8月25日(土)に鶴見区民センターにて【ダンサーの為の解剖学+ケガ予防】セミナーを行いました。ご参加頂きました皆さま、誠にありがとうございます。
まず初めに、ご参加下さったダンサーの皆さんに感謝の気持ちでいっぱいでしたが、同時に後悔したことがあります。実技に時間を追われ、ダンサーのケア方法をあまり伝えきれなかったので、ここに記したいと思います。
また今回参加できなかった方、興味のある方、ダンスをしている全ての方に、身体の基礎知識やケガ予防、テーピング講座を分かり易く画像を交えながらお伝えできればと思います。当日の流れを解説しながら「こんなセミナーやってたのねー」と少しでもご理解頂ければ幸いです。
【講座内容】
1、ダンサーが知っておくべき解剖学・運動学
2、ケガをした時の対処法
3、ケガをしない為の予防法
4、テーピングの貼り方
5、各部位のパフォーマンスアップテーピング方法
現在のダンスの種類24種以上もあります
1.HIPHOP、2.1 MIDDLE SCHOOL HIPHOP、2.2 UNDERGROUND HIPHOP、2.3 LA STYLE HIPHOP、2.4 JAZZ HIPHOP、2.5 HIPHOP JAZZ、2.6 GIRLS HIPHOP
3 BEBOP、4 BLEAK、BREAKIN、5 LOCK、LOCKIN、6 POP、POPPIN、7 ANIMATION、8 HOUSE、9 DOUGIE、10 KRUMP、11 WAACK、12 VOGUE、13 DUBSTEP DANCE、14 FLEXING、15 REGGAE DANCE、16 バレエ、17 ジャズ、18 タップダンス、19 フラメンコ、20 フラダンス、21 社交ダンス、22 タンゴ、23 ベリーダンス、24 サルサダンス
沢山ありますねー!それぞれ特徴がありますが、最近ではどのダンスとかには捉われず、MIXしたダンスが主流になってきましたね。韓国はかなりレベルが上がってきてます!日本も10年前と比べると、キッズのレベルが飛躍的に向上しているのに驚きます。私が小学生の頃は、こんなに上手く踊れる環境がありませんでした。
ダンスで起こり易いケガとは?
当院で通われている実際にケガをされたダンサーを参考にしております。
1、足首、かかと、母趾
捻挫もさることながら、母趾痛が多いです。特にバレエダンサーはトォーシューズで痛める、ジャズダンスの方は外反母趾になったり。ジャンプする際に、かかとの両サイドが痛くなる方も多いです。
2、膝関節、靱帯損傷
お膝を衝撃から守る、骨(脛骨)と骨(腓骨)の間にあるクッションを「半月板」と言います。これと仲良く一緒にくっついているのが「内側側副靭帯」と言います。この二つを痛める方が多いですね。
他にO脚X脚、加齢による「変形性膝関節症」とがありますが、痛みがあっても予防としてはダンスは欠かせません。
3、腰椎、ヘルニア、分離症
10代の頃に無理をし過ぎた方に多い?!休みなく練習で酷使した方や、ぽっちゃりだった体形を引き締めると多い傾向です。腹筋と背筋のアンバランスが原因だったります。
4、股関節、足のつけ根、お尻の横っちょ
足を前に突き出す(キック)で股関節周辺が痛い。しゃがんで飛び跳ねる瞬間に、刺す様な痛みなど。骨盤の形成上の問題もありますが、主に膝から下に原因がある場合が多いです。
また、痛みを我慢していると、お膝周りに水が溜まってブヨブヨしているのも多く見られます。
5、手首
ブレイキングの方は登龍門のイメージですね。ハウスの方にも多いですが、地面に逆らう動きをするとなり易いです。
もしもダンス中にケガをしたら?!どういう対処を?
皆さん大変真剣に聞いていました。私からの質問で①どこが痛むのか?②今までダンス中に怪我をしたことがあるか?③そのケガで困った事は何か? に全員答えて頂きました。社交ダンスもアロハ、ベリーも共通してるのは下半身に多い事ですね。
捻挫の時はアイシング+圧迫固定+挙上。肉離れの時は?腰を痛めてる方は?等、プロジェクターを使って実際に当院で行ってる治療風景を入れながら説明しました。
主にテーピングでの処置方法でしたが、初めてテーピングを触る方もいらっしゃれば、既に経験済みの方も、非常に飲み込みが早く驚きました。ここでは一例として、テーピングの貼り方の説明をしたいと思います。
足の疲れも消える!足が軽くなりステップが楽になる大腿四頭筋の貼り方
テーピングの幅は5センチ
25㎝で切ります
両端を丸く切ります。2つに折って切ると便利です
端をつかみ少し紙を破ります
左右に引っ張り紙を破きます
端の紙を剥がします
剥がした部分を膝の中心から少し下に貼ります
膝の部分を抑え身体側にテーピングを10㎝ほど引っ張るのがポイントです。そのままこのテープは一旦離しましょう
膝部分を抑えたままテーピングを一度だらんとさせ、紙を掴みます
その紙を持ったまま、すーっと、足の筋肉に沿って紙を剥がしながら皮膚の上に乗せます。これを「仮り止め」と言います。
仮り止めしたテープを一度手に持ちましょう。
人差し指のところを最終目標にします。大腿四頭筋(外側広筋)は上前腸骨棘(骨盤の前のでっぱり)に向かっているので、筋肉の走行上に貼ります。5㎝テープが伸びる程度の、少しだけテンションを掛けます
引っ張りながら沿って貼っていきます。ここが一番難関です!
