、だんだん膝の軟骨がすり減ってきます。
参照画像:松波整形外科
初期
太ももやお尻、スネ、ふくらはぎの力が弱くなると、衝撃を吸収しきれなくなり、膝の中の軟骨に負荷がかかります。修復能力が間に合わず、だんだん軟骨がすり減ってきます。
中期
さらに軟骨がすり減って、軟骨の削りカスが関節の潤滑液に混ざります。すると、関節を包んでいる袋の内側にある滑膜という膜を刺激して痛みます。この滑膜は関節の潤滑剤と栄養剤を作り出したり、逆に吸収もします。
また、このころから骨も少し変形し始めます。
進行期
もっと軟骨が減ると、軟骨がすり減ってなくなり、骨同士がぶつかります。骨もすり減って、変形がすすみます。軟骨の削りカスがさらに増えるので、余計に滑膜が刺激されて炎症を起こします。滑膜が炎症を起こすと、潤滑液と栄養剤をジャバジャバ作り出します。
また、滑膜自体が分厚くなってきます。
お水って?腫れる原因のメカニズム
膝のお水は膝動きを良くする潤滑液です。
また、軟骨に栄養を与える役目もあります。
じっとしていると、お水は少しネバネバしていますが、動かしているとだんだんサラサラになってきます。動かし始めは違和感があるけれど、歩き始めれば平気というのはこのためです。
膝が腫れるメカニズム
- 筋力低下などにより、軟骨へ過剰な負担がかかる
- 軟骨に過剰な負荷がかかり、軟骨が摩耗する
- 軟骨の削りカスが関節の中の潤滑液に混ざる
- 軟骨の削りカスの分解物で、関節を覆う膜の内側にある滑膜に炎症が起きる
- 滑膜に炎症が起きるとたくさん水(潤滑液)を作り出します。
- 水が溜まって腫れや痛みが強くなります
画像参照:MEDIAID
前述の滑膜の炎症による腫れの他に、関節内での出血でも腫れます。転倒などで大きな負担がかかり、靭帯や関節を包む袋にキズがついて血管から出血した場合、関節液に血液が混ざり、腫れてきます。
何をすると悪化?
転んでひざを打ったり、ひねったり、外からの大きな力が加わると悪化します。転ばないように注意してください。
また、膝が痛いのを我慢して歩き続けても悪化することがあります。ムリに膝を曲げたり、伸ばしたりすると痛みが増します。ムリのない範囲で動かしましょう。痛みは体からの注意信号ですので、しっかり受け止めてくださいね。
どんな治療法があるの?
膝が熱をもっているのでしたらアイシング。
包帯、サポーター、テーピングなどで膝が動きすぎないよう固定もします。
炎症を抑える薬。炎症を抑えてこれ以上腫れないようにする。
溜まってしまった水を抜いて元の状態に近づける。水がたまりすぎると腫れぼったくて膝の曲げ伸ばしがしにくくなります。
固定のためのテーピングではなく、腫れを引かせるテーピング。膝のお水の関節液は、関節を包む袋の内側にある滑膜で吸収され、リンパや毛細血管を通って排出されます。テーピングで皮膚を持ち上げてリンパや毛細血管の流れを良くして、膝の水の吸収を促します。後ほど説明しますね。
お膝にお水が溜まってるかのテスト方法
①片手で、お皿の上側の太ももをつかむように前側から押さえます。
②反対側の手でスネからお皿の下に向かってスライドさせて、お皿を下からつかみます。
③お皿を前から膝の裏側に向かって押してみて、骨にかつんとぶつかる感じがあればお水が溜まっています。お水がお皿の裏側に集まって、お皿が浮き上がっていると、お皿を前から押すとカツンとぶつかる感じがします。
明らかにいつもより「ブニブニ」「ぽにゅぽにゅ」してる感覚だとかなり怪しいです!
注射が良いの?どーしてクセになるの?
クセになるというのは誤解です。
水を抜いたり、注射をしたのが原因ではありません。再び炎症が起きてしまったからです。
水を抜いて腫れをとったり、注射で炎症を抑えても、特にリハビリや体操をしないでいつも通りの生活していると、膝にかかる負担は以前と変わらないので、また同じように水が溜まってきやすいです。筋力が足りないと膝の関節に負担がかかり、炎症を起こしてしまいます。
リハビリや体操で体を少しずつ変えていかないと、また同じように炎症がおこって、水がたまるでしょう。
整骨院と整形外科の違い
整形外科では薬を処方したり、注射を打ったり、注射器で水を抜いたりすることが多いです。
整骨院では薬を処方したり、注射したり、注射器で水を抜くことが出来ません。かわりに血液やリンパの循環を良くするように、電気治療、マッサージ、テーピングなどを行います。また膝関節にかかる負担を減らすために包帯、サポーターで固定も必要に応じて行います。
リハビリ法
大腿四頭筋を鍛えるのが必須
膝を伸ばす働きのある大腿四頭筋を鍛えます。
膝にかかる負担を吸収できるくらいの筋力が欲しいですね。
大腿四頭筋は膝を伸ばす働きがあります。
スクワットで大殿筋も一緒に鍛えます
お尻の筋肉(大殿筋)は関係なさそうな気がしますよね。
実は膝の関節の安定性に関わっています。大切です。大殿筋は太ももを後ろにのばしたり、上半身を引き起こしたりする働きがあります。
悪化した場合は手術?
関節鏡で関節の中をきれいにして、炎症の原因を取り除いたり、変形が強い場合は人工関節という選択肢もあります。ひどくなったらお医者さんにご相談ください。
どの手術にも言えますが、一番のデメリットは感染症にかかる可能性がある事です。どうしても身体に傷をつけるのでこのリスクはなくなりません。あとは回復に時間がかかります。穴をあけたり、切ったりした傷が治るのに時間がかかります。また、動きが悪くなったり筋力が低下するので、リハビリが必要です。
手術のメリット
- 痛みを大幅に除去できる
- 他の関節への負担を減らすことが出来る
- 姿勢がよくなる(かもしれません)
手術のデメリット
- 感染症のリスクがある
- 術後は腫れる
- 血栓ができることもある
サポーターとテーピングのメリット・違い
サポーターは膝をしっかり包み込みんで安定させて、膝にかかる負担を減らしてくれます。下の写真のようなテーピングは、皮膚にしわをよせて皮膚と皮下組織の間にリンパが流れやすい環境にすることで、膝の関節内の水の吸収を促します。
水が引くように心を込めてテープを貼ります
ブニブニした箇所を持ち上げる様に貼るのがコツです。
網目の様に貼ることで、皮膚の下の毛細血管が広がりリンパの流れを助長してくれます。
まとめ
- 膝の関節の隙間には軟骨がつまっている
- すき間が狭いと、軟骨が減っているサイン
- 軟骨の削りカスが腫れの原因の一つ
- 注射がクセになるのは誤解
- リハビリ体操大事です