年末年始・お盆・夏休み等の長期休暇の時期に交通事故が多くなります。また日常でもいつもと同じ運転をしていてもふとした時に起こります。いつも通りだから大丈夫・・・その油断が事故を起こします。

実際に、私は見晴らしも良い交差点でいつも通り運転していたら、何故かタクシーに突っ込んでしまった経験があります。もし事故を起こしてしまった立場、自分が加害者になった時はどうしたらよいでしょうか?そんな時にどのように行動すれば良いのでしょうか?

加害者にかかる精神的不安

事故で一番不安に感じるのは、相手の安否によって自分がどうなるか?です。

場合によっては生活破綻になるかもしれません。しかし自動車保険にきちんと加入しておくことで、相手への賠償がちゃんと行われますので、加入していれば大丈夫です。

しかし、事故直後に警察や救急に通報しなければ、加入していてもその恩恵にあずかれなくなります。

悪質なケースにしないこと

悪質と判断されるケースは

1.けが人を放置する事
2.通報せずに示談しようとする事

事故を起こしてしまうと、頭が真っ白になると言いますが、まず相手のケガを確認して救急や警察に通報しましょう。

次に相手を気遣って下さい。

『すみません大丈夫ですか?』

と真っ先に言うことで、被害者の心象はかなり違います。警察にはありのままを正直に話すことで、悪質とみなされません。

通報せずに、勝手に示談をしますと、被害者が弁護士を立てたときは最悪なケースになる事があります。

 

警察に通報するとなぜ守られる?

警察の事故処理は証拠を保全する事です。したがって中立な立場でいますので、ありのままにお話しましょう。

・重大事故で気まずくても、しっかり救急や警察に通報すれば『ひき逃げ』にはなりません。

・交通事故証明が出れば、任意保険会社に賠償してもらえる大義名分になります。

・交通事故証明は『このように事故が起こった』証拠を警察が認めているので、被害者も嘘が言えなくなります。

・保険会社や弁護士は、なるべく裁判にしないように示談を行います。

・証拠をきちんと判断してもらえるので、過剰請求をされなくなります。

・何より被害者とやり取りしなくて済みます。

 

軽いケガでも119番

車同士でこすってしまったり、軽くぶつけてしまった程度でも、必ずケガの確認を行いましょう。例え軽く頭をぶつけた程度でも、相手が何を言おうと救急車を呼んでおきましょう。

呼んだ後は被害者が乗るか乗らないかを決めます。

乗らない場合は自ら乗らないと決めたという同意書にサインをしますので、この後何が起きても被害者の自己責任になります。

後から出てくる痛み

衝突事故をが起きますと、お互い交通事故を起こしたことから興奮した状態になる為に、痛みが後から出てくることがあります。

頭部 頭を打っていたら、今が良くても72時間は変化がないか様子を見ます。必ず頭部CTかMRI を撮らせましょう。
頸部 いわゆる「むちうち」首ですが、衝突時に頭が大きく振れたなら痛くなくても医者に診せましょう。
胸部 ハンドル外傷が起こりやすく、後から肋骨が痛くなることも
腰部 ぶつかった衝撃でヘルニアになる事もあります。
尻もち 高齢者は背骨の圧迫骨折やモモの骨を折ったときは、その場で何ともなくても後で痛みや起きられなくなります。
膝や足 擦り傷の他、打撲をしていますと、後から痛みが大きくなります。

その場では痛みが無くても、後から痛みが出てきたと言われる事は良くあります。
きちんと診断書をとってもらっておくと、後から出た痛みに対しては、医師も事故との関連性を認めない限り、加害者も支払う必要はありません。

 

自分の居場所が解らない時の目印とは

救急や警察への通報時に、この場所の住所は?となった時に知っておくと意外と便利な目印があります。

1.自動販売機(自販機)
2.管理番号

この2つを知っておくと、通報時に現在地を知るうえで役に立ちます。この管理番号を警察に言いますと住所がわかります。

1.自販機には下の方に住所を表示してあるステッカー
2.『管理番号』とは信号・標識・電柱に

信号には住所を表示しているものもありますが、信号機を動かしている制御ボックスに『管理番号』が表示してあります。

標識にはパイプや表示板の裏に表示があり、電柱には地面から3ⅿの高さに『管理番号』があります。また青い縦長の『街区表示板』がある事も。

※お店があれば通報してもらえ,目印にもなります。住所も教えてくれますし、コンビニは入り口に『○○丁目店』と書かれています。

 

スマートフォンは使えない?

