野球をしていると、肩が痛くなったり肘が痛くなってしまうことがあります。メジャーリーグに行った「大谷」選手も肘の内側側副靭帯を痛め、トミージョン手術をするかどうかの瀬戸際となっております(H30.9現在)ダルビッシュ選手もトミージョン手術ですが、田中将大選手は移植手術をしています。医療チームが世界最高峰のメジャーで活躍する選手でさえ手術に踏み切るのですから、一般の野球少年たちは医療ケアが不十分なまま、過酷な練習を続けているのが日本野球の現状です。

上記の画像が、関東学院大学野球部の子に許可を頂き掲載しました。横浜市立南共済病院での診断名は『右肩関節関節唇損傷』です。骨の上から外側にかけて白っぽいですね。これが炎症している証拠となります。

【打席:1番、守備:セカンド、走力;瞬足、打率:4割越え】

将来プロ野球でも通用できる成績ですが、今年の4月辺りから右肩関節に違和感を覚え、5月前半、遂に塁間まで投げれなくなってしまいました。塁間は正確には27.430mですが、15m投げだすと、右肩やや後方に痛みが出現します。

医師からは『手術しなくても良いのでは』というので、保存療法(手術をしない治し方)に決定し、病院では治療⇒当院でリハビリということになりました。

関節唇損傷とは?

肩関節はボール(腕の骨で肩に近い方)と杯「さかずき」(肩甲骨側)が向き合っているような形になっています。

関節唇は杯を縁取る様にグルっと取り囲んでいる軟骨です。関節唇は杯の直径を大きくして関節の安定性を高める役割があります。上図では右の青い丸い部分を指します。

関節唇損傷は、肩の使い過ぎや、肩のケガによって関節唇が傷ついたり、剥がれたりしたものです。

今回モデルになった彼はSLAP損傷といって、上方関節唇損傷という診断名です。青い部分がグルリと一周してますが、棘上筋側に白い靄が出現しています。

 

野球肩とは?

ボールを投げ動作で肩が痛くなるのを野球肩と呼んでいます。特に野球をしている人に多く、他にはバレーボールやハンドボールなどでも野球肩になる人がいます。野球肩とは、肩が痛くなる怪我の部分をざっくりとまとめた総称です。

①関節の動きをスムーズにする滑液包の炎症である滑液包炎

②肩関節を安定させるためにある関節唇のケガである関節唇損傷

③肩関節を安定させるための腱が挟みこまれて痛くなるインピンジメント症候群

などに分類できます。

 

どんな子に起こるのか?

小学生~高校生まで野球をしていれば、一度は聞いたことがあると思います。特に早い球を投げるピッチャーがかかり易いです。球を早く投げるには物凄い力がかかりますから、当然と言えば当然ですね。また、投球フォームがその子に合ってない投げ方だったり、下半身の筋力不足からなる腕だけで投げる子にも多いです。

成長が追い付かず力が足りないのに、早い球を投げ続けると肩に負担がかかります。

 

復帰までは?

まずは痛みをとります。熱感や腫れがある時はアイシングをします。落ち着いてきたらホットパックなどの温熱治療を行います。あわせて低周波や超音波などで痛みをとっていきます。

痛みが減ってきたら、肩周りの筋肉のストレッチを行います。肩関節の筋肉、肩甲骨を身体にくっ付けている筋肉をストレッチします。

同時に筋トレも始めていきます。最初はインナーマッスルと呼ばれる肩関節周囲にある筋肉のトレーニングを始めていきます。痛みなく出来るようになったら、アウターマッスルと呼ばれる大きな筋肉を鍛えていきます。始めは肩を動かさないでギュッと力を入れるような運動から始めて、徐々に動きのあるトレーニングに切り替えていきます。

 

 

野球肩を早く治す最適な筋トレ方法

先にも述べましたが、痛みを減らしてからストレッチを行い、肩周りの動きを良くしてから行います。安全にトレーニングを行うために、単純な動作で軽い負荷から始めていきます。動作で区分けしてみると以下のとおりです。

1、じっと力を入れるトレーニング負荷無しで一方向に動かす
2、負荷有りで一方向に動かす(2㎏くらいから)
3、負荷無しで組み合わせ動作
4、負荷ありで組み合わせ動作(3㎏にup)

 

場所で区分けすると以下のとおりです。

インナーマッスル→アウターマッスル→体幹→全身

上記の順番に行うと安全です。

いきなり組み合わせ動作の全身にいってしまうと、痛めるかもしれません。痛みなくできるトレーニングを繰り返し行います。大丈夫ならじっと力を入れる時間を増やしたり、繰り返しの数を増やします。

不安なく出来るようになったら、一つ上のレベルのトレーニングに切り替えます。もし、痛むようなら、元のトレーニングに戻り、更に修業します。無理は禁物です。

 

野球に必要なインナーマッスルとは?

