「本日はどうされましたか?」

整骨院は来て下さる患者さんの不調を治す所。

「この人はどうして整骨院に来たのだろう」

「どんな人柄なんだろう」

「整骨院に何を期待しているのだろう」

問診で患者さんのお話を聞くことで、これらの事を探っていきます。

 

また、初めてなのは施術者だけではありません。

患者さんも初めての場所に期待と不安を持って来院しています。

「どんな先生なんだろう」

「雰囲気はどんな感じだろう」

「私の痛みはどれくらいでよくなるんだろう」

問診ではそんな不安点を無くしていくためにも、とても大切な時間。

本記事では、そんな問診について書いていきます。

 




 

問診(医療面接)とは

直接、患者に自覚症状や生活史(たとえば家族の病歴や職歴)、既往歴を聞いて行う診察法の一つ。視診とともに臨床医学の出発点とされ、人間の医学と獣医学の本質的な差異がここにあるとされる

~ブリタニカ国際大百科事典より~

辞書で引くとこんな事が書いてあります。

要は患者さんに話を聞いて、どこが原因なんだろうと疾患の可能性を絞っていく「診察法」

それを行うに当たって、問診・視診・触診などを組みわせて導いていきます。

 

東洋医学ではお馴染みの「望聞問切(ぼうぶんもんせつ)」

患者さんに話を聞く際に「これはチェック項目ね」というガイドラインのようなものです。

望(ぼう)・・・相手を見て患者さんの病状を判断。

顔色や表情、患部に腫れや発赤がないかなどを見ます。

聞(ぶん)・・・鼻や耳を使って、判断。

声の雰囲気を聞いたり、場合によっては大小便におかしな匂いがないかを聞いたりします。

問(もん)・・・患者さんの話を聞き出す事。

どのように痛むのか、いつから、それで不安な事はないか、夜は寝れているかなどなど。

問診と聞いて思い浮かぶのがこの項目だと思います。

切(せつ)・・・患者さんに直接触れてみて、判断。

熱感の有無、筋肉の固さ、脈のリズム、など触って調べる事。

 

 

 

また「準備8割・本番2割」という格言もありますね。

これは、準備に対してじっくりと丁寧に力を注ぎ、本番ではその力を発揮する、という考え方です。

ぶっつけ本番でいくと失敗のリスクが高まるだけではなく、何故失敗したのかもわからずに終わる為、次も同じ失敗をする、という負のスパイラルに陥ります。

問診も同じ。

しっかりと行い、症状の原因を絞り込むことで実際の施術を無駄なく行うことができます。

 

 

 

実際に意識していること

「クエスチョン」の画像検索結果

 

表情をコントロールする

「喜怒哀楽」

人が表現できる感情を大きく4つに分けたものです。

感情は人の数だけあり、枠にはめることはできませんが、ひとつの参考に頭に入れておいても良いのでは。

また、この四字熟語の面白いところは「漢字の並び順」にあります。

「喜楽」は外側にあり、「怒哀」は内側。

人は、怒り・哀しみ・寂しさなどのネガティブ感情が増えると、自分を守ろうとして気持ちが内向きになります。

その結果、下を向いたり猫背だったり、外に出るのも嫌になったり・・・。

自分の殻にこもるイメージですね。

反対に喜び・楽しい・嬉しいなどのポジティブ感情が増えると、気持ちも外向きになり、活動的になります。

 

 

患者さんが来られた際は「どんな表情をしているか」を見逃さないようにします。

落ち込み気味、イライラしてそう、興味津々、など本当に様々。

なぜ表情が大切かというと、「相手に合わせた方がお互い話しやすい」という効果があります。

痛くてイライラしている人に全力の笑顔を向けても、余計にイライラするのは想像できますね。

「表情」、とても大切な項目の一つです。

 

 

「オープンクエスチョン・クローズクエスチョン」を使い分ける

オープンQ・・・答えが無数にある質問。

<例>気分はいかがですか? 好きな食べ物はなんですか? 今日はどうされましたか?

クローズQ・・・はいorいいえの様に答えが限定される質問。

<例>今朝のニュースは見ましたか? 頭痛はありますか? 昨日は痛みがありましたか?

