「ハンマー指」ってご存知ですか?

文字通り指がハンマーの形の様に変形してしまうケガのことです。正式名称は「槌指」読み方は‘‘つちゆび‘‘または「マレットフィンガー」といいます。

槌は「物を叩く道具・ハンマー」
マレットは直訳で「木槌」の意味があります。

そんな想像するだけで痛々しいこの怪我を、ご紹介していきます。

突き指(マレットフィンガー)とは?

子供の時、ドッヂボールをしていて指先からダイレクトにボールを受けた事ありませんか?

「グシャッ」っと嫌な感じになり、第一関節辺りが痛くなりましたよね。その時に、指についている靭帯が切れたり、骨が折れたりすると第一関節を固定している物が無くなってしまいます。結果、他の筋肉に引っ張られて「ハンマー」の様な形に指が変形するのが「槌指・マレット変形」です。何とも痛々しいですよね・・・。

この怪我の厄介なのが、「突き指だと思って放置してしまう」ということです。

突き指はよくある怪我なので、つい軽く見がちですが、マレット変形の様に「骨折」や「靭帯断裂」の可能性もあるので、実はとても怖い疾患なのです。

 

引っ張るのは良くならない?

ちなみに、「突き指したら、引っ張ればいいの?」と聞きますが、実は「引っ張り厳禁!」です。

さっきも話した、骨折や靭帯断裂だった場合、引っ張ることで切れた部分を離してしまいますのでかなり悪化します。

なんとなく「突き指=引っ張れば大丈夫」という雰囲気がありますが、くれぐれもご注意ください!

 

見落とすと恐ろしい症状

※参考;日本整形外科学会

ケガをした直後から、DIP関節(いわゆる第一関節)が不自然に曲がっており伸ばすことができません。

これは、指の形を保っている靭帯が切れたり、その靭帯がくっついている骨が折れていたりしているからです。
また、赤(紫)色に腫れたり、押して痛かったり。動かしてた時も痛みがあります。

この際、関節に緩み(動揺性)が無ければ捻挫、あれば靱帯損傷の可能性が高くなります。

ここで問題なのが、「腫れがあまり目立たない」ということです。

怪我をしてからその部分が腫れていると、何となく重症な気がしてきて病院に行く方がほとんどなのですが、腫れていないと「大したことない」と思ってしまいそのままで放置する確率がかなり上がります。

「なんか痛いけど、大丈夫かな?」なんて思っていると、後からどんどん腫れてきたり、痛みで我慢できなくなってきたりと散々な目にあう可能性もあるのです。

指のけがをした直後は「腫れが目立たない事もある」と頭に入れておくといいですね。

 

突き指を放置すると変形したままになる?!

槌指は骨折か靱帯断裂を伴っていますので、大丈夫だろうといって長期間放置していると、治りが悪くなるばかりか「そのまま固まってしまう」という恐れもあります。

骨折や靭帯断裂が起きたりすると、身体はその部分を早く治そうとします。

その時に、変形したままだとその状態で骨や靭帯の回復が始まるので、その形で完成してしまいます。

そうなると、手術で元の形に戻すか一生そのままで生活するかとなってしまいます。

指が極端に曲がってしまうと日常生活でかなり不便な思いをします。

そうならない為にも、しっかり専門医に診てもらいましょう。

 

治療は保存?それとも手術?

「槌指」の画像検索結果

※参考;日本整形外科学会

主に「保存的療法」と「手術的療法」が行われています。

「保存的療法」

イメージ的に「絶対安静で動かさないようにする!」と思いがちですが、実はそうではないのです。

保存的療法とは「出血させずに治療する方法の総称」のこと。

つまり、「手術などで体を傷つけるのではなく、固定や運動、生活習慣の改善で治していきましょうね」という事を言っているのです。

手術よりも治る時間がかかるケースが多いですが、身体には優しい治療といえるでしょう。

「手術的療法」

その名の通り「手術して治す」ことです。

損傷や変形が激しく、保存的治療が難しい場合に適用されます。

手術のメリットとしては、直接骨や靱帯を縫い合わせたり、ワイヤーで固定したりするので、くっつくのが早いです。

そうすると、リハビリも早期から始められるので現場復帰までの時間が短いのが特徴。

ただ、手術は皮膚を開くので感染症の恐れがあったり、ワイヤーを入れることで何となく違和感が残るケースもあるそうです。

 

ある程度の症状でしたら、保存的療法で十分ですがその辺りの判断は専門医に委ねましょう。自己判断厳禁!!

