「足首の捻挫」

経験がある人も多いのではないでしょうか?

スポーツをやっている方・スポーツをやっている子を持つ親にとっては切っても切り離せない疾患です。

適切な処置をしないと「長引いたり」場合によっては「クセづいて」しまって、生涯捻挫に悩まされる事もありえます。

特に筋肉や骨が出来上がっていない十代前後の選手にとっては、より一層の理解と処置力が問われる場面だと思います。

今回は、「捻挫とは」「実際の症例」などを含めてご紹介したいと思います。

 

 

捻挫とは

簡単にいうと「関節に力がかかり、筋や靭帯を痛めた状態」

足首に関しては、ジャンプの着地、方向転換、衝突や転倒など、関節に捻りの動きが加わった時に「グニャッ」と発生しやすいです。

症状が酷い時には、パンパンに腫れてきて、内出血により青紫色になってきます。

また、怪我をした時の勢いが強すぎた場合、捻挫と同時に骨折を起こしてしまう可能性もあります。

パンパンに腫れてしまうと捻挫か骨折かわからない場合がありますので、必ず医療機関で見てもらいましょう。

整形外科でレントゲンを撮り、骨折や脱臼が無ければほとんどの場合「捻挫」と診断されます。

ただ、この時に処方される湿布や痛み止めを使用しても、一時的に痛みが和らいだだけで

捻挫にも重症度があり1度から3度まで分類されます。

「捻挫 分類 損傷度」の画像検索結果
分類 症状
1度(軽度) 靭帯が引き伸ばされた状態

痛みは軽く、腫れも少ない

2度(中度) 靭帯の部分断裂

痛みの為、体重をかけて歩くのが難しい

3度(重度) 靭帯の完全断裂

足関節に緩みを生じる

動揺性が著しい場合は手術になることもある

現場で多いのは1度~2度と言われています。

1度だと、症状が軽いケースが多いのでついそのままにしてしまいがちですが、ダラダラと痛みが長引く場合もあるので注意が必要です。

選手がケガを起こしたら迅速に「RICE処置」を行うと良いでしょう。

 

怪我をしてしまったら3日は冷やす!整骨院の先生が教える「正しいアイシング・RICE方法」

 

 

※現在欧米では、このRICE処置が早期回復に関係ない学説が出ています。

ただし、当院では

 

今回の症状

女子中学生。バスケ部に所属。

練習中に右足関節の内反捻挫を起こしてしまい、近所の整形外科に受診。

骨に異常はなく、全治3週間との診断。

当院に来た際も、足を引きずりながら来られました。

問診をすると、前距腓靭帯に圧痛、伸展時には後距腓靭帯に疼痛出現。

腫脹、熱感もあり、何より内出血が著しく出ています。

 

早速ベッドに仰向けで案内し、アイシング。

冷却により炎症と痛みを緩和させます。

15分程アイシングを行った後、電療。

まずは痛みの激しい外果周辺にSSP療法を行います。

SSP療法は大阪医科大学 麻酔科により考案されたもので「刺さない鍼治療」の発想からきている優れもの。

疼痛部位に直接刺激したり、関連している筋に付けて遠隔という事もできるので治療の幅がとても広いです。

本人も、「ピリピリするけど痛くはない」との事なので、患者さんへの負担も非常に少ないのがポイント。

僕も鍼灸の資格を持っていますが、「鍼がどうしても苦手」という方にはとてもいい機械だと思います。

SSP療法が終わった後はMF療法

MF療法は主に「中周波」を用いて刺激を与えるものです。

本人も、仰向けで足首をじんわり刺激されているのでリラックスしたご様子。

SSPとMFの組み合わせにより、捻挫特有の内出血がかなり軽減されます。

 

この後は超音波療法を行っていきます。

患部に超音波の刺激を与えることで、疼痛の緩和に繋がります。

また、設定によっては音波が到達する深さ、どれだけの刺激量を与えるのか、そのペースはどれくらいか。

組み合わせは様々なので、症状の具合や受傷後の経過などを見ながら設定していきます。

最後に足首専用のジュニアサポーターを付けて本日の施術は終了。

患部への痛みを最小限に抑えるため、オルテックスクッションを作成し当てます。

施術後に歩いてもらいました。

「歩ける!」

かなり歩行が楽になったようです。

捻挫した初期の頃は、熱感・腫脹・疼痛が著しくでますので、基本のRICE処置がお勧めです。

 

