スキーやスノーボードなどで肩から転倒して、ものすごく肩が痛いなと思ったら、肩のところに出っ張りができていた。こんな時は肩鎖関節(けんさかんせつ)の脱臼かもしれません。

肩鎖関節が脱臼してしまったときの治療法や手術方法、リハビリについてご説明いたします。サポーターやテーピングの貼り方をご紹介させていただきます。

病院に通うのが面倒で、放置してしまったときの後遺症も気になりますよね。そのへんも後程説明していきます。

肩鎖関節脱臼(けんさかんせつだっきゅう)とは?

肩先から4~5cm内側にある肩鎖関節が外れてしまったものを肩鎖関節脱臼と言います。

スポーツなどで肩から転倒した際に起こりやすいです。

肩鎖関節が脱臼すると、鎖骨(さこつ)が外れて上にずれて、肩先から4~5cm内側にでっぱりができます。

首すじから肩先にかけての綺麗なカーブが見られなくなり、途中で盛り上がってしまいます。

脱臼の重症度によって鎖骨の飛び出方が変わってきます。飛び出方が大きいほど重症です。

亜脱臼(あだっきゅう)って?

肩鎖関節亜脱臼は鎖骨が少しずれてしっまった状態です。一部靭帯(じんたい)が切れていますが、つながっている靭帯もあり、鎖骨のずれは少ないです。

下の図のⅡ型が亜脱臼です。Ⅰ型は捻挫、Ⅲ型以降は脱臼になります。
鎖骨の端っこを支えている靭帯が全部切れてしまっているのが脱臼になります。

手術の目安

まずはレントゲンでどのくらい鎖骨がずれてしまっているか確認します。上の図のどれに当てはまるかで、何型の肩鎖関節脱臼に分類されるか。

病院では重症度などにより、手術やサポーター、テーピング、リハビリを行います。

サポーター、テーピング、リハビリについては後程。

ここでは病院でしか行えない手術について。

上の図のⅣ型、Ⅴ型、Ⅵ型が手術の対象になります。

ただし、若い人やスポーツをする方や肩をよく使う人はⅢ型でも手術を勧められます。

手術は、ずれてしまった鎖骨をねじや針金でとめたりして、正しい位置に固定するのが目的です。

さらにずれないように装具やサポーターで固定します。

正しい位置で靭帯がくっつくのを待ちます。

 

和ごころ整骨院では

整骨院では手術できませんので、サポーター、テーピング、リハビリを行います。

手術を行わないⅠ型~Ⅲ型の治療が対象になります。

サポーター、テーピングを駆使して鎖骨をもとの位置に近づけて固定します。

受傷後、3日間はRICE処置につきます。ケガをしたときにまず行います。RICE処置とはRest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字をとったものです。ケガの処置の基本中の基本です。電気治療に超音波治療も併せて行います。ただし、超音波は弱めで温かさを感じないように。

痛みで緊張している肩甲骨まわりをマッサージやストレッチを行い、緊張を緩めていきます。

次に固定ですが、サポーターや装具、テーピングを使います。

良い位置で固定できるように、患者様にもサポータ装着の練習して頂きます。

受傷後4日以降、痛みや腫れの具合を見て超音波の温熱効果をでの治療を加えます。

超音波の強さを温かさを感じるまで強くします。

 

実際の患者様症例

テニススクールで先生をしている患者様です。撮影・掲載許可を頂きました。

レントゲン写真を持って来ていただきました。けっこう飛び出てしまってます。鎖骨が骨の厚みの分だけ飛び出ています。Ⅲ型の脱臼にあてはまりますね。

 

物凄い突き出てる!

外観はこのよう感じです。飛び出ているのが一目瞭然です。

 

肩鎖関節の痛みを和らげる施術方法

脱臼の際に痛みを和らげるには、元の正しい位置に戻して固定するのが一番です。

そのためにはサポーターや装具、テーピングが重要になってきます。

サポーターの紹介

パッケージ

今回使用したサポーターはウエットスーツのようなゴムに布を張ったような素材にマジックテープとゴムバンドがついています。サイズはフリーサイズで固定強度はミディアム。左右どちらにも使用できます。

中身

広げてみると写真のような感じです。
胴体~肩~腕を包み込むような構造
ベルクロのついたゴムバンドで上から鎖骨を押し下げる構造になっています。

裏側は

裏側には、鎖骨を圧迫固定するために、白いフェルトのような厚手の生地が縫い付けられています。

説明書

ベルクロをぜんぶはずして広げます。

白いフェルトのパッドが鎖骨に当たるようにかぶせます。

胴体と腕のベルクロをとりあえず仮止め。

しっかりフィットするように胴体と腕のベルクロをしっかり止めます。

最後に鎖骨を押さえつけるゴムバンドのベルクロをしっかり止めて出来上がり。

 