 

質問は大きく分けてこの二つに分類されます。

クローズQは、答えが限定されているので聞きやすいのですが、患者さん自身の話や思っている事を聞き出すことが難しいのがデメリット。

オープンQは、患者さんに自由に話して頂くので思っている事や、意外な情報が聴けたりするのですが、症状を絞っていくのが難しかったりします。

それぞれメリット・デメリットがありますので上手く使い分けるのがポイント。

 

 

 

「専門用語」は極力避ける

医療関係は専門用語のオンパレード。

専門学生時代、最初の授業を思い出すと「知らない・読めない」言葉ばかりでめげそうになったのを思い出します・・・。

ただ、その環境になれてくると専門用語を専門的だと思わなくなってしまい、そのまま臨床で患者さんに話して困惑されるのが意外とやりがちなパターン。

例えば・・・

「大腿四頭筋が単収縮を繰り返すことで、脛骨粗面が剥離して痛みがでるのがオスグッド病ですよ。」

なんて言われても意味不明。

せっかく問診をしているので、原因の筋肉や痛みが出ている部分を触って説明するとわかりやすく伝わります。

「この太ももの筋肉(触る)がこの膝の下(触る)の骨を何回も引っ張っているので、骨に負担がかかって痛みが出るんですよ。」

の方がいくらかわかりやすいです。

医療関係者は「小学3年生が理解できる」レベルで、言葉選びをすると良いでしょう。

 

 

 

 

「整形外科的テスト」を使いこなしているか

{検査風景画像}

整骨院では基本的にレントゲンやMRI、CTは撮れません。

最近はエコーを取り入れている整骨院もありますが、多くはないですね。

そんな時に、「整形外科的テスト」はとても有効。

これは、関節や筋肉を動かしたりして、実際にどこに痛みが出ているのか、痺れや冷感は出ていないかなどを調べる検査法です。

患者さんの痛みをよりピンポイントで把握出来たり、別な疾患と鑑別出来たりします。

 

例えば、

「肩の痛み」

町中に溢れている、いわゆる「慰安系クイックマッサージ」や「とりあえず揉みます整骨院」では肩こりで済むかもしれませんが、実際はそうもいきません。

痺れがあれば首(斜角筋)や胸(小胸筋)が原因かもしれない。

買い物袋を持って痛いなら、腕(上腕二頭筋)。

頭痛もセットなら首から背中(僧帽筋)。

上記はあくまで一例ですが、肩が痛いと言っても多くの可能性があります。

このような症状に対して、肩周りのテスト法を行ないます。

 

もう一つよくある症状は

「膝の痛み」

これもかなり多くの方が悩まれる症状ですね。

歩き始め、階段の上り下り、何もしなくても痛い。

スポーツ選手なら、ジャンプした時、方向転換した時、長距離を走ってたら痛い・・・。

「膝が痛い」といっても様々な原因があります。

靭帯(膝の安定性をサポート)、半月板(膝のクッション材)、筋肉(膝を動かす)

どの部分でも痛む事があるので、テスト法が有効になってきます。

 

このように、身体のほとんどの部分で整形外科的テストは有効。

実際に行う事でで患者さんに細かい症状を伝えることが出来る上、施術の方針を決めることができます。

画像診断が出来ない分、こういった検査法を使いこなせるかどうかが重要となってきます。

 

 

 

「傾聴する」ということ

問診の際にやりがちな事・・・

それは患者さんを「クローズクエスチョンで質問攻め」にしてしまう事です。

先程も触れましたが、クローズクエスチョンは「はい・いいえ」で答えられる閉ざされた質問。

患者さんはこの質問が続くたびに、自分から話す機会をどんどん失っていきます。

そうすると、疾患は特定できたとしても、相手に与える印象は「機械的」であり「事務的」なものとなってしまいます。

大切なのは患者さんの話を聴く、「傾聴する」ということ。

 

 

そもそも何故「聞く」ではなく「聴く」なのか。

聴くという漢字は「耳」「十四」「心」が組み合わさって出来ています。

これは、相手にしっかりと耳を傾けると14の心(気持ちや感情)が見えてくる、要は「相手の話を聴いていくと、その奥深くには様々な感情が存在する」という意味です。

整骨院は治療技術・医療知識は勿論ですが、やはり心のやり取りはとても重要になってきます。

そうすることで、こちらの質問では聴くことのできなかった事が見えてくることもあります。

違う部分が痛い、病院で難しい事を言われて困っている、プライベートで辛いことがあった、仕事の悩みで爆発しそう。

一言で「ストレス」とまとめられてしまいますが、これらが痛みをひどくしていたり、体調を崩したりする原因だったりするので簡単に済ませられる問題ではありません。

 

 

 

 

最後に

 

自分から話してくれる人、全く話さない人。

痛みがはっきりしている人、どこが痛いのかわからない人。

ポジティブな人、ネガティブな人。

様々な方が整骨院を訪れます。

その中で最初のコミュニケーションが「挨拶」そして「問診」となります。

問診は疾患を絞り込む事が大切ですが、何よりも患者さんと「信頼関係」を構築することが目的。

明確な答えはありませんが、日々勉強しながら模索していくといいですね。

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