当院では、バレエ経験のある方~バレリーナの方に多数お越しいただいてますが、特に多い症状は『足関節』です。

「三角骨」が原因の子もいますが、中には「バレエ練習時の姿勢」さえ正せば、治療はそんなに必要では無い人もいます。

①元から柔軟性もあり、姿勢が教科書の様に綺麗なのに、何故足首周りが痛くなるんでしょうか?

②なぜ、クルクル回る・飛ぶのが綺麗なのに、股関節が痛むのでしょうか?

③なぜ、頭からつま先まで美しく立てるのに、側弯症なのでしょうか?

残念ながら私は経験者では無いので、バレエの細かな所は解りません。解剖学的、運動学的には説明できますが、バレエに置き換えることは正直難しいです。

ですが、当院では懇意にして頂いてる「バレエの先生」にご協力の下、現役で活躍している生徒さんから、大人になってもバレエを続けている方、全てのバレリーナのケガやお悩みを解決できる本物のプロがいます。バレエのスペシャリストで、ご自身も小さな頃からバレエを始め、挫折もし、復帰し極め、今は都内に教室を開き、様々なダンサーを心身共に診ている先生です。

そんな偉大な先生に、いつもアドバイスを頂いたり、時に患者様をご紹介し、専門的に診て頂いています。ここでは、当院に通われているバレエダンサーのケガの中で、比較的多い症状を先生のアドバイスを元にご紹介&予防法を説明します。

1番、ポアント時の足首底屈(下に向ける)と、かかとの内側が痛む

バレエの中で最も多い症状ではないでしょうか。バレエでは、ポアント時に「足の甲」が出ている人程美しく立てると言われています。トウシューズを履いて、簡単にルルベが出来る子もいれば、少しグラついてしまう子もいます。これは3つに分類できます。

①かかとの骨が、物理的にぶつかっている

②足の伸ばし方が少しズレている

③足裏の3本のアーチが機能していない

バレエでは足関節を下に向けて立つ姿勢が必然なので、非常になりやすいことが有名です。内くるぶしのちょっと下側が「ぽっこり」している状態、又はそれを押すと痛む状態が続き、尚且つ歩行にも支障があれば【三角骨除去手術】が早く治ります。

『ポッコリはしてるけど、普段は何ともない。バレエの時だけ痛いのよね・・・』

これですと、手術をしない解決策があります。8割の方は上記3つをしっかり意識&実践すれば治ると言われています。ただし、三角骨自体がレントゲンでガッツリ写っている場合、5㎜以上あれば手術の方が早いです。難しい判断ですので、必ず医師のもと、三角骨が写っているか?大きさはどのくらいか?をご自身でも把握しましょう。

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①かかとの骨の隙間に「三角骨」が形成されている

お医者様の判断にもよりますが、レントゲンを診ると明らかに骨同士がぶつかっていたり、潰されていると足首を動かすだけで痛みます。この場合は手術をお勧めします。

手術しない程の大きさ&レントゲンでまだ写らない場合は【足の正しい使い方】を習得しましょう。

②本当のポアントの立ち方を知らない子が多い

先生曰く、足を痛めるほとんどの子は『身体の引上げが弱い』そうです。足に注目しがちですが、実際は

股関節外旋(両足を外に向けること)

+

腹筋を使って胸を上方へ引き上げる

+

頭のてっぺんが糸で吊るされている様に

美しいバレリーナの姿勢の完成

③足裏のアーチ、特に土踏まずがつぶれている

足裏には土踏まずを形成する【縦アーチ】足指を形成する【横アーチ】外側の体重を支える【外アーチ】があります。この外側アーチが機能せず、土踏まずが潰れてしまっている子が多いそうです。

原因として、ターンアウト時に股関節外旋(外に開くこと)が狭く、足首だけで一生懸命180°に開こうとしていることです。また、大人の方に多いのはバレエのポジションに立った時に「後側と小指側」の土踏まずが繋がっていない(地面にしっかりと接地していない)ので太もも前面ばかり力が入り易く、ハムスト(太もも後側)に力が入らない為、股関節のターンアウトがしにくい・・・ということがあります。

足首が痛くなる子は、横アーチを作ろう!

