交通事故に遭ってから急に腰が痛くなっ他という話をよく耳にしますが、交通事故により背骨や骨盤に急激な衝撃を受けて歪むことがあります。交通事故の後になぜか腰痛になってしまったり、もともと持っていた腰痛がさらに悪化したという方はそれが原因かもしれません。
つい先日当院の院長が事故を起こした加害者側の記事を参考下さい→GW帰省前に見晴らしの良い交差点で交通事故を起こしてしまったので、レッカー車が来てから事後処理まで実体験でご説明します
日ごろの運動不足による筋力低下や疲労などに、事故のショックが加わりそこから炎症が起こって腰痛が出たり、中には治っていたはずのヘルニアが再発したという事もあります。
このように交通事故は【むちうち症】だけでなく【腰痛】という症状で現れる場合もあります。実は腰痛は交通事故の後にむち打ちと同じくらい発症しやすく、事故の影響で急性腰痛症(ぎっくり腰)になる事もあります。症状は事故の衝撃・突入角度・慣性の重力などの影響で様々なパターンがあります。
オートバイなどに乗っていて転倒した場合、二次災害を防ごうとして慌てて自分で車両を動かしたりしますと。その時すでにダメージを受けているの腰にさらに負担が加わって、ギックリ腰や最悪なケースでは筋肉の断裂が起きて立てなくなることもあります。
普段から腰痛なのに、更に悪化するって本当?
腰痛とは腰周辺に何らかの痛みが生じている状態を指します。その痛みの症状の根本原因の代表格としてはぎっくり腰をはじめ、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎すべり症、腰椎分離症、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛などの症例名が付けられているものがあります。
また、このような腰痛は、普段の生活習慣により事故が引き金となって起こることも多くあり、普段からの運動不足や、加齢によるものだったり、腰に負担がかかる生活などが理由になります。腰痛の原因は様々ですが、交通事故が原因で起こる腰痛も中にはあります。
その腰の痛み・・・もしかしたら椎間板ヘルニアかも?!
椎間板ヘルニアは、交通事故後に発症しやすい症状の一つで、原因は衝突などで外から強い刺激を受けた際に、椎間板が歪んでしまう事から起こります。骨と骨のクッションの役割をしている椎間板がずれ、その近くにある周囲の神経組織が圧迫されることで起こります。過去にヘルニア気味と診断されていたり、運動不足から腰を支える力が低下していますと発症しやすくなります。特にお腹の出ている方は要注意です。椎間板ヘルニアになると、以下のような症状があらわれます。
- 坐骨神経痛
- 腰痛
- 冷感
- 筋力の低下
- 感覚障害
※鼠径部や臀部からモモの後ろ側を通り、スネから足の甲の外側のいずれかが痺れる。座った状態で足首を甲側に曲げられない。足を触ったとき、感覚が鈍い。左右の足で感じ方が違う等
椎間板ヘルニアは首にも出ます
椎間板ヘルニアは「頸椎」と「腰椎」の2か所で発症します。
頸椎椎間板ヘルニアは、交通事故の衝撃で首に外からの力が加わったとき。腰椎椎間板ヘルニアは腰に外力が加わったとき。それぞれ首や腰の椎間板が変形して神経を圧迫することで、痛みや痺れが現れます。特に首は症状的にはむち打ちと勘違いしやすいので、疑わしい時はMRIなど精密検査も検討してください。
また、過去に腰痛やヘルニアを持っていたという方は、交通事故をきっかけに再発するケースがあります。もともと腰痛だった方は、さらに痛みや痺れが悪化する恐れもあります。交通事故により腰に負担がかかるだけでなく、その周囲にも余計な圧力がかかり腰痛を引き起こすこともあります。急性腰痛症(ぎっくり腰)などもその一つです。
交通事故の腰痛はどこで治療した方が良い?
