
当院でかなり優秀な働きをしている電療機器、アスピア。定期的に医療器メーカーの方に訪問して頂き、セミナーを通して日々インプットしております。
今回は患者様に許可を頂き、実際にお辛い所へ電気を繋げ、本当に変化が出ているのか?を確認してもらいました。
整骨院では、院によって様々な電療機器を用意していますが、今回は「日本メディックス株式会社」さんが出しているアスピアの紹介や実際の症例も交えて紹介していきます。
整骨院でおこなう「電療」とは
整骨院には必ずと言っていいほど置いてある電療機器。
低周波、中周波、干渉波など様々な種類があり、ケガの程度や部位によって使い分けます。
「電気の治療ってどういう効果があるの?」という質問を良くいただきますが、簡単にいうと「筋肉・神経に刺激を与えて痛みを緩和させる」というものになります。
そもそも人の体には+と-の電気が流れています。
例えば、肘を曲げるために必要な動きは「上腕二頭筋(力こぶの筋肉)」の収縮。
この時、脳が「肘を曲げろ!」という指令を上腕二頭筋に伝えます。
その際、筋肉に指令を伝えるときに電気信号を使っているのです。
整骨院や整形外科にある電療の端子を筋肉に付けることによって、電気の力で勝手に収縮。
そうすることで筋肉の動きが活発になり、血流も良くなり、痛みの早期回復が期待できるのです。
電療には種類がある
先ほど、電療には低周波、中周波などの種類があるといいましたが、今回は「アスピア」の電療の種類をご紹介。
アスピアは一台で様々な種類の電療が行えますので、症状によって使い分けたり、別な種類の電気を同時に使用したりと、かなり効率よく施術を行う事ができます。
今回は医療器メーカーの方に、詳しく、そして臨床で活かせる使い方を教わりました。
では、早速紹介していきます。
SSP(Silver Spike Point )

「刺さない鍼治療」というコンセプトで開発された治療機器。
開発した大阪医科大学の麻酔科は、中国の鍼麻酔をベースに考案したそうです。
鍼麻酔とは、まだ手術の時に使用する「麻酔薬」という物が無かった時代に行われていた方法。
手の「合谷」というツボには身体の痛みを感じづらくする効果があります。
その効果を利用し、合谷に鍼を刺しながら手術中の痛みを紛らわす!という今ではびっくりの方法が主流でした。
1971年、当時アメリカのニクソン大統領が中国を訪問した際にこの鍼麻酔を目の当たりに。
この技術に驚いた大統領は、早速アメリカにてこの鍼技術の研究を始め、世界的に鍼灸が広まっていったと言われています。
大阪医科大学は、この「ツボ」への刺激を電気で行おうと考え、sspが開発されました。
sspは画像のような電極の特性上、「一点集中型」と言えるでしょう。
患部にピンポイントで高密度な電流を流すことが出来るのがsspの強みです。
痛みの部分がはっきりしている、ぎっくり腰や寝違いといった症状に効果的。
FP(Flare Pad)

こちらは、電流に「温熱効果」が備わっています。
FPでは3種類の治療モードが搭載。
皮膚の表面から、筋肉の奥深くまで電流を流すことができます。
画像を見てもらえるとわかりますが、この端子かなり大きいです。
広い面積に電流を流すことができる上、温熱効果がかなり気持ちいい・・・。
そして画像の施術者が持っているのは、重り。
この端子には吸引力がないので、重りを乗せたり、バンドで巻いたりして固定します。
背中、腰、太ももの様な筋肉が分厚い部分の痛み、冷えからくる足のツリなどに効果的。
MCC(Micro Current Cross)

MCC療法は両手・足首に付けることで、全身に微弱な電流を流し自律神経にアプローチ。
(あまりに微弱なので、何も感じない方も。)
自律神経とは
交感神経・・・活動する時に働く。
副交感神経・・・ゆっくり落ち着く時に働く。
これらの神経がバランス良く保っている状態がベストなのですが、どちらかが優位になってしまうと体調が崩れます。
立ちくらみや体の火照り、何となくダルイ、といった原因がよくわからない症状は自律神経の乱れかもしれません。
自律神経が乱れてくると、血流も悪くなり痛みの回復もおそくなりがち・・・。
このMCC療法はそんな自律神経のバランスを整えてくれるので、ケガを早く治す効果も期待できます。
夜寝付けない、ケガをした所がいつまでも痛い、病院に行っても原因不明(もしくは加齢やストレスのせい)と言われた、という方にはおすすめの治療法。
MF(Middle Frequency)

このMF療法は主に「筋肉のポンプ作用」にアプローチできます。
筋肉には関節を動かすだけではなく、体中の血液の流れを良くするポンプの様な役割もあります。
よく「ふくらはぎは第二の心臓」なんて言ったりしますが、これはふくらはぎの筋肉がしっかり動くことで、足の血液やリンパ液を心臓まで押し上げる仕事をしています。
MF療法で筋肉のポンプ作用を活動的にすることで、痛みの緩和はもちろん、血流アップも期待出来ますので冷え性気味の方にも効果的。
MC(Microcurrent)