アーチを作るには様々な方法がありますが、要は足裏に窪みを出すことが大切です。スーパーボールを足裏だけで掴める様に鍛えてみて下さい。

バレエでは、足裏を連動させる意識が大切になります。特に膝を曲げた後→伸ばす動きの時など、頭から足の指先+足裏を美しく保ちましょう。

足を開く!よりも踵を内側に入れることに意識してみよう

足裏のアーチが崩れている状態で、1番ポジションをしようとする時に「もっと足のつま先を外に!」と言われたことはありませんか?足を広げると同義語ですが「かかとを内側に入れる」とは、外見上は足が開いています。ですが

使う筋肉が全く違う

ことがあります。実証してみましょう。

座った状態でも良いので、足を真っ直ぐ揃えて下さい。A,指先を外側に向けてみましょう。

どうでしょう?

太もも外側に力が入り、スッと開きますね。

では、B,かかとを内側に90°入れてみて下さい。

どうでしょうか?

ハムスト(太もも後ろ側)と内転筋(太ももの内側)と更にふくらはぎに力が入りませんか?

ちょうどサッカー選手がボールを短いパスを出す動作になっています。お尻もキュッと引き締まる感覚です。

足の指は二つの動作とも外を向いていますが、使っている筋肉は全く異なります。外側だけの筋肉で足を開くのでは無く、ハムスト+内転筋+ふくらはぎ内側の力を使って足を開きましょう。

正しいつま先の伸ばし方

上記ハムスト+内転筋+ふくらはぎの筋肉を使った状態と一緒です。

つま先を伸ばす際に「指先を下に向ける」では無く「かかとを引き上げる」意識にしてみましょう。

つま先を伸ばす(底屈)の状態は一緒ですが、これも使ってる筋肉が異なります。ふくらはぎが疲れてくる感覚になればOKです。

1~6番パラレルの基礎をしっかり行えば、怖いもの無し?!

バレエでの足を痛める方の特徴としましては、間違った使い方の積み重ねが原因です。間違った状態を2・3年続けていくと、徐々に基本姿勢からズレていってしまいますね。

どの競技にも言える事ですが、思う様に成績が上がらない・足に違和感があり表現が上手くできない等、思い当たったら初心を思い出しましょう。こちらを参考にしてみて下さい。非常に分かり易いです

親指が痛む多い症状として、5番ポジションで、前足で後ろの母趾を押し当てますね。この時、親指が痛い方は少し空間2~3㎝空けておきましょう。太ももがくっついていればOKです。

気を付けることは、太ももの外旋を忘れずに、外に広げてみて下さい。

この基礎を反復し、コーチや先生にチェックしてもらってOKが出たら、ターンアウトの練習です。

トウシューズを履くと足首と親指(母趾)が痛い!

①つま先から真っ直ぐ膝の直線状で降りていますか?

②着地する瞬間の足の形は、甲が丸く円を描くようになってますか?

トウシューズを履いていると、バレリーナに多い外反母趾がありますね。何故外反母趾になってしまうのでしょうか?またそれに連動して(かばって)足首やアキレス腱が痛くなる子が多いです。

これは足裏の筋肉が弱い又は未発達が原因です。足裏の【足底筋】エクササイズが大切になります。指先で物を掴む動作だったり、上の動画のコロコロも大切です。ゴムベルトも有効ですね。

トウシューズがご自身の足型に合っていない?!ことも原因として大いにあります。1、2カ月で履きつぶしてしまう子がいらっしゃいますが、自分にフィットしたメーカーを選ぶことが大切です。つま先が異様に細いなど、合ってないまま使い続けると、骨格が内に内にと入り、外反母趾の原因ともなります。

トゥーシューズを柔らかくする方法

①足底をバーに押し当てながら、アーチを作る

②ソウルを自分の足裏に合う様に加工する

※即日完成の様なプロの真似はしないで下さい。

股関節が開かない!外旋しずらい!!

