腰痛と区別しにくいものもありますが、腰というより背中の痛みがあるという場合は『胸椎』の病気も考えられます。
痛みには色々な症状がありますが
- 背中全体の痛み
- 背中の右側・左側が痛む
- 肩甲骨辺りが痛む
- 首・肩・腰が痛む
- 胃・肺・喉等体内や内臓の痛み 等
痛みに加え、頭痛・吐き気等が伴う場合もありますので、必ずしも胸椎の病気とは限りません。
精密な原因の究明を行う必要があります。
胸椎は頸椎・腰椎に比べて運動性が低く、老化に伴う変形や外傷等は少ないのですが、『骨粗鬆症』『転移性脊椎腫瘍』等で胸椎圧迫骨折・肋骨骨折が起こり痛みが現れる事があります。
強直性脊椎炎・結核性脊椎炎。胸椎に起こることの多い黄色靭帯骨化症等が背部痛の原因となることがあります。中でも強直性脊椎炎では、腰・背中が動かしにくくお辞儀をするのがかなりつらくなります。
動かしにくくて、おじぎすらできない!
腰ではなくて、肩甲骨当たりや背部が気になる方も少なくありません。
「仕事中にお辞儀をしたら、ピキーンと背中に痛みが!」
「呼吸をした時に肺を膨らますだけでも痛い」 等
それほど激しい痛みがない場合は背中の筋肉が固まっていたり、疲労が溜まっているだけかもしれませんので、背部が重い感じがしたらマッサージ等が効果的ですよ!仕事終わり等にいかがですか!?
背部痛があって、坐骨神経痛も現れた場合は
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰椎症
- 腰部脊柱管狭窄症
- 脊椎分離症
- 脊椎分離すべり症
- 脊椎変性すべり症
比較的的若い年代では、腰椎椎間板ヘルニアが多くて、高齢者では加齢性(変性)の腰部脊柱管狭窄症が多いです。
慢性的に痛くて、それ以上動かすことができない!
「大工の仕事をしていて、いつも重い荷物運びをしているから腰が痛い」
「いつの間にか腰痛が始まって、痛みが続いている」
「痛すぎて、ある範囲以上腰を動かせない」 等
このような症状がある場合、特に高齢者の方に多いのが『腰椎症』というものです。
出典(中山式online shop参照)
腰の動きを支える椎間板・関節・骨が変形して起こります。
年を取ると徐々に全身の機能が低下しますが、背骨も同じ状態になるということです。
骨だけでなく、椎間板・椎間関節にも変化が起こってきます。
腰部の脊椎・椎間板・椎間関節は身体の中心である腰を支える為に非常に大きな負担がかかっています。⇒老化や長年にわたる肉体労働等で影響を受けやすい部分であるのです。
長年肉体労働を続けてきたけど?
重い荷物を何回も何回も持ち運びすることによって、体への負担がかなりかかります。
長年肉体労働を続けた方やご年配の方に最も変化が起きやすいのが『椎間板』です。
上記の画像では、真ん中の青色をしているのが椎間板です。椎間板は上と下にある椎骨と椎骨に挟まれています。背骨の動きを助けたり、骨に伝わる衝撃を吸収するクッションですね。
加齢はどのような病気に繋がる?