実際にサポーターを着けてみて検証してみる

前から

肌着の上からサポーターを装着してみました。斜め前からみるとこの様な感じです。

胴体はしっかり締め付けられていますが、肩回りにしわがよってしまいました。

後ろから

後ろから見るとこんな感じ。

後ろも肩周辺によれがあります。

胴体は締め付けすぎて、左側のわきの下に痛みが出てしまいました。

改良バージョン

鎖骨の固定性を増すために、タオルを一緒に巻き込みます。

フェイスタオルを細長く半分に折りたたみ、上の写真の様に肩から腕に乗せます。

その上からサポーターを装着します。

改良バージョン 前方から

反対側のわきの下にもタオルをはさみ、サポーターの食い込みを抑えます。

わきの下の痛みもなく、鎖骨の押さえもしっかりしました。

 

岡部(健常者も)も試しに着けてみた

まずは仮止め

胴体と腕のベルクロを仮止めします。
慣れないと少し大変ですが、練習すれば簡単にできそうです。

しっかり装着

しわやよれが出ない様に、しっかり引っ張ります。
仮止めの位置から引っ張り、緩まない様にベルクロをくっつけます。
引っ張り続けながらは難しいです。

どうしてもベルクロをくっつける時に緩んでしまいます。
どなたか、優しい方にお手伝いをしてもらうと良いと思います。

仕上げ

最後に鎖骨を押さえつけるゴムバンドをつけます。
しっかり引っ張って、鎖骨を押し下げるように。

上の写真で着けようとしているバンドと、もう1つ鎖骨を固定するバンドがあります。もう一本の方が、前から背中側に引っ張って付けるので、力が入りにくく、とても難しいです。このバンドも誰かにお願いできるといいですね。

写真のバンドは後ろから前に引っ張るだけなので簡単です。これをとめる前のゴムバンドが難しいです。

 

亜脱臼時の普段の過ごし方

肩鎖関節に負担がかからないよう過ごしてください。

痛めた側で極力物を持たないように。また、肩掛けカバンは痛めていない側の肩に掛けるようにしてください。

肩や腕を下方向に下げる重みが加わると、肩甲骨が引き下げられるので、肩鎖関節を脱臼させる方向にストレスがかかってしまいます。鎖骨が浮き上がってしまいます。

夜寝る時は仰向けがオススメ。
どうしても横向きで抱きでないと眠れない方は、抱き枕を使って痛めた側が上になるようにしてください。

 

家でのリハビリ方法

腫れや痛みがあるうちは前述のRICE処置を!!だいたい受傷後3~4日が目安です。

そんな時でも患部以外は動かしますが、肩は安静に。動かしてしまうと、肩鎖関節にストレスが加わります。肘や手首を動かします。首も動かします。前後左右に曲げてみたり、右を向いたり、左を向いたりします。痛みのせいで首も緊張していることが多いです。だいたい受傷後3~4日が目安です。

腫れや痛みが引いてきたら、腕を動かしていきます。最初のうちは水平より上げないように。高く上げ過ぎると痛くなったりします。痛みが出たらそれ以上あげないでください。2~3週間は我慢です。

3週間を過ぎたあたりから腕を水平よりも高く上げていきます。徐々に、痛みを感じない範囲でお願いします。首をすくめて、肩と耳を近づけます。肩甲骨を上に動かす運動になります。

以降は痛みの出方や、鎖骨の出っ張り方をみながら肩鎖関節に負荷がかかるような運動をしていきます。手をついて体重をかけてみたり、塩や砂糖の袋を手に持ったり。

 

これだけは注意して

サポーターをしている部分がかゆくなったら、サポーターを外してください。かぶれの恐れがあります。

かぶれてしまうと、かぶれが治るまでサポーターをつけられなくなってしまいます。

清潔にして乾いてからサポーターを装着しなおしてください。

 

まとめ

まずはRICE処置。

鎖骨の出っ張りがひどい場合はお医者さんへ。

軽度の場合は、損傷した靭帯の修復を促すために干渉波、超音波治療。

サポーターでしっかり固定。(かぶれに注意)鎖骨をもとの場所に戻します。

痛みが落ち着いてきたらリハビリ

肩を打って、鎖骨が出っ張って痛みがあってお困りの方は、是非ご相談下さい。

和ごごろ整骨院

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