前回、国民皆保険制度や医療保険について書いたときにちょこっとだけ触れたのですが、医療費助成制度と生活保護制度。ひとり親(母子・父子)家庭や児童、あるいは生活保護者は整骨院での治療を受けることができるかをお話します。

生活保護法とは

まず生活保護ですが、これは社会保障制度の4つの柱に1つにある公的扶助に属しており、前回お話した医療保険とは別のところにあります。実はこの4つの柱は憲法第25条の「生存権」に書かれている、「健康で、文化的な最低限度の生活」を保証する。というところに基づいています。

生活保護制度は何らかの理由で働く事が出来ない人々を助ける制度なのです。

趣旨としては生活に困窮する方に対し、程度に応じ保障し自立を助長することを目的とするとしています。最低生活費と収入を比較し、収入が満たない場合に差額を保護費として支給されます。

ここでいう収入とは就労はもちろんですが、年金や親族による援助も含まれます。保護の種類と内容ですが

1、生活扶助 食費等の個人にかかる費用と光熱費などの世帯共通費用

2、住宅扶助 定められた範囲で実費で支給

3、教育扶助 義務教育を受けるための費用定められた基準額を支給

4、医療扶助 費用は直接医療機関へ支払う(本人負担なし)

5、介護扶助 費用は直接介護事業者へ支払う(本人負担なし)

6、出産扶助 定めれれた範囲で実費で支給

7、生業扶助 就労に必要な技能習得費用。定めれれた範囲で実費で支給

8、葬儀扶助  定めれれた範囲で実費で支給

ここで注目していただきたいのが、4と5。他は全て実費で支給なのに医療と介護は、かかられた所に直接支払われるということです。医療と介護は現物給付が原則だからなのです。

 

現物給付とは

現物給付とは医療保険もそうですが窓口負担分を支払うことで、投薬などの医療サービスを受けることができるのです。生活保護を受けている人にとっては、保険料を納付していませんので、窓口負担もありません。

言い方は悪いかもしれませんが、生活費を捻出できない状態なので、国が国民を保護しているのです。
そのために直接医療機関に支払われるのです。ただし生活保護を受けている方は、どこの医療機関でも自由に受けられるわけでは有りません。(緊急は除きます。)
生活保護法で指定された医療機関を使用しなければならないのです。(ただし、急病や入院中で転院できないなどを除く)

1、診察

2、薬剤・治療材料

3、医学的処置(手術など)ほか治療並びに施術

4、居宅における療養上の管理。療養に伴う世話や看護

5、病院や診療所への入院、その療養に伴う世話や看護

6、移送の範囲内でその実施になります。

 

また健康保険と同様に金銭の管理料や差額のベット代は出ない場合があります。

 

生活保護の方が整骨院を受診するにあたって

ではどうやって整骨院にかかれるのでしょう。
まず「医療券」を役所の窓口で、ケースワーカーさんに整骨院に通院したい旨を相談して発行してもらいます。後日整骨院に「施術費給付承認書」が届き、受診&治療を受けれます。

医師の同意が必須

次に医師の同意が必要ですので、「主治医意見書」あるいは「同意書」を指定された整骨院で用紙を貰い指定された整形外科や診療所、ホームドクターに持参しご相談ください。

そこで書いてもらえるようであれば、医師の所見を記入してもらい「整骨院での施術が必要」とお墨付があるとできます。

なお、骨折・脱臼・捻挫・挫傷・打撲に関しては同意書は不要です。(ただし骨折・脱臼に関しては応急処置になります。)

以前と違い医療券を忘れると、受給者かどうかが分からないので10割負担となります。その後医療券をお持ちいただくと全額返金されます。かかる部位によっては医師の同意書が必要です。