腰痛と一口に言っても症状によって色々な治療方法があります。また保険が絡みますときちんとした医療機関で治療をしないと保険料が支払われなかったりするケースもあります。ここでは医療機関での治療方法を中心に目安になりそうな違いをご紹介していきましょう。
整形外科・クリニック
整形外科での治療は主に対症療法と言って、今現在の症状にどう対処するかの治療を行います。レントゲンで骨に異常が無いか確認をして、痛み方や痺れ度合いで精密検査をすることもありますが、痛みを止めるという事では、主に薬を使っていきます。ブロック注射や消炎鎮痛剤、筋緊張弛緩薬や血管拡張役などが良く使われます。状態にも拠りますが、骨粗しょう症治療薬などが処方されます。
またリハビリテーションでは理学療法で筋肉を緩めていく保存療法と呼ばれる治療が行われます。日常生活に大きく影響がなければ湿布で対応することもあります。理学療法は運動療法や温熱療法、装具療法(コルセットなど)を用いて緩和を目指します。主にリハビリテーション科で行われます。
神経ブロック療法は局所麻酔薬やステロイド剤によって痛みの炎症の緩和と抑制を行います。大変よく効きますが、薬の作用が消えても痛みが残こることもあり、特にステロイドは繰り返し打つことはできません。
整骨院・接骨院
整形外科とは少し異なり、補完医療と呼ばれる施術など西洋医学をサポートする形で行われます。理学療法はもちろん整形外科にあるものだけでなく、多様性のある医療機器を備えており、超音波療法や遠赤外線、低周波治療器、マッサージ(手技)などがありストレッチも行えます。交通事故の衝撃により身体を固くして守っている状態を緩和させていきます。
整形外科が対症療法(現状出ている症状に対処するので根本的解決ではない)であるのに対して、整骨院では痛み止めなどの薬が使えないため現在の症状に対しなぜこうなったのかを探り根本的治療を行ってくれます。
鍼灸院
整骨院と併設している施設もあり、同じ施術をしてもらえることもありますが、東洋医学である鍼灸を使って和らげます。身体が温まりほぐれる実感があるので即効性がありますが、指圧と鍼灸を組み合わせて施術するところが多いようです。薬を使った治療をしないので、薬による胃腸障害や臓器への負担がありません。ただし医師の同意書を必要とする場合がありますのでよく確認してみるとよいでしょう。
整体院
「整骨院」や「治療院」と名前が似通っていますが、ここはリラクゼーションや美容を目的としていますので、ここでは交通事故での専門的な治療行為は受けられませんのでご注意ください。
交通事故の治療費や通院費はどうするの?
交通事故の被害者は、費用を一時立て替えてから、治療費や通院費などを損害賠償として加害者に請求することができます。また、損害賠償の一部である慰謝料も請求することが可能です。
被害者は加害者に慰謝料を請求できる?
交通事故の被害者は加害者に対して、慰謝料を請求することができます。慰謝料とは、交通事故にあったことで被害者が負った精神的苦痛を、加害者がお金で補償したものです。
慰謝料は、まず加害者側の自賠責保険会社が被害者に支払います。自賠責保険は、車を所有しているすべての運転者に、加入を義務付けられている保険です。自賠責保険の限度額である500万円を超えた場合は、加害者側の任意保険会社が、足りない分を補います。加害者が任意保険会社に加入していない場合は、加害者本人に請求することになります。
交通事故には、人身事故と物損事故には2つの種類があります。
人身事故
交通事故により、人が怪我をしたり死亡する事故を人身事故と呼びます。車や公共物が破損していても、人が怪我をしている場合は人身事故になります。
物損事故
交通事故で怪我人がおらず、車やガードレールなどの公共物のみが破損する事故は物損事故と呼びます。
物損事故でも治療費は出ます
物損事故で処理をした場合でも。
被害者の治療費は支払われます。
なぜなら120万円までは加害者の自賠責保険から支払われるからです。
意保険に加入している場合でしたら、それ以上にかかった費用はそこから支払われますが、算定基準が人身事故と比べ低い金額になりますので十分な治療が受けられないかもしれません。
加害者は、自分が支払う損害賠償を少なくしたいがために、物損事故で処理をしたがる場合があります。しかし、加害者の言う通りに事を進めて物損事故で処理をした場合、後から怪我の症状があらわれたとしても、被害者に対して慰謝料の支払いはされません。被害者が損をしないためにも、交通事故にあったら人身事故で処理をするようにしましょう。
腰痛が後遺症になってしまったら…事故から後遺症が残るまでの過程
治療を続けていきますと、次第に症状に変化が見られなくなることがあります。お医者様もこれ以上治療を続けても良くならないと判断する場合があります。
これを症状固定といい、この判断をされた時点で残っている症状は後遺症になります。
後遺症になりますと、これまで支払われていた治療費や通院交通費や慰謝料などは、打ち切りとなります。後遺障害等級認定を申請することで、後遺症が後遺障害と認められると、後遺障害慰謝料を受け取ることができます。
後遺障害には等級があります。1級が最も重い症状となり、級が上がるにつれて軽くなり14級が最も軽い症状となります。この後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料を受け取ることができます。
交通事故が原因で生じた、椎間板ヘルニアは、後遺症として残ることもあります。椎間板ヘルニアの場合、後遺障害の12級や14級10号に該当することがあります。
後遺障害等級を認めて貰うには?