昨今3大キャリア(ドコモ・AU・ソフトバンク)から格安SIMに乗り換える人が増えてきますが、契約内容によっては緊急通報が出来ないものもあります。

また都会や繁華街、中心街では電波をとらえられても、離れてしまうと繋がりにくい場所も・・・一度かけられるか、繋がるか各メーカーに確認しておきましょう。

3大キャリアでも、地図アプリを見ながら通話が出来ないところもあるので注意が必要です。事前に住所を調べてから通報するようにしましょう。

 

被害者・加害者が公正な損害賠償

被害者が被害を請求できるのは、

①警察に届け出ている事故に対して
②病院で適切な検査を受けて診断書を書いてもらい
③その診断書を警察や加害者が加入している保険会社に提出したもの

以上に限り請求が可能になります(事故にかかわる損害も含みます)

被害者が『痛み』を訴え続けている場合

・医師の診断があれば、費用は損害保険でしっかり出ます(対人補償無制限の場合)
・医師がこれ以上治療しても改善が認められない時は『症状固定』となり、損害保険での治療が終了します。
・これ以降の治療は『後遺障害』として医師によって認定等級が決まり、示談交渉と合意に基づき保険会社から賠償金が支払われます。
・被害者はその賠償金を使い、健康保険で治療を続けることが可能です。
・被害者が治療をいい加減にされた場合は、継続して治療や後遺症認定が認められにくくなりますので、被害者自身が不利になります。

こうした経緯をたどりますので、万が一加害者に直接請求されても『拒否』して頂いて何の問題もありません。

 

事故直後に絶対にやってはいけない事

・被害者に自分の連絡先だけ渡さない

「何かあったら連絡するから」と言われても、連絡先はお互いにその場で交換してください。

・相手からの提案であっても、その場で解決しない

「大した事故じゃないから〇〇円でいいよ」や「なかったことでいいよ」と言われも「事故証明書を取りませんと、お金が払えないので警察を呼びます」と言いましょう。
被害者の周りの人たちが心配して「病院に行きなさい」と促して診断書を出されると、事故証明書が出ていない交通事故では保険会社が支払いを拒むことがります。

法的に問題が無ければ、被害者が被った逸失利益も保険契約に基づいて慰謝料として支払われます。

・念書やメモ書きを書いてはいけない

名刺や連絡先の余白に「わたくしがお支払いします」と言った書き込みは相手に言われても書かないでください。「保険会社が法律に基づいてきちんと対応します」と言いましょう。

 

謝ったらいけませんか?

自分の立場が微妙でも、謝ったら不利になるからその場では謝らない方がいいのでは?という意見がありますが、被害者が騒ぐ原因の一つがここにあります。

まず人として他人に迷惑をかけたことに対して、謝ることがスムーズに解決する第一歩になります。

その一言が無いと「相手に誠意がない」と言われて話がこじれます。

謝ってしまったからと言っても救急・警察・保険会社に届け出れば、ほとんど不利になる事はありません。そこまでやっても騒ぎますと被害者自身が不利になります。

 

車に乗るリスク

車に乗る以上は事故に遭うリスクは必ずあります。
その時に飲酒や薬物(一部処方箋を含む)摂取していたり危険な運転をされますと、例えぶつけられた事故であっても加害者に変わります。

交通事故の主な理由

①横道から出てくるか
②横道に入る時
③夕方から、薄暗くなりますと視界も悪くなり、人の区別がつきにくくなる

目的地に早く到着するよりも、目的地まで無事に到着することが大事です。
自分が認識できる範囲で走行し、後方や側方からくる人や車両に対して譲る余裕を持って運転すると、事故は起こりにくくなります。

また任意保険には『弁護士費用特約』がありますので、必ず加入しておきましょう。

当院では、加害者になってしまった場合の対処法や加害者や、同乗した人がケガをした場合に保険は使えないか、といったお問い合わせも承ります。お気軽にご連絡ください。