写真の手首と背中に貼ってあるのがMC療法の端子。
この二つの間を微弱な電流が流れ、細胞レベルで治りを早めてくれます。
こちらもビリビリとを感じない程度の電流の為、患者さんも負担はありません。
運動した後に起きる筋肉痛や軽い炎症のケアには効果を発揮します。
こういう軽い痛みって放置しがちなのですが、症状を繰り返すことで痛みが強くなったり変にクセづいたりするので、しっかり治療を受けることをオススメします。
HV(High Voltage)

こちらはHV療法、ハイボルテージと呼びます。
この電流の特徴は「一気に流して、一気に止める」という特殊な流れを繰り返すので、身体の奥深い所まで届かせることができます。
なので痛みの緩和はもちろんの事、血液量を増大させるので治りがかなり早い。
実際に受けている感覚は「じんわり」と柔らかい感じなのでとても心地よく受けることが出来ます。
画像のような捻挫の後遺症、肩や腰の重ダルイ痛みに効果的です。
電療しながら施術もできる

このアスピア、様々な種類の電療がありますが、それらを組み合わせることでより高い効果を発揮させることができます。
画像の男性は「胸郭出口症候群」の症状が出ていました。
胸郭出口症候群とは
首(斜角筋)や胸(小胸筋)が緊張すると、頸椎から腕にかけて広がる神経を圧迫してしまいます。
そうすると、腕のしびれ・冷える感じがする、といった症状が出てきます。
また、症状が強いと握力が落ちたり、血流障害によって皮膚の色が変わる場合があるので日常生活がかなり不便に。
症状が悪化して大変な思いをする前に整骨院、もしくは整形外科に行ってください。
この男性の施術は
・頸椎と首にSSP
・肩甲骨周囲にHV
・背部から手首にかけてMC
という組み合わせ。
「SSP」では、頸椎から出ている神経と首の筋緊張にアプローチ。
こうすることで神経が出始めている部分を緩めます。
「HV」は肩甲骨周囲の筋肉にアプローチ。
肩甲骨は腕を上げる動作(洗濯物を干したり、吊革に掴まったり)の時に一緒に動く骨。
なので肩甲骨が固いと腕が上がらないので、HVにて緩めていきます。
そしてMC。
これは「筋膜」を緩めています。
筋膜とは?

引用:TRIGGER POINT
筋肉は肩や腕、腰など一つ一つに名前がついています。
筋膜とはこれらの筋肉を膜でまとめたもの。
筋膜リリースという言葉が流行りましたが、あれは筋膜のラインを緩めて詰まりから開放(リリース)することが目的となっています。
筋膜がギュッと縮こまると、そのラインの動きが悪くなったり痛みが出たりするので、注意が必要。
いつまでたっても腱鞘炎や五十肩が良くならない・・という方は、この筋膜に何らかの問題があるのかもしれません。
この男性は電流を流した状態で、腕と肩甲骨の筋肉を手技にて治療していきます。
時間的にも効率よく、かつ電流により筋肉が緩みやすくなっていますので治療効果も高くでます。
施術が終わった後は、右を向くと痺れていた腕の症状がかなり軽減。
電療+主義治療・・・かなり効果が高いです。
電療しながら施術もできるpt.2

こちらの女性は足首の捻挫後の施術でアスピアを使用。
当初はパンパンに腫れあがっていましたが、施術+電療によりかなり回復。
歩行時の軽い痛み・浮腫みが残っているのでアスピアの組み合わせで施術していきます。
画像はHVにて血流を高めながら、足首をゆっくり回し動きに変化をつけていきます。
本人も「電流を流しながらでも、痛みは感じない」という事で負担は少ない。
また、ふくらはぎや足の血流が良くなると、浮腫みの原因であるリンパ液も流れやすくなるので、症状は軽減していきます。
その後はMCC。

このように両手足首に装着。クリップ式なので、全くキツイ感じはありません。
長引く痛みや浮腫みは、自律神経のバランスが乱れている可能性もあります。特に女性は生理周期や更年期症状などがあり、ホルモンバランスが乱れがちな為、男性よりも自律神経が乱れやすいと言われています。
このクリップを付けた状態で静かに横になってもらいます。
治療スタートから数分で自律神経が整い始めますので、このまま寝てしまう場合もちらほら。不眠症の方、ホルモンバランス・自律神経失調症の方にお勧めです。
MCCが終わった後は、夜ゆっくりと寝られたり、浮腫みや手足の冷えが改善する効果が期待できます。こちらの方も、症状が軽くなり動きもスムーズになりました。
※料金 1500円/30分
まとめ

アスピア。
この一台で本当に様々な治療ができます。
ケガの治療、リハビリ、冷え性や不眠、体のだるさ・・・。
組み合わせにより、高い治療効果と幅広い症状へ対応できるので、可能性は無限大。
今回は医療器メーカーの方に、様々な使い方を教えていただき大変勉強になりました。
まだまだ、使いこなせるまでの道のりは長いですが、アスピアが本領発揮できるよう試していきます。
※電気刺激が苦手な方は、受付にてお申し付けください。