70代女性。心臓疾患がある方で、3年前に不整脈からの心房細動(しんぼうさいどう)を起こし緊急手術。
以来ペースメーカーが内蔵されておりますが
- 左の肩こり
- 左の背中の詰まり感
- 足の冷え
ずっと続いています。細見なので、大胸筋部には機械の形と付随する管が浮き出ていて、左腕を下に横向きで寝ると『詰まりそうな感覚』になるそうです。
ペースメーカーが入ってる方は、一見元気そうに見えますが様々な苦悩を抱えています。
特に運動時制限、入浴制限。
心拍数を上げない様に日々気を付けることが多いのだと教えて頂きました。
ペースメーカーがある方のお辛い症状
- 機械による胸の皮膚が突っ張る
- 左肩がどよーんと重い感覚
- 左背中が張る感覚+背中が膨れているような感覚
- 左側の首の付け根がスジばる感覚
- 四十肩五十肩が悪化したような、腕が上がりにくい感覚
この訴えを聴くと、左側に集中していることが多いですね。
ペースメーカーは左の鎖骨下静脈(さこつかじょうみゃく)の下に取り付けるので、下図のような位置となります
取り付ける位置は第4~5肋骨の真上に固定します。
そうなると、機械の厚み分皮膚が盛り上がってしまうんですね。
これが首の付け根~肩の上の皮膚を引っ張る状態となり、首から下の皮膚が【常に突っ張った状態】となるわけです。
静脈に入ってますから、自然な血液の流れではありません。強制的かつ操作された血流になるので、年数を重ねてくると【静脈周りの筋肉が硬化】してくる皮膚感覚になるそうです。
実際に患者様は手術を受けた2年後から、肩こりが出始め左うでが上がりにくくなりました。
心臓疾患の方へのマッサージ方法
- 足の冷えが消えないとの訴えがあり、主訴とは関係ない足首の血流を良くするのから始めました
- うつ伏せはできないので仰向けのまま行います
- 皮膚がつっぱる方は座って行います
- まずは胸の周り(大胸筋~胸鎖乳突筋~前鋸筋部)を触診。触って皮膚の弾力を確認しつつほぐします
- 次いで首~肩の真上をほぐします。僧帽筋~肩甲骨間をじっくりと
- 肩甲骨はがしを行い、血液の流れを背中全体に広げます
- 少しの運動療法(腕を動かす体操のようなもの)も織り交ぜます
来院された当初よりは楽になってるようですが、肩の張り感は残っています。
肩関節を動かそうにも、胸側の皮膚の突っ張りで120°以上は挙げれないので軽めに動かしていきます。
これを週に3回ご通院頂くと、だんだんと腕から手に【血液が通った状態】になります。
MAX70%は改善されます!肩こりに諦めずに治療をしてみましょう
ペースメーカーの機能上、大動脈弓の上方つまり左肩の突っ張りは一進一退です。
今後は心拍数を上げないように、自宅でできる筋肉をほぐす運動が課題です。
心臓さえも回復させる医学の英知は素晴らしいですが、その後の手術箇所・その周りの筋肉、日常生活への復帰となるケアが大切だと身にしみました。