加齢によって椎間板の水分が徐々に失われてくると椎間板は「ぺっちゃんこ」になってしまいます。力を加えることにより潰れて変形することを『腰部椎間板変性』と呼ばれます。特に、スポーツ・長年の肉体労働を続けてきた方には比較的早期に起こってしまうのです。
変性した髄核が飛び出すことがありますが、この症状の場合は『椎間板ヘルニア』です。椎間板の後方には神経が通る脊柱管があり、飛び出した髄核によって神経が圧迫されると痛みが起こります。
椎間板が「ぺっちゃんこ」に潰れると衝撃を吸収するクッションが無くなるので、上下にある椎骨と椎骨の間にも影響がでてきます。椎骨どうしがぶつかってすり減り、すり減った部分の再生が活発になると『骨棘』という余分な骨の出っ張りがでてきます。『腰部脊柱管狭窄症』を招く原因です。
椎骨の表面にとげとげした骨というのが『骨棘』です。
老化によって椎間板・椎関節にゆるみがでると、椎骨を支えきれずに起こる『変性すべり症』と呼ばれる状態になることがあります。
腰椎症というのは、腰椎の骨だけでなく関節・椎間板等に異変が起こり、いくつかの原因が起こり腰痛を招いているのです。このような病気を引き起こさないためには
①家事をしている中で・仕事をしている中で身体を反らせる動作を避ける
②肉体労働・重労働を長時間続けない
③腹筋・背筋の維持と筋トレをして増強に努める 等
身体への負担が少しでも軽減させれるような行動を考えましょう。分からない事がありましたらお気軽にご相談くださいね。
椎間板が飛び出す「椎間板ヘルニア」
誰もが一度は耳にしたことがある腰痛の代表例がヘルニアです。腰椎ヘルニアも椎間板ヘルニアも漢字は違いますが同じ意味です。
20代から50代男性に特に多く、足に痺れが出てしまい歩けなくなるほど重く有名な症状です。脊柱管狭窄症と似ている症状ですが、治療箇所が椎間板か脊柱かとはっきり違うので、精密な診断が必要です。
椎間板ヘルニアの症状
①太ももからスネ、足首や足の裏・指先までに痺れが広範囲に出ます。
②前かがみになると痛みや痺れが強まる(靴下を履く際・洗面台で前かがみになる時)
③鈍い腰痛が慢性的にずっと続く。
④腰に急な激痛がある(立ち上がる際)
⑤左右どちらか一方の足に痺れることが多い。
⑥長い時間座っていられない。
腰椎では上から4~5番目に大きな力がかかりやすく、そのため腰の椎間板ヘルニアは”第4腰椎と第5腰椎の間”と”第5腰椎と仙骨の間”の2カ所でよく発症します(全体の約90%)
ヘルニアとは?
背骨の間には衝撃を和らげるクッション椎間板があります。椎間板は、中央に髄核という柔らかいゼラチン状の部分があり、それを線維輪という軟骨が取り囲んでいます。その弾力性によって背骨にかかる衝撃を吸収・分散しています。
20歳過ぎから椎間板の老化・年齢と共に少しずつ水分が失われ、徐々に硬くなります。椎間板の老化や腰への負担の蓄積が続くと、髄核が線維輪を突き破り、一部が外に飛び出してしまう状態が椎間板ヘルニアです。
椎間板から飛び出した髄核が、近くにある神経に触れて強く圧迫するために、神経が傷つき足に痺れ・麻痺、脱力感、感覚の鈍りが出ます。時に排尿障害なども起こります。
椎間板ヘルニアの症状には的確なポイントを狙う
①ラセーグ・テスト・SLRで診断します。
②仰向けに寝て、膝を伸ばしたまま足を上げていきます。
③60度くらい上げたところでお尻に痛みやしびれが走るとヘルニアの疑いが高まります。
④つま先立ちによる下半身の筋力の状態、知覚や腱反射の異常の有無を確認し、”痛みやしびれの程度”、”どの神経系統に異常があるのか”を調べます。
⑤狭窄症と同じ過程ですが、腰を浮かせた状態で行うと深層まで届きます。
⑥起立筋の横から棘突起のポイントを狙います。
⑦大殿筋、ハムストリングスを緩め過緊張している腰部を緩和します。
⑧最後に上体反らしを行います。
ヘルニアに猫のポーズが効果絶大
マッケンジー体操1
ヘルニアの症状には90%効果がある世界的に有名な体操です。自宅でも行うことができるので、リハビリには欠かせません。猫のポーズでもお馴染みですが、腰部を後屈させることで、飛び出た髄核を引っ込めることができます。
①正座、または膝立ちから四つん這いの姿勢になります。
マッケンジー体操2