お膝のお皿をグルっと包み込むように貼ります。その回り込んだテープを徐々に中間広筋ラインに戻してあげます。
途中でシワにならない様に気を付けましょう
最後までピタっと貼ります
しっかりと密着させる為、手の平で撫でます
同じ手順で内側を張って行きます
紙を破り膝に貼り、剥がすまで同じです。紙を剥がし仮止めします
膝の部分を抑え、お皿を包み込むように、引っ張りながら貼っていきます
先程の人差し指のところまで引っ張りながら貼ります。ここのポイントは、最後の摘まんでる箇所は引っ張らないことです。ただ置くだけでOK。
中指と薬指で貼り抑えてあり、最後の摘まみ部分は優しく置きましょう。
手の平で撫で密着させます。最初は全体をポンポン叩くのも良いでしょう。この時もシワに気を付け、1本が綺麗にスーッとなっている状態が好ましいです。
テーピングの完成です!
両方貼りました。左側が受付の友紀ちゃんセルフversion。右は私が張ったversion。すこし形が違いますね?
筋肉の走行をしっかりたどると、上から見ると【外側】に流れています。四頭筋は真っ直ぐというよりかは、外です。
皮膚が痛くならない!テーピングを上手に剥がす方法
テーピングを剥がす時の絶対条件は、勢いよく剥がさないことです。「えいっ」て剥がすと、皮膚にダメージが残り、かぶれの原因にもなります。綺麗に貼ったので、綺麗に剥がしましょう。
①剥がしたいテープの先端を、爪で3,5㎜ほどめくります。
②ゆっくりとテープを剥がしていきますが、この時もう片方の手(この場合は左手)で剥がす方向の逆に皮膚を引っ張ります
③相互作用の様に、右手はテープを剥がし、左手は逆方向に皮膚を突っ張らせるようにしましょう
※男性の方、体毛が濃ゆい方!男性は特に、すね毛やもも毛がありますね。上図の様に下から上に剥がしてしまうと『昔のガムテープ一気剥がし』という罰ゲーム並みになってしまうので、男性の場合は体毛の走行に逆らわずに『上から下』に剥がしてみて下さい。
講習会で伝えきれなかったこと
②【ダンスでケガをしない為に必要な事は?】
①ダンサーの筋トレと柔軟について
種目によって違いますが、例えばブレイキングの方に「体幹筋を鍛えてね!」と言っても、さほど効果がありません。
バレエ、ヨガの方に「柔軟もっとしてね!」と言っても、やはり効果がありません。
それなりに練習を続けると、勝手に付いてくる(習得する)筋肉が各ダンス種目にありますね。逆に
バレエ・ヨガの方には柔軟よりも速筋(素早く動かす筋)を
が大事だと思います。得意な動きよりも、反対の動きを加えるのが、後々の5年後→10年後でもダンスを続ける秘訣です。
年齢を重ねると、できない動きが増えてきますが、社交ダンスに置き換えると
モダン→動きがゆっくり。ラテンが苦手=たまにラテンも練習取り入れてみる→普段使ってない筋肉が動き、筋肉痛が起こる。※これが大切
②ダンス中に怪我をしない為には?
他のジャンルを取り入れてみると、自分はこの動きが弱いのか!と確認できます。
「このステップを踏むと腰が・・・」
「この時のターンで膝が・・・」
同一方向ばかり何回練習しても、できないときがありますね。更に痛みが増してきたり、『あっ、まずい』と感じる瞬間があると思います。
そのムーブの練習を一旦辞めちゃいましょう!
できないモノを、無理にすると肉離れや、筋挫傷を招く誘因となります。
その練習よりも、全く関係ない動きをやっていると、いつの間にかパッとできてしまう”ダンサーあるある”があります。
◆素早く動けない → 遅い動きもしてみる
◆ゆったりできない → 素早く動く
少し解剖学的に言いますと『拮抗筋』を使います。太ももの大腿四頭筋ばかり使っているなら、反対側のハムストリングスを使った動きを使う。これで大腿部全体の能力が上がります。片方だけの負荷は、ケガの元になりますから。
☆全種目に言える体幹バランス筋強化☆
ダンスはやはり、中央軸からいかにダイナミック/繊細な動きを出し、また中央軸に戻る繰り返しでもあります。よろけたり、バランスが崩れるのは、やはり中央に戻る筋が弱いのが原因です。
サッカー代表の長友選手ではないんですが、どうしても不調な状態が続いてる方、抜け出せない方は、4・5日でも良いので、ひたむきに体幹ばかり鍛えてみて下さい。8割方はこれが効きます。
ブレイキングの方は、逆立ち歩きの練習が良いですよ☆
【私のダンサー時代の話】
私もダンス出身で、ブレイキングを始めた頃に『手首』と『首』を痛めました。ヒップホップでは『肉離れ』を数度・・・。クランプ(当時はクランプとクラウンが混じってました)の時には『膝落ち』という技がありまして、お皿を割ってしまったり。。。
『You got served』『RIZE』の映画に触発されてたんですね。今でもダンスを続けている静岡の先輩方は、ケガをしようが関係なく踊っていて、とてもカッコ良かったんです。
それでもダンスが楽しすぎて、ケガをしながらでも皆続けていました。時折、学生ながら先輩の身体をケアしてもいました。しかし、当時はテーピングというのがそんなに普及していなく、茶色のテーピングしか知らず、効果も期待できなかったです。現在ではテーピングの種類も増え、機能も向上している為、「こんな時に貼れれば良かったのに」と多々思い起こします。
昔(10年前)に比べれば、テーピングで痛みや違和感を60%程度改善できるのではと思います。もちろん、全てのケガをカバーすることはできませんが、それでも「自宅でのケア方法」を知っているかいないかで、大会に間う様に、コンディション調整はできると思います。
現在で同じような悩みがある方に、少しでも役に立てれば幸いです。