かつては、資本主義体制での社会保障というのは矛盾する関係性で、国は「疾病は個人の責任として扱う」とされていました。

また企業でも「自由にお金を稼いでいるのになぜ皆を守らないといけないの?」

という風潮でした。

しかしこの後綴られている歴史と背景をご覧頂くといかにして国民皆保険が誕生し、日本においては手厚く守られているか、意外と知らない国民皆保険の中身を垣間見てみましょう。



~保険の歴史的背景~

 

そもそも「保険」そのものの始まりは賭け事(ギャンブル)でした。イギリス貴族たちの高尚な遊びだったのです。

とある貴族同士が談笑をしている中、庭で作業をしていた家来に対して

 

「あの者がいつケガをするか賭けよう」

 

 

といったのが始まりとか…怪我をされては庭は完成しないですよね?

つまりケガをされては利益にならないということです。

 

その治療中の損をどう取り戻すかが、保障制度であり保険というわけです。ケガをしやすい作業であれば、

 

①いつケガをするか?

②頻度はどのくらいで起こるのか?

③規模はどの程度か?

④治療期間は?

⑤費用は?

⑥その間の給与は?

 

 

こういったリスク(オッズ)を算定して掛け金である保険料を決めるのです。

雇い主はこういったリスクを知っていて、相手貴族を騙して賭けに勝つと、自分の懐を傷めずに家来を保証できる。

 

 

というわけです。

 

 

 

~そもそも村社会の日本人~

 

日本でも、もともと村人たちの間では、皆でお金を出し合って助けるという風習がありました。

 

 

~保険制度の走りとは~

 

遡ること寛政4年、11代将軍徳川家斉の救貧政策が出発点

 

助け合いは日本人そのものの制度と言って良いのではないでしょうか?

 

 

~国の制度として~

 

大正11年に医療保険制度が交付されました。

実はこの制度、今の様な「皆」保険ではなく、ごく一部の人たちが対象でした。

当然時代は近代国家になろうとしている最中ですから富国強兵の時代です。資本主義経済において生産力を上げるべく、労働者を沢山雇った大企業でしたが、ケガや病気は付きものです。

そのために使い捨てとなった人たちの生活は困窮していくようになりました。

 

そうなると募集をかけても集まらなくなります。そこでこの制度が作られたんですね。大企業の使用者責任です。

 

 

~対象者は限られていた~

ではどんな人たちが対象だったのか?

 

工場法と鉱業法の適用を受けた企業で働く常用従業者とあります。

 

現在の雇用情勢に照らし合わせると「正社員の工場で働く人たちのみ」であり、派遣社員や契約社員、パートアルバイト、日雇い労働者は適用除外でした。

 

もちろんその家族も対象外でした。

正社員でも事務方は対象外でした。(怪我するリスクが有りませんからね)

 

保険料は事業主と従業者の賃金の3%で負担していました。

 

 

 

~モデルはやはりこの国です~

 

こういった救済制度はドイツが行なっていた医療保険をモデルとしたのです。1883年ドイツのビスマルクが傷病保険を作ったのが始まりとされます。

 

大正11年公布したのは良いのですが、

開始は昭和になってから…

公布から実に6年の歳月を得て開始されたのです。

 

 

 

~実は大多数だった~

 

その後1934年(昭和9年)制度改正が起こり、1938年(昭和13年)に農山漁村民のための国民健康保険法が4月公布。7月施行され、翌年となり1939年(昭和14年)職員健康保険法が公布。

国民健康保険は、運営を市町村の区域ごとに設立される組合として自主運営され、加入者も任意でした。

その加入者である農山漁村民が国の6割を占めており、組合の自主性が後の皆保険の足掛かりとなったようです。

 

 

~第二次世界大戦中に保険制度を変えざる得ない状況に~

ただ1942年(昭和17年)に健康保険法が改正されまして、自主性と任意だった制度が強制加入になり飛躍的に普及したものの、この時代は太平洋戦争が始まった時で、1941年から1945年まで保険料を払う人達は戦地に送られ、医療機関も減り立ち行かないくらいになりました。

 

戦後大勢の人たちが困窮になり、国民健康保険再建のための法改正が行なわれ、それまでの組合から市町村に運営を担うこととし、運営するかの判断は任意だが、実施した場合は強制加入としたことで、医療機関も増えて受診率も上がりました。

 

 

しかし保険料が家計を圧迫し収納率が上がらなかったため、1951年(昭和26年)地方税法改正で、「国民健康保険料」を「国民健康保険」にし、納付意識を高めて収納率を上げることに成功しました。

 

 

 

そうして1956年(昭和31年)国民皆保険制度構想があげられ、新しい国民健康保険法が1958年(昭和33年)成立。

1959年(昭和34年)施行されることとなり、その後1961年(昭和36年)国民皆保険が実現しました。

 

 

~アメリカの保険制度は富裕層の味方??~

大体皆さんがご存知の通りの医療保険制度は、アメリカにおいては民間の保険会社が仕切っており、大変高額となります。

その為に保険をかけても、実費で払っても生活が破綻してしまうこともあるようです。

 

 

日本の医療保険制度は先にも書いたドイツの疾病保険をモデルにしたもので、ケガや病気や高齢などの理由により働く事が困難になるリスクにおいて、保険的手法によってお金やサービスを支給する仕組みでした。

 

 

 

つまり…保険料を払っている人だけで、低所得者や無職の人は対象外ということになります。

 

民間の保険会社と同じですね!

 

 

オバマケアと呼ばれた皆保険がなぜ成立しなかったのか?