②両腕を伸ばし、ひれ伏す姿勢にもっていきます。お尻は上に突き出してください。懺悔の姿勢とも言いますが、神様に崇めるお祈りするポーズです。
マッケンジー体操3
③そのまま手を地面につけ、ゆっくりと上半身を上に反り、
マッケンジー体操4
股関節から足を地面に着けます。オットセイの様なポーズです。
マッケンジー体操5
④この状態を10秒キープし、また懺悔の姿勢に戻ります。
⑤お尻を上に突き出し、四つん這いの姿勢になります。
⑥この繰り返しを10回続けてみましょう。
5~7日続けると、驚くほど症状が緩和されます。
他にも体操があるので、自分に合った体操を3日続けてみてください。
ヘルニア症状の80%は手術をしなくても治る
病院の診断で、すぐに手術しなければならないと言われる方が多いようですが、手術のメリット・デメリットを知る必要があります。治療を3ヶ月経過しても激痛が治まらない、足の強い痺れが消えない場合は手術が必要です。
その他の場合
①腰~太ももの柔軟性を上げ
②腹筋を鍛え
③体操を継続すること
これさえ続けれれば治ります。
腹筋が弱いと再発し易いので、腹筋を無理なく鍛えましょう。
まずは整骨院の治療と、自宅でのリハビリを継続することをお勧めします。
飛び出た椎間板をマクロファージが食べる
ヘルニアによる圧迫で神経が炎症を起こすと、体の免疫機能で白血球の一種であるマクロファージが出てきてヘルニアという異物を攻撃・吸収します。その結果ヘルニアは徐々に小さくなっていき消滅します。神経の炎症が治まれば、自然に痛みが消えます。
発症から3ヶ月で約80%の人に痛みの軽減など症状の改善が見られるという調査結果があり、長い人でも一年で良くなります。痛みが治まるまでの期間は、痛みの度合いやヘルニアの大きさとは関係ありません。大きなヘルニアほど小さくなり易く消失する場合が多いです。
どうしても手術が必要な重症のケースを除き、2~10年という長いスパンで見ると、ヘルニアの手術をしてもしなくても、腰痛の回復具合に差がなかった。もしくは手術をしない方が経過が良好に。
ヘルニアの症状を抑える5つの法則
①腰が痛む姿勢を避ける
静かに横になり軽く足を曲げて寝ると痛みが和らぎます。仰向けの場合、膝下に座布団やクッションをあてて、膝を90°立てると楽になります。
②痛み止めや炎症を抑える薬を服用する
③患部を温める
④マッケンジー体操や猫のポーズでストレッチ&リハビリする
⑤腰用のコルセットをつける
腰に負担をかけないようにすれば、腰痛や足の痛みは2~3週間で軽くなります。
痛みがひどい急性期や、症状が長引いたり悪化した場合は病院へ
痛くて全く歩けない状態になる場合もあります。
3か月以上保存的療法を行っても症状が良くならない、または更に悪化した場合
激しい痛み、歩行障害、麻痺症状などで日常生活に支障をきたしている場合
排尿障害や極度の便秘など馬尾症状が見られる場合
直ぐに病院へ行き、医師の診断を仰いで下さい。
合併症があり、早期に手術をしなければなりません。硬膜外・神経根ブロック注射は即効性があり有効です。
整骨院ではどのくらいで治るのか?
足の痺れが軽度な方は2~4週間。
重度な方ですと8~16週程度かかります。
慢性的・ヘルニアの期間が長い場合は3~6ヶ月で治ります。
整骨院へ通うペースとしては週に3回を目安とします。
通うのが難しいのであれば上記の体操を自宅で毎日行ってください。
最初は腰が伸びなくても、徐々に伸びるようになり1ヶ月で変化が出ます。
担当の先生とスケジュールを組み、3ヶ月以内で治すように最適な治療を続けましょう。
椎間板ヘルニアからくる「坐骨神経痛」
主に腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症を原因として引き起る「坐骨神経痛」
「坐骨神経痛を解消するためマッサージを受けたが、揉み返しで更に悪化してしまった」
「マッサージを受けてからも症状は変わらないし、むしろ酷くなった」等
このような経験をして悩んでる方もいらっしゃるのでは?
治療法としては効果的なのですが、無理にマッサージを続けると悪化する恐れがあるので注意して下さい。
病院に行って…..
①茶色湿布
②ブロック注射
③温熱療法
④痛み止め投薬治療
を繰り返しても一向に良くならないことはありませんか?