インナーマッスルとは、身体の比較的深い所にある筋肉で、関節を安定させる働きがあります。巷でよく聞くインナーマッスルは、肩のインナーマッスルとお腹(体幹)のインナーマッスルです。ボールを投げるのにどちらのインナーマッスルも重要ですが、ここでは肩のインナーマッスルについて説明させていただきます。

肩のインナーマッスルは腕の骨(上腕骨)と肩甲骨をくっつける筋肉で、肩関節を安定させる働きがあります。肩の関節がグラグラしたり、抜けそうになるのを防いでくれます。

インナーマッスルは4つの筋肉で構成されています。「棘上筋」「棘下筋」「肩甲下筋」「小円筋」が仲良く助け合って、肩を安定させています。これらの筋肉は肩甲骨から上腕骨(二の腕)の肩に近い方の端にくっついています。

「棘上筋」は肩甲骨の上側から上腕骨の後ろをまわって外側にくっついています。

「棘下筋」は肩甲骨の背中側から上腕骨の後ろにくっついています。

「小円筋」は肩甲骨の横(脇の下)から上腕骨の外側にくっついています。

「肩甲下筋」は肩甲骨の裏側(お腹側)から上腕骨の前を回って外側についています。

インナーマッスルは上腕骨の頭を帽子のように包んで、投球動作の時には捻じれる様な動きになります。この筋肉が一つでも炎症を起こしたり、傷ついたりすると、たちまち痛みが出てしまうんですね。

ここを炎症を抑え(アイシング)安静にし(サポーター)リハビリ(筋トレ)することによって治っていきます。

 

ではさっそくやってみましょう!!

 

野球肩を治す為の、ダンベル筋トレ~痛みが強い時期~

①まずは軽めのダンベルを準備します。

小学生なら1リットルのペットボトル。中学生~高校生は2㎏。大学~社会人は3㎏が望ましいです。なお、ソフトボールやバレーボール上肢は1㎏にして下さい。

②仰向けになり肘を90°にします

この際に、脇を離さずピッタリとくっつけます

③肘を固定したまま、外側に倒します

いける所まで、倒しましょう。

ポイントとしては、捻じれて痛みが出てくる手前まで、です。解剖学的に言うと外旋(がいせん)と言いますが、要は裏拳です。

これをゆっくり20回!

④横向きになります。下図の様に、ダンベルスタートはおへその前です。

⑤これも一緒で、肘を固定したまま外に捩じります。

先程とは違い、重力に逆らうので、けっこうキツイです。20回の途中で挙がらなくなってきたので、10回にしましょう。

上図の様に、左手で右肘を抑えながら行うと、脇が離れずインナーマッスルに最も効果が出ます。

⑥次に座りましょう

手首は上図の様に、手の平を上に向きます

⑦同じく外旋します

脇をくっつけたままです

※別アングル

まず筋肉が素晴らしい。さすが現役大学生

上腕二頭筋(力こぶ)大胸筋(むね)前鋸筋(わき)が動きがクッキリと見えます。モデルとしては最高ですが、当時の彼はここで限界でした。これ以上大きく開くと疼痛(肩の痛み)が増し、明日の練習に大きく影響が出ます。

これも20回ですが、一回の往復はゆっくりで、各6秒です。

地味です。地味過ぎて嫌になるかもしれませんが、5日程度続けるとかなり効果が現れ、変化が出たと実感するはずです。めげずに頑張りましょう!

⑧今度はダンベルを頭の後ろに持っていきます

⑨真上にゆっくりと上げます

肘は真っ直ぐ伸ばします。

※ここで肩が痛む方は、無理せず小さな角度+少しの距離で大丈夫です。

 

ローテーターカフを微妙に刺激し、肩の可動域を徐々に上げよう

①うつ伏せになります

②先ほどと同じく、外旋します

仰向けの時と違い、肩甲骨の間~菱形筋部からお尻の筋肉まで使う運動になります。背筋にもアプローチされますが、ローテーターカフ内の肩甲下筋に非常に効きます。

③今度は逆です

④うつ伏せの状態から、肘を固定しまま、お尻の方へ持っていきます

この時彼の肩関節の上に痛みが出ている為、ほんの少ししか後ろに持って来れません。関節唇損傷の特徴として、内旋ができないことがここで証明されます

ですが頑張ってもらいました。

⑤ダンベルの手ごと、腰に回します(彼は凄く痛そうにしてますが)

⑥できる範囲で後ろに持ち上げます(彼はここで叫んでます)

これはコッキング前期に有効です。コッキング期に姿勢が崩れやすい方は鍛える必要があります。

痛みのある内は、全くと言っていいほど内旋(肩が内側に入る事)ができません。筋肉マッチョな彼でさえも、ほんのわずかしか動かすことができませんでした。(撮影の為に無理させてごめんね)

ですが、リハビリとは動きの悪い箇所を改善&元に戻すことが前提です。

最初は痛みが強く、動かすだけで余計に痛みますが、そこは整骨院での様々な治療で徐々に改善できます。そこから更に回復+補強となるとダンベル・ゴムチューブトレーニングが必須となります。頑張りましょう!

 

まとめ

野球肩の初期症状~疼痛がある時期に行うトレーニング方法はいかがでしたでしょうか?

外旋(肘を外側に向ける)ことで、肩のインナーマッスルに刺激を加えつつ、投球で捻じれた筋肉を逆方向に持っていくことが大切です。彼も最初は痛く、角度も少なかったですが、5日目から段々と角度が大きくなってきました。

今回参考にした野球肩・野球肘を治す為のバイブルはこちら

同じように痛む方は、是非試してみて下さい!

おおよそ、ボールが投げれない程痛い!状態から2~3週間が基礎リハビリ期間です。これが終わったら次の家庭に進みます→鬼の筋トレ方法はこちら