①アメリカの場合は州の権限が強い

②その為財源や制度が州によって違いができる

③民業の圧迫になってしまう

④票が左右される

 

 

アメリカでお金を稼ぐことに対しては、日本のように否定的な捉え方はありません。

独り占めすると嫌われるため、寄付やボランティアなどで、貧困層に富の再分配を行う習慣があり、その観点からも皆保険制度は高額納税者にとってなじまない制度と言えるでしょう。

 

 

日本においては、低所得者や無職者も保障対象となっているので、多かれ少なかれ保険料を払っています。そのため保険的サービスを受けることができます。これを皆保険というのです。つまり

 

「みんなで助け合おう」

 

 

というコンセプトで出来ています。

ここまでやる国は他に存在しません。

 

 

 

~保険業界世界最先端のヨーロッパではこんな考え方~

ヨーロッパ世界ではどうでしょう。

高福祉で有名なスウェーデン国では、年金は社会保険方式、医療介護は税方式を取っており、所得税や付加価値税(消費税のようなもの)が割高であるため医療給付を受ける権利があるとされています。

 

 

ドイツやフランスは、所得能力に応じて保険料を支払い、必要な給付を受けることで権利性を強く感じられるようで、自立自助の精神があり税金で賄うのは不名誉とされているようです。

 

 

日本は保険料で賄い不足分を税金で補う方式ですが、年々税金の補填が増加傾向にあるようです。

 

 

 

医療保険は国を強くするため?

そもそも日本の医療制度が出来た理由は富国強兵政策で工業や鉱業による一部の大企業の使用者責任から来ており、今でいう労災に当たる制度に近く、本人にしか適用されませんでした。

また当時は働く人口の6割を占める農家ですら保険制度がなかったため、医者を呼ぶときは死ぬときと言われたくらいです。

 

古来より農民は兵士として徴用されてきましたので、怪我や病気、老後の生活の保障となる保険制度が必要だったのです。

 

 

〜医療保険の仕組みについて〜

 

医療費はそもそも実費で払うと家計は圧迫どころか破綻します。

先にも書きましたが「医者を呼ぶときは死ぬとき」と言われるほどでした。だから皆が少しづつお金を出し合い助け合ってきたんですね。

 

 

まず医療機関で受診します。

かかった費用の中から窓口負担割合分を払います。

それは1割から3割です。

 

そしてみんなが払う「保険料」です。

 

 

これが財源となり、残りの医療費を支払います。しかし皆に権利があるため、一斉に使われたら到底足りません。

 

そこで国が税金で不足分を補うんですね。

 

 

しかし現実問題として、社会保険全般において、2014年度は税金で賄った額が約5割になったようです。

 

これを超えてくるともはや権利ではなく扶助になってしまいます。

 

 

 

〜今後どーなる?保険制度の未来〜


税金の補填が多いと自主性がなくなります。

保険料を納付するということは、国民の権利を自分たちで保障していることです。つまり国民の選んだ議員が代表して立法府が予算委員会で使い道を決められます。

しかし税金が増えると、行政府が優位になりますので、国全体のバランスの中で使い道が決まります。

 

つまりあまり強く言えなくなるのです。

 

今の補填予算は一般財源といって、消費税などの使い道フリーの財源から回ってきます。使い道をもっと広く考えなければならないので、どこまで予算が回ってくるか…

 

 

目的税=特別財源にしますと、(ガソリン税など使用目的があらかじめ決まっているための税金)特定のところにピンポイントで税金がかけられますので、健康を害するようなものに多額の税金が乗っかってくるかもしれません。

 

また予算オーバーした場合は、使用目的の範囲を狭くしなければなりません。

 

 

医療の範囲が狭く、年金額が下がり、失職した時のつなぎの資金がなくなります。そのためこんなことになるやも?

 

①   窓口負担が増える。

②  保険料の大幅値上げ。

③  大増税。

 

あるいは

 

 

①   症状や治療内容に応じて負担割合が変動するシステムに

②   今でこそ一般市販薬の価格転嫁

③    不健康な商品に税金がかかる

 

 

歳入が増えるに越したことはありませんが、現状は少子化で、海外から移民を募らなければならないほどです。

それだけ歳入がなく、国債に頼ってばかりですと、赤字を先送りにしなければなりませんし、また保険の種類についても見直しが行われる可能性もあるかもしれません。

 

 

 

~少子化や高齢化で財源が~

あと20年を過ぎますと第二次ベビーブームの方が65歳となります。

つまり定年です。

税収はかなり落ちこむことも予想されます。

さらに長生きな国ですので、病気リスクも高く医療費がかさむ可能性は高いでしょう。

 

税収はかなり落ちこむことも予想されます。病気リスクも高く医療費がかさむ可能性は高いでしょう。

ただ一個人の推測にしかすぎませんし今後の行政府や省庁、立法府が議論をし、すべての国民にとって今以上により良い制度になる事を期待します。

 

 

 

~最後に~

保険の成り立ちや背景が、いくらかご理解いただけたかと思います。でも最近聞こえてくるのは使い過ぎという言葉です。だからと言って、少々の痛みくらい我慢しなきゃと思う方もいるのですが、痛いから、何かおかしいからと思ったら、まず受診して頂く事はとても重要です。

 

皆さんも聞いたことが有る「生活習慣病」とは、運動不足により発生する病気やケガを指します。

アメリカでは不健康な人は仕事にありつけません。また、治療費も高額なため生活破綻します。そのために皆健康維持に取り組んでいるのです。

まさに命がけですね。

日本はどうでしょう。

助成金のお陰で、薬価は抑えられ、高額医療費も一定額までです。しかし出産費用は抑えられていません。

こういった問題点も背景に存在しているということも頭の片隅に置いていただきながら、生活習慣を改善し、健康診断や病の早期発見のための精密検査など、積極的に活用してはいかがでしょうか?

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