いずれも、一時的には痛みは和らぐでしょうが、あくまでも一時的なものです。
ヘルニアから来る坐骨神経痛は、骨盤をコルセットで固定する
ヘルニアから来る坐骨神経痛は、ヘルニア部分の腰椎~椎間板エリア負担の軽減を図ります。
ヘルニアの痛みが強い時
①痛む動きをさせず
②腰部からの下の筋緊張を取る
③腰椎・骨盤の動きをつける
それと共に、緊張から動きの悪くなった仙骨、腰椎の関節の動きをつけます。
ヘルニア急性期
基本安静状態にし、動きによって痛みが出ない様に運動制限・関節可動域制限を心掛けましょう。特に、筋力が弱い方は、コルセット固定で腰部脊椎の支持力を強くします。
ある程度動ける様になったら、腹部、腰背部の筋力をつけ、支持力をつけていきます。
ヘルニア中期~腹筋を鍛える
腰椎の前に臓器→腹筋がありますね。腹筋が弱いとお腹の圧力が弱く腰椎が動き前後しやすくなります。
腹筋を鍛え+お腹の圧力を高める=腰椎の固定力が上げる
コルセットをしている状態を作るわけです。腰背部を鍛えると、更に腰椎の支持力をカバーできるので固定力が増します。筋肉の鎧をつくり頑丈にするわけですね。
関節の動きも必要ですが、必要以上に動かない筋力もつけていきます。
ヘルニアに効果的なストレッチ
股関節にまつわる筋のストレッチ【お尻・腰・外転筋・内転筋のストレッチ】等がありますね。なかでも有名なのがマッケンジー体操です。
①うつぶせで、両肘を90度の曲げ床につけ少し腰を反らせます
②その状態から両肘を伸ばし更に腰を反らせます
この姿勢で腹筋も伸びますが、椎間板を飛び出た髄核を戻す作用があります。
日常生活では身体を屈める運動が上記の逆の働きになってしまう為、やめてください。
脊柱管狭窄症とすべり症を改善する体操方法
【狭窄症はタイプが3種類】
馬尾神経型は手術を勧められることが多いです。
神経根型は神経ヘルニアと同様に、腰椎を牽引→狭くなった神経の管を伸ばします。
【ストレッチ】
ヘルニアとは反対に腰を反らさず屈む様にして、狭くなった脊柱管を伸ばします。
①仰向けで両膝を曲げる
②その膝を体幹に近づる
③まるまる様にします
このようにして、腰の筋肉を伸ばし狭くなっている腰椎の空間を広げるのです。
高度のすべり症では「麻痺・知覚鈍麻・筋力低下」している場合がある為、このような事はできません。
腹筋・背筋を鍛え、腰椎の支持力を高めましょう
【高齢者でもできる簡単な腹筋運動】
①仰向けで寝て腕は身体のわきに自然に伸ばします
②脚を伸ばしたまま、片方ずつゆっくり上げます
③5~10秒止めたらゆっくり下ろす
④10秒の休憩
⑤また上げてを10回繰り返す
慣れて楽になったら両足揃えてやります。
また膝を曲げた状態でも有効です。
【若い方はより厳しく】
①両脚を伸ばして仰向けに
②頭を起こしながら両脚を上げていきます
③45°で留め、10秒静止
④ゆっくり下ろします
⑤これを10回繰り返して下さい
【更に厳しく自分を追い込みたい方向け】
両膝揃えて曲げ腕を伸ばして、両膝に触れるまで状態を起こし5~10秒静止しこれを10回繰り返します。
【腹筋の場合】
高齢者は、うつぶせに寝て腕は身体の脇に伸ばし片脚をゆっくり上げ5~10秒静止して元にもどします。
これを10回繰り返し、楽になったら両脚揃えてやります。
若い方は、両脚を伸ばして仰向けになり腕は身体の脇に自然に伸ばす。そのままお尻をゆっくり上げ5~10秒静止して、下ろします。これを10回程度繰り返します。
さらに強くやるには、仰向けで両膝を揃えて立て腕は身体の脇に伸ばし、そのままお尻を5cm程持ち上げ、5~10秒静止して元に戻し、10回程度繰り返します。
無理しないでやってみて下さい!!
椎間板ヘルニア・狭窄症・腰痛ついて分からないことや、疑問に思ったことがあればお気軽にメッセ―ジ・お電話ご相談下さい。