体が柔らかい人・硬い人と別れますが、遺伝や育った環境の違いもあるので、開く人・開かない人の区別はしょうがない部分もあります。ですがバレエでは股関節を開くことが基本となり、かつ美しさを出すにはやはり柔軟性が必須となります。

①スピリッツばかりしていませんか?

②せーのっという”勢い”をつけて、柔軟をしていませんか?

これはアウトですので、今すぐ辞めましょう。股関節を柔らかくするにはこちらの動画をご参考下さい

開脚ばかり練習しても、後日余計に筋肉が固くなってしまうんですね。痛めながら無理やり開脚する方がおられますが、ポジションで痛めた筋肉繊維のズレで微妙な差が出てしまう為禁止です。あくまでも、小さな頃からバレエを始めて~の若い世代はまだ平気ですが、大人の方は【アップ】をしてから行いましょう。

また、足が出る方向に対して上半身を下から一直線に【下から突き上げる】意識が大切です。

同一方向だけ練習していませんか?

股関節が外旋しないから、外旋しまくろー!ではなく、反対の内旋も練習しなければなりません。解剖学的に言うと【拮抗筋】と言いますが、開くのばかり練習しても閉じる練習もしないと美しくなりません。

野球で例えるなら、右バッターが右スイングばかり延々と続けると腰椎分離症になったり、慢性腰痛になる。ゴルフでもそうですね。同一方向を単一に続けると、効果が現れているようで実は筋肉は悲鳴をあげているんです。片っぽだけ雑巾を絞り切った状態なイメージです。

前屈をしたいなら、ハムストリングスを伸ばすだけでなく、しっかり収縮させましょう。

股関節を動かしましょう

動画でも観ての通り、股関節を回旋させることが重要です。股関節運動に関わる全ての筋肉をまんべんなくほぐし(アップ)腹部の奥から大腿骨頭を動かすイメージで行ってください。

外旋には、開く動きだけでなく、回転と内旋。胡坐とお姉さん座りの相互が大切です。

練習にストイック過ぎじゃない?勇気を持って休むことが大切

①足が痛まない方法は=足背の伸び+横アーチ+内転筋

②足底を強制的に広げながら伸ばす

③ターンデューしないように

④ドゥミプリエは内転筋力を入れる→股関節外旋=ルルベ・アベール ※内旋させない

⑤足にマメが出来るのは、どこかしら曲げているから。バンエースを使用する

⑥休む時はがっつり休む

⑦長い目で見ると、治る時期を早める

⑧練習はバーだけ

⑨ルルベ無し。グランプリエも無し

⑩休んで→センターだけ

⑪ジャンプの時は抜ける

⑫自宅では、エポーレ体幹筋+サイドプランク+腹筋はバレエに必要なし

⑬曲数を減らす

⑭コンテンポラリーへ

まとめ

いかがだったでしょうか。バレエの先生が、何千人と診て指導してこられた経験を教わりました。

足首が痛い=立ち姿勢がなってない→ハムストリングス+内転筋が弱い+足底筋が弱いことが原因です。

しっかりとバレエに必要な筋肉+正しい使い方を習得すれば足は痛くならないそうです。逆に痛む方は足のどれかが間違った使い方になってるとも言えます。これが蓄積されると癖にもなり、治すのに時間がかかります。

何か問題ある方は、基礎からもう一度確認してみて下さい。

もっと知りたい!私の身体も診て欲しい!!希望される方は、バレエ専門インストラクター・パーソナルトレーナーをご紹介します。お気軽にご相談ください。