 

突き指(ケガ)したことを、恥ずかしがらず言おう!

槌指はとにかく学生に多いです。

休み時間、体育の時間、クラブや部活でスポーツをやっている時ですね。特にバレーボール、バスケットボール、野球、ソフトボールなどの球技。ボールを受けそこなった時に、「ぐしゃっ」と行くケースがよくあるパターンです。

その他にラグビーやアメリカンフットボールでは他の選手の接触や衝突で起こります。ここで気を付けたいポイントは、学生さんの心理状況。

それは「ケガをした事を隠してしまう」ということ。

何となく経験ある方も多いのでは?

これは槌指に限りませんが、あらゆるケガで痛みを我慢するケースは非常に多いです。

大人になると、ケガを放置すると更に悪化する→仕事に支障が出る

と考えますので整骨院や病院へ向かうのですが、学生はそれより先に

「今、ケガを伝えたら試合に出られなくなってしまう」
「友達にカッコがつかない」
「何となく怒られそう」

・・・などの様に考えがち。更に、今の時代はスマホ一つであらゆる情報がゲットできますので、とりあえず自分なりに検索します。

「指 ぶつけた 痛い」

「突き指 腫れてる 治し方」

「指先 どす黒い 冷やす?」

これでヒットしたやり方をとりあえず試すのですが、槌指はそれでは治りません。試行錯誤しながら試して、そして我慢しながら日常生活を過ごすのですが・・・いかんせん痛い!

「さすがにこれはヤバいっ」となってやっと専門医に見てもらうと、「何で放置したんだ!」と怒られるパターンです。

こうならない為にも、周りの大人は気にかけてあげるのが大切。

今、けがしたかな?

あの子いつもと動きが違う?

など、違和感を感じたら声をかけてあげて、ケガをしたかもしれない場所を見てあげてください。それだけで、ケガの悪化を防げますし何より大人に対する信頼も高まります。

将来、その子が大人になった時、同じ場面に出くわしたら声を掛けられるような人にきっと育つはず。

「ケガの声掛けは、その子への教育に繋がる」

こう考えると、ケガの有無だけではなく、将来的にもよりよい環境が生まれます。

 

正しい動きが予防に繋がる

スポーツ損傷の予防法の一つに、「正しいフォームを再確認する」というのがあります。

始めたばかりの時は、指導者から基本の動作を何度も習うのですが、それも初めのうちだけ。ある程度時がたつと実践的な練習になりますので、なかなか基本に戻るということをしなくなります。

そこで怖いのが「初めに基礎がしっかり身に付かなかった」ケース。

何となく動けて、何となくみんなと同じ練習して、そして何故かケガをする。一度治しても、また数ヶ月後に同じケガを繰り返すのは、動きに何かしらの問題があるからです。

基礎というのは、「動きの土台」の事。

要は、身体が一番スムーズに、かつ余計な負担がなく動ける状態。そこの土台が完成される前に、いわゆる「我流」で突き進んでしまうと、ケガをしやすい身体となるのです。

今はテクノロジーの進化のお陰で、より理論的なフォームを手軽にインターネットで見ることが出来ます。自分に変な癖がついていないか、教え子がケガを繰り返していないか。

こんな疑問が出てきたら、「まだ、身体が出来ていないからしょうがない」と決めてしまう前に、動きに着目してみてはいかがですか?

 

まとめ

槌指(ハンマー指)マレットフィンガー

突き指だと思って甘く見てしまうと、非常に危険なケガです。

軽症で済むものが、まさかの後遺症となって残ってしまう可能性も十分ありえます。

何はともあれ「放置」せずに一度見てもらえば済むことも多いので、自己判断が難しい場合はしっかり診てもらいましょう。