 

 

経過

 

毎日通ってもらい、段々と腫れも引いてきましたが、ここで問題。

「足をかばって腰が痛い・・・」

そうです、右の足関節をかばって過ごしていた結果、下半身のバランスが左右で異なってきます。

そうすると、その歪みのダメージを受け止めるのが「腰」になってきます。

特に学生やデスクワークの方は、元から腰が痛い方が多いので余計に痛みが増すことも考えられます。

この日は、足首の施術+腰の施術も行いました。

 

 

 

 

数日経つと、だいぶ紫色も落ち着いてきました。

ここまでくるとアイシングは、行わなくて大丈夫です。

様子を見ながらリハビリ運動を開始。

ゆっくりと足首の回旋運動を行っていきます。

ここである程度動いたら次はゆっくり屈伸運動。

足の裏も押していきながら動きの様子を見ます。

来院当初に比べると、かなり歩行がスムーズとなり、バスケ部の運動にも軽いメニューは参加しています。

ある程度動けるようになってくる時期は、がっつり安静にすると逆に治りが遅くなってしまう事もあります。

無理のない様に動かしてあげると血流が良くなり、痛みの原因となる物質や内出血が流れていくのでより早く治ります。

 

 

 

 

結果

 

 

ここまで綺麗に治りました。

捻挫した日から2週間ほどで症状はかなり改善。

足背の筋肉に軽い痛みが出てきましたが、これはかばって負担が乗っている部分なので、ストレッチと湿布で良くなります。

毎日当院まで通ってくれた、患者さんと付き添いのご家族のご協力も早期回復に繋がりました。

部活にも少しずつ参加してもらい、試合復帰に向けて練習を始めていきます。

ここでの注意は、いきなり全力で練習を行わない事。

久々の運動となるので、身体の筋肉や関節の準備が整っていないことが多いです。

なので、練習復帰はアップをしっかり行い、身体を慣らすつもりで行う事を勧めます。

ここでかなりもどかしさを感じると思いますが、一つ我慢。

身体が慣れたら思いっきり練習に励むと良いでしょう。

 

 

 

 

学生のスポーツ障害について

学生時代に運動部やクラブに属している人は多いですよね。

特に最近は定番のスポーツから、ダンス、サーフィン、ボルダリングなど、様々な競技が広がっています。

まだ身体を作っている時期(第二次性徴期)に過度なトレーニングや、誤った練習を繰り返し行っていると「使い過ぎ症候群」「オーバーユース」という状態になり、痛みが生じてきます。

よく耳にする疾患として、野球肩ジャンパー膝シンスプリントなどがありますね。

症状が出たとき、そのまま放置したり湿布で過ごしていたりすると治りが悪くなり、変なクセがついてしまう場合も・・・。

いまはインターネットですぐに情報を取ることができ、とても便利になっているのですが、誤った治療法なども一緒に出回ったりしているのが現状です。

 

 

まとめ

バスケットの試合中での怪我。

走って、ジャンプして、切り返して・・・非常に多彩な動きをするスポーツです。

もちろん、他のスポーツでもケガはつきものです。

特に捻挫はしょっちゅう聞く言葉ですよね。

ここで怖いのが

「よく聞く言葉→耳にタコ→軽く見がち」

人間には、こう物事を捉えてしまう感覚があることです。

「捻挫くらいすぐ治る」「ちょっと冷やせば大丈夫」などなど・・・。

学生は、指導者・大人の言う事をしっかり聞いています。

 

「捻挫しちゃったけど、湿布して放っておけばいいんだ」と勘違いさせてはいけません。

痛みが引いては捻挫、また引いては捻挫・・・と繰り返してしまいます。

要は「クセ」になってしまうのです。

また、この時に痛みが引いたのを「治った」としないでください。

ケガした部位が治ったのではなく、そこの靭帯・筋肉を使わないように「他の筋肉」が頑張って支えているのです。

これは痛みを「かばった」状態です。

この状態が続くと、右足首を捻挫したのに左膝が痛い、腰が痛いと他のとこまで痛くなるのです。

これではベストパフォーマンスはできないですよね?

なので、捻挫を甘く見て欲しくないのです。

特に学生は成長期真っただ中。

変なクセが身体についたまま成長すると、大人になってから慢性的な肩こり・腰痛など様々な症状が出る可能性があります。

少しでも痛みや違和感が出たら医療機関へ診てもらう事をお勧めします。