冬のスポーツといえば、スキー・スノーボード・スケートです。華麗なるジャンプは観客勢を虜にし鳥肌を彷彿させる素晴らしいスポーツです。が、その裏側には何千、何万回との練習があり怪我との戦いでもあります。
来院されたKさんは、女性スノーボードインストラクター。
ジャンプをした際に左肩から転倒
①頚部捻挫
②左肩捻挫
③腰部打撲
の状態です。首を回すと痛み、落ちた衝撃で左肩が90°以上上がりません。
明日から長野白馬にて仕事があり、当日で改善しなければなりません。
受傷直後からRISEの法則をして下さったので、若干は痛みが引いている状態らしいです。
Rest(安静)
|
・・・・・・
|
怪我をしたところを動かさない。
|
Icing(冷却)
|
・・・・・・
|
冷やす。湿布ではなく、氷、アイスノン等ですが、
スキー場なのだから雪や氷はたくさんあります。 |
Compression(圧迫)
|
・・・・・・
|
適度に圧迫する。
|
Elevation(挙上)
|
・・・・・・
|
心臓より高く挙げておく。
|
施術しましたが、まだ打撲の痛みは引きずらいので現地で治療を続けて頂くことにし紹介状を書かせてもらいました。
シーズンになりますと、怪我が増え骨折・脱臼・打撲、脳挫傷などがあげられます。
全国スキー安全対策協議会全国のゲレンデによる怪我の症例が報告されています。
1.足関節
→捻挫・骨折
転倒により受傷しやすい。
→腓骨筋腱脱臼
足首の捻転に荷重の加わり方が大きいため、外くるぶしのそばを走る腓骨筋腱が負傷しるケースがある。
2.腰部・骨盤部
→打撲~骨折
転倒により打撲症状から、尾骨など骨盤部の骨折する場合もある。
また尻もちの衝撃は、背中に上り、胸腰椎移行部の椎体圧迫骨折を起こす場合がある。
3.頸部
→頸部捻挫
転倒の衝撃で頭を守る際に頸部の筋に負荷が加わり、首が回らなくなる事がある。
受傷時から1・2日後に発症するケースもみられる。
4、上腕・手首
→上腕骨骨折・手首骨折
転倒する瞬間に手を着き、反動で腕ごと持っていかれる。
スピードとGがかかっているため捻転骨折などもあり、スキーではステッキごと持っていかれ、怪我をする場合が多い。
怪我の種類 | 件数 |
---|---|
過傷擦・挫傷・打撲傷 | 141 |
骨傷 | 118 |
脱臼・捻挫 | 70 |
筋・腱・血管の損傷 | 24 |
刺傷・切傷 | 15 |
内蔵・頭蓋内損傷等 | 5 |
その他 | 2 |
けがの部位 | 件数 |
---|---|
上腕(肩)・前腕 | 111 |
頭部 | 58 |
大腿・下腿 | 43 |
足部(足関節) | 42 |
手・指 | 37 |
胸部 | 28 |
腰部・臀部 | 24 |
顔面・頚部 | 18 |
その他 | 14 |
かなりの怪我が多いですが、主に初心者~中級者に好発します。
無理なエッジを決めようと体勢を崩してしまう等、楽しい分ついスピードを出し過ぎてしまうケースです。まずは無理のない範囲で、少しずつ技に挑戦してみましょう。
もし怪我をしてしまったら、まずは病院へ
骨に異常があるかどうか、整形外科などの病院でレントゲンを撮ってもらべきです。
骨折なら体勢を変えただけで痛みが走るので、自分でわかる場合もあるかもしれませんが、痛みはあるけど筋を伸ばしただけかな?なんて微妙なときもはっきりと病院で調べておくと、その後の処置も決まるのでしっかりとレントゲンを撮っておいた方が良いでしょう。
病院では、骨折や捻挫の場合、ギブスやテーピングをしたり、湿布を貼ったりしてその後も通院が必要となり、良くなってきたら理学療法でリハビリテーションに通いなさいと言われます。この後のリハビリ治療を整骨院で続けることで治りが早くなります。
頭部の怪我は深刻な場合もありますので、些細な衝撃・痛みでも一度精密検査をしてください。
頭部や首の外傷を負った場合
スキーやスノボーは、スピードや滑る場所によってとても危険な状況となります。
そういったときに転倒すると、衝撃はすさまじくなるものです。
頭部を強く打つと、一瞬意識を失うというケースが多いです。
4~5分で意識を取り戻したとしても、まだ危険な状態です。
但し、一度元気になっても約24時間の注意と観察が必要とされます。
まれに数ヶ月を経過した後の頭痛や手足の麻痺などの異変があった場合は、頭の中に出血をし血液がたまっている可能性があるので、すぐに病院を受診しましょう。
頭を強く打った場合に確認すること
・頭痛
・悪心
・嘔吐
・呼吸の有無
以上のことがないか確認します。
硬いところにぶつけた場合などは、頭蓋骨の骨折も考えられます。
頭を打った場合は、体や特に首などを動かさないように注意しましょう。
そしてスキー場であればパトロール隊やスタッフに声をかけます。
到着を待つ場合は、上着などをかぶせ、保温をしてあげることも必要です。
まずは始める前に周りの確認と準備体操を。そして無理をせず楽しんで下さい。