後遺障害等級認定を申請が必要になります。
後遺障害診断書をお医者様に書いてもらわなくてはなりません。この書類がなければ、申請することができないので注意が必要です。後遺症として残っている症状を、医学的に証明しなければなりません。
医学的に証明するためにも、画像診断や神経学的検査を受けるようにしましょう。症状固定の診断をされたお医者様に申請するのが良いと思います。
また、最初に交通事故の診断書を書いて貰ったお医者様に継続して診て貰っておくと、より詳しく判断して貰えますので、整骨院や治療院で治療を受けていても、定期的にお医者様の診察は受けておくと良いでしょう。
後遺障害等級認定を受ける上で大切なポイント
- 症状固定まで治療を続けること
- 医師に後遺障害診断書を書いてもらうこと
- 必要な検査をしっかりと受けること
これ以上症状が改善しないと診断されて残っている症状が、後遺障害として認定されます。そのため、症状固定までしっかり治療を続けなければなりません。
加害者側の保険会社さんが「そろそろ症状固定してください」と言ってくることがありますが、症状固定と診断できるのは医師のみですので気を付けましょう。
交通事故の後遺障害慰謝料を請求する方法
後遺障害慰謝料を請求する方法は2つあります。それは「加害者請求」と「被害者請求」です。
- 加害者請求は、加害者側の保険会社にすべての手続きを任せる方法です。
- 被害者請求は、被害者が、加害者側の保険会社に、直接慰謝料を請求する方法です。
被害者にも過失がある場合は被害者側の保険会社が手続きを行ってくれますが、被害者が無過失の場合は全ての手続きを被害者自身で行わなければなりません。
その為「相手がやってくれるなら」とか「加害者がやるのが当然」と思って加害者請求にされたら大変なことになります。
加害者請求は加害者側保険会社に全てを「おまかせ」にすることですので相手の良い様にされてしまいます。例え面倒でも被害者ご自身で書類作成をして「被害者請求」を行ってください。
決して一人で悩まないで、お気軽にご相談ください
腰痛は当事者本人でないとわからない苦しい症状です。人にはその辛さはわかりにくいものです。ケガをして精神的にも肉体的にも重苦しい思いをしているのに、自分自身で訳の分からない手続きをしなければならないなんて理不尽ですよね。
そのような時は交通事故に特化した整骨院や治療院に相談してみるのも良い方法です。整形外科だけだと対症療法でしかない腰痛も、根本的な原因を探して施術を行うので、交通事故後に通院する方が多いのです。何よりも交通事故の手続きにも長けていますので相談されると良いと思います。
備えあれば患いなし
交通事故は非常に身近に潜んでいて、いざ当事者になると何をして良いか判らないものです。被害者にもなりますし、加害者にもなり得ます。ご自身が交通事故の当事者になったらこれだけは備えておきましょう。
- 任意保険に加入しておく。
- 弁護士特約に家族が入っているか確認しましょう。
- かかりつけの医師や行きつけの治療院を持っておく。
任意保険に加入しておくと「人身事故」は勿論の事、自賠責保険では支払われない「物損事故」にも対応でき、手続きもやって貰えます。弁護士特約は同居している方がこの特約に加入していれば使えることが多いので確認してみて下さい。人身事故に遭った場合の手続きや交渉事の全てをお任せして治療に専念するために、弁護士費用を代わりに出してもらえる特約です。翌年の保険料に反映しない事が多いので、未加入の方は必ず入りましょう。
かかりつけのお医者さんを持っておくと、いざケガをされた時に以前の腰痛や頚部痛などが交通事故が理由でヘルニアに発展しても医学的証明がしやすくなります。また整骨院や治療院では身体の事や、手続きなどでも適切なアドバイスを受けられます。
以上の3つを備えておくだけで心身の負担はかなり軽くなりますし、相手方とのトラブルにも臨機応変に対応してもらえます。